初めてのFIA-F4–3/4◆格好の応援の対象
マシンのカラーリングバラエティを眺めるだけで楽しい。これはモーターレーシングの基本だ。
(その2/4からつづく)
◆魅力があるのはドライバーだけではない
FIA-F4は、いままでのシリーズより、はるかに大きな期待がかかっている。その理由のひとつは、より広くモーターレーシングが理解される形態だからだ。
最大の理由は、若手ドライバーに門戸を広げるカテゴリーであり、将来の金の卵を育てるという明確な目標をもったスポンサーが期待できるところだ。単に道楽と解釈されることなく、若者の可能性を伸ばすお手伝いができる。これは、出資者にとって大きな魅力だろう。
そして、スーパーGTのサポートイベントとして行なわれることの重要性がそこにある。スポンサーの魅力として、また、そこに魅力を感じた代表者や担当者が、会社の稟議会議で議題に挙がった時に、”大勢の観客の前で走る”という強力な説得力を付加できるからだ。
実際、[STINGER]のステッカーを表示していただいているメディアDO影山レーシングや、3台体制で参戦しているmiNami aoYama with SARD、グッドスマイル 初音ミク、B-MAX RACINGを始め、多くのチームには、レースの週末を通じて、これまでのレースとは一味違う”楽しむムード”があふれていた。
もちろん、個人で楽しむ若手だけでなくジェントルマンドライバーも、新鮮な気分のレースを楽しんでいるように見えた。参加者が楽しければ、それが伝わって観る方も楽しくなり、さらにそれが反射して場内のムードは明るくなって参加者はますます楽しくなる。
レースは雨に祟られたが、それでも会場のムードは明るく華やかに賑わい、楽しいしてカテゴリーであることが証明された。
◆成長の責任の所在
ところで、現在、オーダーを含めて40台が市場に出ているF110について、さまざまな噂が飛び交っている。
サスペンションアームのスフェリカル(取り付け部分のブラケット)が抜け易いトラブルが出て、レースが成立するのか、という心配の声が上がったが、結果的には、対策を実施して使用上、安全性の問題をなくしてレースは無事に進み、供給側から、恒久対策品ができしだい、無償支給とアナウンスされている。
アームが弱くて曲がったとか、アップライトが割れた、などの噂も飛んだが、通常の走行で曲がった事例はなく、コースアウトやクラッシュで発生したものであるようだ。
縁石に激しく乗り上げてアライメントが狂った例はあったが、調整で元通りに戻っている。
パーツを供給する童夢は、「コンストラクターとして、部品に問題があると認めた場合は無償交換等の対応をしている」としているが、ドライバーやチームがバラエティに富んでいれば、自ずと、整備能力が低いチームも存在し、そこを含めての育成も今後の課題だろう。
初物には、さまざまな噂が付き物で、開幕戦の現場では、いわゆる”風評”も流れたが、文句ではなく意見が交わされ、今後に向けて、主催者サイドも参加者サイドも、”自分たちが育てていくカテゴリーである”ことを認識して、よりよいカテゴリーを目指してほしいところだ。
(その4/4につづく)
photo by [STINGER]