ファンンジオ
◆フェイスブックでファンジオの話題が盛り上がっていたので思い出した。1950年代の世界のモーターモータースポーツシーンを席巻したファン・マニュエル・ファンジオの取材のために、ホンダF1初代監督の故中村良夫さんにアルゼンチンに行っていただいた。ブエノスアイレスの空港の税関の手前でお迎えの方が、”こちらにどうぞ”と通常とは違う部屋で手続きしてくれた。国民的英雄は、やることなすこと別格だった。
◆当時80歳を過ぎていたが、メルセデスのSクラスで自ら出迎えてくれて、猛烈なスピードでハイウェイをぶっ飛ばすのを見た中村良夫さんは、ご自分より年上の往年のドライバーのエネルギーに気押されて、しばらく具合が悪かった。
◆ついでといっては申し訳ないが、フロイライン・ゴンザレス氏も取材させていただいたら、インタビューを終えたゴンザレスさんが、いつお帰りか、と尋ねるので、明日と答えたら、”それは残念だ。友人を紹介したかった”と仰った。友人は、アルゼンチン大統領だった。冗談のような本当の話だが、日本で自動車レースが尊厳をもって認められるのはいつのことだろうか。