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2017年10月7日

鈴鹿金曜日長谷川F1プロジェクト総責任者/山本雅司モータースポーツ部長会見全録

2017F1GP第16戦日本GPスケジュール初日夕方、母国GPを迎えたホンダF1チームの長谷川祐介F1プロジェクト総責任者と、山本雅司モータースポーツ部長が、鈴鹿サーキットのパドックで会見を開いた。

二人は、最後のマクラーレン・ホンダとして戦う鈴鹿への想い、そしてトロロッソと組む来年を語った。

※会見は、アロンソ+マクラーレン・ホンダにオイル漏れが見つかり、パワーユニット全体を交換。長谷川F1プロジェクト総責任者の思惑とは違う結果になっている。

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「グリッドダウンを避けたいので、ここでは新ユニットは投入しない」

○「金曜日」としての、いいスタートは切れた!

──こんな状態で、午後はまったく走れませんでしたが、金曜日に予定していたプログラムというのは何パーセントくらいできました? 
長谷川祐介F1プロジェクト総責任者(以下、長谷川):いやあ、ほとんど(笑)(やれてないですね)。

──タイム的には、天候が下り坂だったことで全員が早々にスーパーソフトを履く状況だったので、いつもの金曜日に比べると全体の中のポジションの確認ができたのではないかと思いますが、その中での満足度みたいなものは、どんな感じでしたか?

想いを語る長谷川祐介F1プロジェクト総責任者(左と山本雅司モータースポーツ部長)。

山本雅司モータースポーツ部長(以下、山本):まあ金曜日なので、各車がどんな条件で走ってるのかわかりませんが、まあまあ中団にいたという意味では、とくに問題なく走れていたというか、よかったと思います。

──今回のエンジンは? 
長谷川:ここ(鈴鹿)は、前回のマレーシアと同じ。さほどマイレージを使ってないということと、ここで新しいエンジンを入れて、グリッドダウンのペナルティを受けたくなかったということ。ここで(新エンジンを)入れるのは得策ではない、と。

──走り始めから、タイムは想定通りでしたか?
長谷川:そう・・・・ですね。はい、まあ、そんなに明確に想定タイムがあったわけではないんですけど(笑)。まあ、去年よりはちょっと速いかな、と。

──次の「アメリカ」が、ポイントを取れる一つのチャンスかと思いますが、それに向けて、スペックアップやステップアップしていくという予定は? 
長谷川:以前から申し上げてますけど、この後の後半戦どこかで、いつかはエンジンを新しくしなければいけないと考えていまして。そしてそれは「一回」で済ませたいと思ってます。タイミングでいうと、残り4レースか5レースか。ただ、いまは明確にはしておりません。

──今日はあまり走っていませんが、去年のように車体が“パワー負け”しているような感じはありますか? 
長谷川:いまの段階では、まだちょっと申し上げられないんですが、クルマが全然ダメというようには。まあ雨の中では全然ダメというか、よくわかりませんでしたけど(笑)。ドライでは、そんなことはなかったです。

──ここ数戦と同じようなレースができそうですか? 
長谷川:そうですね。そう思っていい、です。

○シンガポール、マレーシアと同じように「鈴鹿」でも!

──雨の中で全然ダメだったというのは?(笑)
長谷川:まあ雨量もひどかったですが、出始めにフロント(のダウンフォース)を付け過ぎちゃったというか(笑)。フロントフラップを三段階とか、下げてましたから(笑)。

──元々のイニシャルセッティングに問題があった?
長谷川:ええ、イニシャルの段階で、付けすぎでしたね。ただ、この後の(天気)予報が、予選もレースもドライだということで、正直、雨の中のセッティングはそんなにツメてないです。

──ここ数戦と同じように、ということでしたが、シンガポールもマレーシアにしても、コースの状態が(鈴鹿とは)ずいぶん違う。その違いを加味しても同じようにということですか。
長谷川:結果的には、シンガポールもマレーシアも「7位」でしたが、どちらも、もっとポイントが取れることを期待してました。でも、ここはもっと厳しいと思ってます。

──ホンダのレーシングエンジンは、予選と本選とでは、使える“シロ”がどのくらいあるものなのですか? 
長谷川:それは企業秘密で、ちょっと申し上げられませんが(笑)。当然、予選ではマックス・パフォーマンスで走るようにしてますので、その違いというのは出ていると思います。

