たかまる注目度の中で、国内のスーパーフォーミュラもヨーロッパのF2も、数億円と言われるコストの問題がチームにのしかかっている現状はあるものの、間違いなく、スーパーフォーミュラの注目度は高まっている。コスト問題を始めとする課題をいかにクリアーしていくのか。大きな山が立ちはだかるスーパーフォーミュラは、新時代を模索している。
----9月19日と20日にスポーツランド菅生で行われたスーパーGTを取材しました。
「スーパーフォーミュラではなくてスーパーGTですね」
----ええ、観客動員で国内最高のレースですし、チームも多くがスーパーフォーミュラに参戦していることもありますので、今回のテーマをインタビューしながら、さらには、若いドライバーの育成がメインテーマのFIA-F4がサポートレースで行われるうってつけのレースでしたので。
「なるほど。収穫はありましたか」
----ええ、山盛りに!
「ほう」
----メインレースは、GT500もGT300もバトルの連発で、特にGT500の最終ラップの先陣争いは、“これぞモーターレーシング‼️と言える好バトルでした。
「それはそれは」
----また、入門フォーミュラとして人気の高いFIA-F4は、なんとエントリー50台の大盛況で、予選落ちが出る人気カテゴリーになっていることも確認出しました。
さらにそれらのチームは、影山正彦、武藤英紀、道上龍などドライバー出身者が関係することでも注目を集め、レースも熱戦が楽しめました。
「F4は、童夢の狙いが的中したわけで、非常によろこばしい傾向ですね」
FIA-F4は大盛況。迫真のバトルを展開した。
----特に土曜日は、好天だったこともあって、非常に清々しい秋の1日を感じることが出来ました。
一方、ホンダがGT500にシビックで参戦することを聞いた時、正直なところ、迫力としてどうなのかと心配思っていましたが、実車はに劣らないどころか、さすがワークスカーを思わせる綺麗な仕上がりで、ARTAのマシンを始めとする3台は、ピットウォークでも注目の的でした。
「美しいマシンはレーシングカーの必須条件ですから」
----正しく! スーパーフォーミュラに関係する方々に、今後のフォーミュラの行方について伺いましたが、こちらは、少しお寒いモノで若干心配になりました。
「それは気になりますね、どんな内容だったのでしょう」
----例えば今、宮田リトモ君が渡欧してGP2シリーズを戦っていますが、彼の実力からすると満足できる成績を挙げられていません。その理由は、日本で育った後だから、との意見がありました。
「なるほど」
----幼少時代から向こうに住んで、生活環境が欧米の子供達と同じで育たないと、向こうで育ったレースマインドがない、日本で育ったモノでは、いわば“行儀が良すぎる“と言うわけです。
「なるほど。ぶつけていいと言うことではなく、ぶつかることも含めてギリギリまで踏み込んでいなければ舞台には立ったものの、弾き出されて勝負になりませんからねぇ」
----佐藤琢磨がインディ500で勝った前年のレースで、最終ラップでダリオ・フランキッティと接触ギリギリを勝ち抜いてインディ500のウィナーが行なう伝統の“儀式”で牛乳を頭から被っています。
----マカオでもそんなエピソードを経験されていると思います!
マカオのような激しいバトルがあってこそですね。そもそも、そう言うレースが我々ファンを引き込むわけですら。
「そうそう、日本のレースはなかなかそこまでで行かず、なんと言うか、礼儀正しいモノ足らない仲良しクラブになりがちですね」。
----WRCも同じですね。
「フィンランドなどラリーが盛んな国では、10歳にならないうちから高速ドリフトやジャンプで走り込んでいる。勝田貴元君も早くに北欧に渡って今やトップラリーストです。才能はもちろん必須ですが、まずは出来る限り早く本場に行って普段の生活を含む“環境”になじみ、あれらがどんな考え方をするのかを学ぶべしですね!」
----おっしゃる通りですね。
今やWRCのトップドライバーである勝田貴元選手は、最初にF3でスピード感を養って、その上でWRCに参戦するという周到な準備を重ねて成功しています。
「そうでしたね」
----FIA-F4の話に戻りますが、FIA-F4が、国内レースの中で唯一のインターナショナルレースというのも課題の一つという意見もありました。
F1を目指す道筋を構築するなら、国内格式ではなくフォーミュラ・リージョナル(F3)もスーパーフォーミュラもインターナショナル規格のレースを用意して欲しいところです。
「そのフォーミュラリージョンが年間3000万円かかるとなると、腰が引けちゃう参加者が多くなってしまうでしょうね?」
----自動車メーカーや関連企業にすがるしかない?
「残念ながらそうなりますね」
第百八回・了(取材・文:STINGER編集部)
制作:STINGER編集部
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