関口、マカオで満点のレース!
F3の世界一決定戦、『第58回マカオGP』は20日、15周のファイナル・レースを行ない、大荒れの開をかいくぐったダニエル・ジュンカデラ(2011ユーロF3選手権3位)がマカオGP初勝利を飾った。
そして、惜しくも表彰台を逃したものの、4位に食い込んだ全日本F3チャンピオン関口雄飛の光る走りが印象に残るレースだった。関口は、ファイナル・レースを7位からスタート、一時は2位を走行して場内を沸かせた。
関口の今回の参戦が正式に受理されたのは、木曜日の開幕前夜。マカオの常連であるマイケル・ホーが、怪我を理由に参戦を諦めたことで、急遽ピンチヒッターとが決まった。その経緯から、マシンのポテンシャルは、トップを争うには若干心もとない状況だった。当然、トップクラスに比べれば、エンジンパワーも少なめ。しかし、与えられた条件の中で、関口は、マシンの力を100%引き出した。
スタート前、”パワー足らないので辛いでしょう”という問いに関口は、間髪入れずに「でも、マカオは何が起きるか分かりませんから」とキッパリ。そしてそのチャンスを完璧にものにした。
スタートで3台がクラッシュするアクシデントが起き、波瀾のレースが始まった。中盤、クラッシュでセーフティ・カーが二度導入され、セーフティ・カーがピットに逃げた周に、関口は狙いすましたようにスリップ・ストリームを見事に使って、2番手にコマを進めた。
しかし、非力なパワーでも前に出られた、ということは、テクニカルな山側とハイスピードの海側に分かれるコースの海側で、スリップ・ストリームが効くことを語っており、つまり、パワーに勝る上位陣を押さえ込むことはできなかった。
関口は、ギリギリのブロックラインで必至に逃げたが、2台に抜かれ、4位に下がった。最終ラップに3回目のセーフティ・カーが出たが、セーフティ・カーに引かれてそのままゴール。
素晴らしいレースでチーム関係者は大喜びだったが、レースを終えた関口は、「来年のスポンサーがほしいから褒めてくれているんだと思います」と笑顔をみせながら冷静だった。「大切なのは結果ですから。あそこ(表彰台)に乗りたかったです」。と表彰台を見あげた。
だが、第58回マカオGPを語るとき、”SEKIGUCHI”の名前は、優勝したジュンカデラよりも先にでるかもしれないインパクトを残した。
[STINGER]山口正己