──決勝では、同じようには“攻められない”ということですか?
長谷川:いや、攻められないというと、ちょっと語弊があります。ただ、当然(予選と)同じモードで走れない、ということはあります。

──逆に、予選の“ひとひねり”というか、そういうことが「いま」はだんだんできるようになっているということはありますか? 
長谷川:それはあります、まあ、それだけではないですが。

──そういう意味では、いい方向になっているというように見えますが。
長谷川:シーズンの初めから較べれば、ずいぶん「闘える」ところに来ているなとは思います。

──6月頃には、鈴鹿みたいな“むずかしい”ところで、端にも棒にもかからないのではないかと思っていましたが、好転したと?
長谷川:コメント、むずかしいんですが(笑)。いまは中団というか、トップスリーの次の辺りにいると思いますが、ただ、そこは相当なダンゴ状態になってまして、一つ間違えると15番手くらいに落ちちゃう。そういう意味では、決して、自信を持って(いまは)Q3に行けますということではないです。

──でも、Q3を狙えるようなところにはいる、と? 
長谷川:それは、そう思ってます。

○マクラーレンとの3年間、トロロッソとの「これから」

──マクラーレン・ホンダとしての最後の日本グランプリになるわけですが、どんな「三年間」でしたか?
長谷川:ぼくは去年(2016年)の4月からなので、(マクラーレンとは)1年ちょっとですが、F1はほかのレースに較べて難しいですね。いろんなことがむずかしい、と。学ばせてもらった、約2年だったと思います。そういう意味で、非常にいい経験をさせていただいた。マクラーレンと、いい関係でいるのは事実ですし、今日もミーティングをさせていただいたんですけど。

今年で、契約解消になるのは事実ですが、フレンドリーに、と向こうも言ってるし、いろんな意味で学ばせてもらった。来年も、これまでに学んだことを、同じ失敗はしないようにして行きたいと思ってます。

──来年、トロロッソと一緒に、新しい勝負が始まるということですが、これまでの3年間とは異なって、これからどんなステップで組み立てていく?
山本:それは「長谷川」(の答えるべきこと)かもしれませんが、新たな3年は、トロロッソにとってもホンダにとっても、価値ある3年にしたいですね。トロロッソは、2008年にベッテルがモンツァで優勝した以後は、コンストラクターとしては「6位」。この間、サインツ(ジュニア)が4位に入ったとか、そういうパフォーマンスから考えて、私たちのエンジンで、彼らのこれまでのリザルトを超えるってことから考えていかなくてはいけないと思います。

森山がシンガポールで、「表彰台」とか言ったのは(笑)、あれ、言葉がちょっとすり替わっていて、“表彰台に近づけるよう努力する”ということなんですね。

ぼくらは、この三年間の反省も当然あるし、ぼくも「セナ・プロ時代」のF1を観に来ていた人だから、やっぱり第二期のマクラーレン・ホンダの印象が強いんだと思います。要は、マクラーレンは名門チームで、ホンダも、そういう歴史を持ってきている。お互い、いいカタチでリスペクトして、それがいいカタチで混じり合えなかったと思います。

そういう意味では、新たなスタートで、トロロッソという“中団チーム”。そして、私たちの実力も、トップにはない。ですから、来年の新たなコラボレーションに向けて、いま、いいカタチを組み上げている最中です。

──マクラーレンとトロロッソとでは、チームの大きさもバジェットも違うだろうし。そんな中で、どんなところを「ポジティブだ」と捉えていらっしゃるのか? 
山本:トロロッソに行って思ったのは、非常にコンパクトでシンプルで、少数精鋭で。人の数では、マクラーレンの、ほとんど三分の一くらいかもしれませんね。そんな中で、ホンダは会社自体は大きくなってますが、ひとりひとりが支えていると思っていますが、その意味でも、トロロッソくらいの“規模感”というのが、ステップを踏んでいく際にちょうどいいのではないか。こう言うと、トロロッソに申し訳ないかもしれないけど、ぼくらも“大企業意識”はないので。そういう意味では、いいかもしれないですね。

──長谷川さんは、(トロロッソの本拠)に行かれたのは?
長谷川:(今回が)初めて、ですね。

──どんな印象を? 
長谷川:いま山本が言ったように、でも、小っちゃいといえば、ジョーダンとやったときも、ジョーダンは、小っちゃかったですし(笑)。そういう意味では、F1の普通の規模だと思います。でも、マクラーレンと較べてシンプルですかね。極端に言えば、ジェームス(・キー/トロロッソのテクニカルディレクター)に言っておけば、すべて通じるみたいな(笑)ところはありますから。

