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今年はレースが更に面白くなる?! 2017年F1GP注目ポイントのおさらい

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新しいシーズンが幕を開ける。すでに2017F1GPは、バルセロナの合同テストで始まり、大方の流れが見え隠れしているが、闘いとして正式な幕開けは、3月24日、メルボルンおアルバートパークで始まる開幕戦のオーストラリアGP。ここから、さまざまな意味での”新シーズン”が動き始める。

◆車両規則変更で5秒速くなる!!
マシンが大きく、低くなった。大きくなった分だけ全面投影面積が増大して空気抵抗が増え、ストレートスピードは下がる方向にある。しかし、パワーユニットの熟成が進んでパワーアップすることでそこは相殺され、最高速は去年までと大きな変化はないだろう。

しかし、大きくなったマシンでダウンフォースは確実に増え、コーナリングスピードが速くなる。それをFIAは、”1周5秒速くなる”と読んでいる。バルセロナで8日間行なわれたテストで、その見込みが大方正しいことが証明された。昨年、テスト会場のカタルーニャ・サーキットで行なわれたスペインGP予選のポールポジションは1分22秒000だったが、メルセデスに移籍したバルテリ・ボッタスは、1分18秒台をマークした。本番になればさらにタイムは上がるはずだ。

ちなみに、2016開幕戦のオーストラリアGPのポールタイムは、1分23秒台(ハミルトン+メルセデス)。1分20秒以下でポールポジションは争われ、レースペースは、去年の1分28秒台(リカルド+レッドブル)からすると、去年のポールポジションのレベルに近づきそうだ。

今年の規則変更は、これまでとは違う方向で施行された。これまでの車両規則の変更は、開発競争で速くなりすぎ、安全性が確保できないことから規制を厳しくすることで、スピードを抑制する方向だった。しかし、今年は、”速くするため”の変更。逆にいえば、進化した安全のレベルなら、5秒速くなることで起きるリスクをカバーできると読んだのかもしれない。

例えば、昨年のオーストラリアGPの決勝レース中に、フェルナンド・アロンソのマクラーレン・ホンダが空中に舞い上がって激しくクラッシュした。当たりどころがよかった、という観方もあるが、大きな入力を分散する衝撃吸収構造のクラッシャブルストラクチャーが、功を奏したテクノロジーの成せるワザでもあった。

◆レース終盤が面白くなる!!
しかし、マシンのスピードが高くなると、別の側面が見えてくる。以前に比べると、シミュレーション技術の発達で、ドライバーの制御範囲が狭まり、極端な言い方をすると、エンジニアが操作のほとんどを決めている状況になっている。F1マシンじたいの経験が浅い18歳でも優勝できる時代になった、ということも言えそうだ。

しかし、今年のマシンは、若干異なる要素が入ってきそうだ。ダウンフォースが増大した結果、体力を要求するマシンになったからだ。

F1レースは、元々、2時間または300kmを越え、短距離とは言えなかったのだが、そこは制御技術の進化で、体力に以前ほどの要求をしなくなっていた。しかし、今年は、再び体力が問われることになりそうだ。

ダウンフォースが増大することに併せて、タイヤが太く大きくなって、さらにコーナリングスピードは高くなる。レース終盤に向けて、ドライバーは、そのタイヤだけでなく、自らの体力を温存しておく必要がある。理屈では分かっていても、全員が実体験がない。シミュレーションでも、どこまで確認できるのかわからない。これはドライバー全員にとって未体験ゾーンになる。

マクラーレン・ホンダでフルシーズンのF1を戦うストフェル・ヴァンドーンは、「体力的にも万全を期した」と言っているが、そうしたコメントが出ることじたい、体力が結果に影響を持つことを証明していることになる。そうなると、ベテランといわれるドライバーのノウハウが活きてくる可能性がある。

ルイス・ハミルトン、フェルナンド・アロンソ、フィリッペ・マッサなどのベテランのレース運びに注目しておきたい。いずれにしても、今年のレースの注目は、何かが起きるレース終盤だ。

◆バーニー・エクレストから委譲されたF1GP

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ところで、車両規則は表面からみえる変化だが、見えないけれど大きな変化になりそうなのが、F1GPの支配構造だ。バーニー・エクレストがリバティ・メディアに権利を譲り、新しいF1GPがスタートする。F1GPは大きく様変わりしようとしている。

FIAの内部でも、バーニー・エクレストンの息が掛かった人物が次々と交替している。去年、レース・ディレクターのハーベイ・ブラッシュが勇退したのも、その流れのひとつだった。

もちろん、新たな体制のメンバーも、時代の変化に呼応した状況を想定して行動しているはずだが、そう簡単にバーニー王国を引き継ぐことができるかどうか、車両規則以上に変化しようとしているF1GPに対応しきれるか、これは見どころのひとつだ。

権利の委譲の影響がどこに出るのかはわからない。バーニー王国の家臣の中には、怪しい人物も混じっていたが、日本語でいうところの清濁併せ呑むことで絶妙なバランスが取れていたのも事実。表面的にデータを精査して整理しても、総てが丸く納まるのかどうか。

新体制が、バーニー王国のように、金儲け以前に、F1GPに愛を持てるかどうか。巨大化したF1GPをビジネスの商材にかかっている。

[STINGER]山口正己
Photos HHONDA/STINGER
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