【佐藤公哉 独占インタビュー】F1初テスト、「満足度は80%。早くもう一度走りたい!!」
F1初テストを無事終えた公哉。エンジニアにフィーリングを伝える。コミュニケーションは、当然、問題なし。
シルバーストンでの若手ドライバー・トレーニングテストでF1を初体験した佐藤公哉に、セッション終了後に国際電話でインタビューを行なった。
シルバーストン周辺の電波状況から何度か途切れる回線を、まるで自分の責任のように気遣いながら、佐藤公哉は初めてのF1を落ちついた口調で語ってくれた。
◆まるで別世界!!
STINGER(以下、STG):まずは、お疲れさま!!
佐藤公哉(以下、公哉):お疲れさまです。
STG:疲れていますか?
公哉:疲れてはいますが、クタクタというほどではないです。
STG:初めてのF1ドライブは楽しめましたか?
公哉:はい!! 凄く楽しめましたし、とてもいい経験になりました。
STG:シルバーストンは、Auto GPでも勝っているし、よく知っているコースと思うけれど、”F1″ということで、いつもと違いましたか?
公哉:もう、全然違いましたね。速度差がありすぎて、Auto GPで走っていて知っているんです、とか、まったく関係なくて。このコーナーはここまでイケル、という基準も、またゼロからやり直しの感じでした。
STG:F1は別物。
公哉:ですね。まったく違いました。
STG:シート合わせは、すでにザウバーの本拠地のヒンウィル(スイス)で済ませていたと思うけれど、問題はなかった?
公哉:特に、はい、問題はなかったです。
STG:いざ、ガレージでコクピットに乗り込んだ時の第一印象は?
公哉:F1は、モノコックが深いせいで、座る位置が凄い低いんです。
STG:前が見えにくい?
公哉:見えにくいですね。ずっと遠くを見て運転するような感じですね。
STG:その状況で、最初の発進はうまくいった?
公哉:ええ、発進は問題なく、すんなり(笑)。
STG:特に難しいわけではない?
公哉:クラッチがコントロールして、という感じではなくて、スイッチみたいな感じでつながるんです。ば〜んと放すのではなくて、ゆっくり放していけば、勝手にクルマがス〜ッと動く感じです。アンチストールがついているので、エンジンも止まらないですし。
STG:エンストの心配はない、と(笑)。
公哉:そうですね(笑)。
STG:合計67周走って、1分35秒642でした。F1マシンの限界のどれくらいまで攻められましたか?
公哉:まぁ、7割くらい、ですかね。
STG:どのくらい走ったところで、つまり何周くらいで、F1の限界がつかめました?
公哉:そうですね、10周くらいと思います。
STG:あとは、楽しく走れた?
公哉:ですね。凄く楽しかったです。
◆強風で路面コンディション悪化と固いタイヤ
STG:ベストタイムは午前中でした。午後は路面コンディションが変わってしまったようで、他のドライバーもタイムが上がっていなかったですが。
公哉:午後になって、風が強くなって、ホコリが舞い上がってコースに積もる感じで、グリップが落ちてしまったので、みんな午前中の方がよかった状況でした。
STG:タイヤは、何を履いたんですか?
公哉:他のチームはソフトでアタックしていたらしいですが、ザウバーはチームの方針で、ミディアムとハードだけでした。
まったく異次元の世界だったが、10周でF1に慣れた。”早くもう一度乗りたい”。
STG:タイム的に、よくないように見えるけれど、ハードとミディアムタイヤだったということで、自分なりにはいい感じだったわけですね。
公哉:タイムだけ見ると、キミヤ遅い、と思われるかもしれないですが、走っていて、”オレ、遅せぇな”という感じはなかったです(笑)。(午後に参加したレッドブルの)フェッテルにも着いていけましたし。
STG:タラレバになってしまうけれど、もし、路面コンディションが午前中と同じだったとしたら、どれくらいのタイムが出せたでしょう?
公哉:1分34秒の真ん中か、いや前半には行けたと思います。
STG:ということは、すでに、次にもう一度、早く乗りたい、と。
公哉:そうですね、プログラムもすべて予定通りこなせたし、エンジニアと話して、わかったんで、次に乗ってそこを直したいです。直せるところなので。
◆”もっとクルマをコーナーに放り込める”
STG:それは、クルマのセッティングですか? それとも走り方?
公哉:自分の走りです。低速コーナーのブレーキングとかは、ほぼ一緒に走れているんですが、タイム差があるのは、高速コーナーで行ききれていない部分がある。まだ、クルマを信じきれていない部分があるみたいなので。そこを次にはこうしよう、ということが考えられていますから。乗れることがあれば、そこを変えたいです。
STG:具体的には?
公哉:もっともっとクルマをコーナーに(高いスピードで)放り込めるんではないか、コーナーの出口でも、アクセルをアグレッシブに踏めるんじゃないか、というようなことです。凄くシンプルなことです。
STG:チームとしては、マシン的にもトラブルがなかったということですが、コースアウトしたりとかは?
公哉:一回もなかったです。
STG:それで、楽しめた、ということは、全体的によかった、ということですね。
公哉:はい、距離もしっかりと走れたので、いい経験になりました。
STG:まずは一段、階段を上ったと思います。初のF1ドライブの自己採点は、何点だったでしょうか?
公哉:う〜ん、80点くらいでしょうか。
STG:まずまずだったと。次は、1カ月後にニュルブルクリンクのAuto GP大会になりますね。
公哉:はい、今日の経験を元に、ニュル、頑張りたいです。
STG:楽しみにしています。
公哉:はい、ありがとうございます。頑張ります!!
photo by EURONOVA
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