──レースの世界は、大きければいいってことじゃないですよね(笑)。マクラーレンの創始者のブルース・マクラーレンが、最近リリースされたDVD『マクラーレン』の中で、「あなたは大きなチームを何度も打ち負かしているが、もっと予算があれば勝利を増やせるか」と訊かれて、「逆だよ、大きくなりすぎると、問題が出る」というようなことを言っています。今のマクラーレンにも、ホンダにも言えていると思いますが、そき意味で、今回のトロロッソへのホンダのシフトは、とてもいいと思います。
長谷川:ただ、私はマクラーレンには「感謝」しかないです。あらゆる意味でプロフェッショナルで、何かあったらホンダをサポートしてくれたという意味では、彼らの懐の大きさ、個々のエンジニア能力の高さには、本当に学ぶところがありましたし。それはほんとに、感謝してます。それが同じように、トロロッソに期待できるのかと言ったら、それはできない、かもしれないですね。

実際、ギヤボックスにしても、ウチが作れないものは、みんなマクラーレンに作ってもらいましたからね(笑)。逆に、トロロッソには(そういうことは)期待しちゃいけないのかもしれないし。(来年からは)何でも自分たちでやらないといけないでしょうね。

──今年でも去年でも、マクラーレンで、このタイミングで“大きな進化”があったなぁ、ということでは、どんなことがあったか。長谷川さんの目で見てということで、教えていただけませんか?
長谷川:ウーン、むずかしいですねえ。徐々に進化しているので、どこかでポンと良くなった、という印象は・・・・。モンツァでは、良くなりましたね。

それよりも、われわれのPU(パワーユニット)の信頼性への課題が大きくて。信頼性に問題がなく走りはじめたのが、ようやく、夏休み明けくらいから。やっぱり、イベントを通してちゃんと走れると、しっかりポテンシャルを出すなというのは、夏休み明けの頃から感じてましたね。

──また3年後にエンジンの規則が変わることになってますが、その新レギュレーションについては、ホンダとしては、どういうポジションを取っていくのでしょうか?
長谷川:1921年のレギュレーションは今年に決まりますので、それに対して対応していくというのは、もちろんありますね。そして、その変更の委員会には(ホンダも)参加していますけれど、う~ん、むずかしいですね。もちろん、われわれの意見は言っていますが、正直、(ホンダが)そんなにプレゼンスがあるとは感じてません。

──プレゼンスとは、影響力?
長谷川:そうです。ただ、今年だったら、新レギュレーションはルール上、FIA(国際自動車連盟)が一方的に決められるけれど、この先になると全チームの合意がなければレギュレーションは変えられない。だから、マニファクチャーがいろんなことを言っていますが、結局、FIAがやりたい方向になるんだろうなと(笑)、僕は思ってますね。

──ということは、今年、決めちゃうだろうな、と?
長谷川:ええ。(それぞれに都合があるので)全チームの合意なんて得られないですからね。ただFIAも、どこかのチームが辞めてしまうということは避けたいので、きちんとヒアリングはしています。

──ホンダは、あるレギュレーションになったらF1を辞めてしまうとか、そういう可能性はある? 
長谷川:これは4チーム(メルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダ)がみんな言っていることですけど、ハイブリッドがなくなったら、辞める、と。ハイブリッド・システムは「次」のエンジンの方向性の一つですからね。あ、辞めるとは言ってませんよ(笑)。

──いま「さくら」では、来年度のエンジン開発に、すでに移行している? 
長谷川:いまやってるものの延長で、来年もやっていきます。そういう意味では、今年/来年という“仕切り”はないですね。

──来年の「ギヤボックス」については?
長谷川:ギヤボックスは、「付ける」だけなら、そんなに問題はないです。シフトのクォリティとか、そういうのを問題にし始めると、大変な場合がありますが。

──「トロロッソ・ホンダ」のギヤボックスは、トロロッソ製ですか?
長谷川:そうです。

──来年に向けては?
長谷川:われわれのパフォーマンスをフルに発揮したいというのが一番です。その上で、ポイントを獲得したいという気持ちが大きいですね。

 

【STINGER/Hiroaki Iemura】

photo by [STINGER]


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