スパ-フランコルシャンの優勝から緊急帰国の笹原右京に訊く!!
東京駅に降り立った19歳。ますます逞しくなっている。首の太さがレーシングドライバーの証明。
スパ-フランコルシャンの優勝から緊急帰国の笹原右京に訊く!!(1/3)
単身ヨーロッパに渡り、フォーミュラ・ルノーで挑戦2年目を闘っている笹原右京が、スパ-フランコルシャンの勝利を引っさげて凱旋帰国した。
と、こちらは勢い込んでいたが、本人は、「まだ、たかだかフォーミュラ・ルノーですから」、と少年の笑顔だった。
しかし、そう言いながら右京は、首まわりも一回り太い”大人”になっていた。モンツァとスパ-フランコルシャンの勝利で自信をつけたに違いないのだが、右京は、呆気にとられるほど気負いがなく、「流れがうまくいった、ということだと思います」とサラリと言うのだった。
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◆ポールポジョンが嬉しかった
※右京は、今シーズン初レースとなったモンツァのNECシリーズ開幕戦で優勝して期待を高めたが、さらにその期待を強固なものにしたのが、5月30-31日のスパ-フランコルシャンである。
フォーミュラ・ルノーは、ユーロ・カップ・シリーズとNEC(ノース・ヨーロッパ・カップ・シリーズ)の二つのシリーズがある。右京は両シリーズに参戦してタイトルを取ることを計画していたが、ここで壁にぶち当たった。今シーズンは、ユーロ・シリーズのフル参戦は決まっているが、NECは、資金が足らずに1戦毎にスポンサーを探してつないでいる状況だ。
その状況で今回の帰国になった。もちろん、メインはスポンサー活動である。モンツァの開幕戦で勝ち、あのスパ-フランコルシャンでの勝利で、注目度が高まって、スポンサー活動を後押ししてくれるのではないだろうか。
右京:ヨーロッパでは、ユーロカップのフォーミュラ・ルノーのスパのポールポジョンと優勝で、名前も知ってもらえたし、やるじゃないか、みたいなことを言ってもらえるようになりました。でも、日本では、フォーミュラ・ルノーがなんなのかが知られていないので、状況的には変わらないですね。
でも、もともと好きなスパ-フランコルシャンでポールポジョンを取れたことはすごく嬉しかったです。やはり、ドライバーとしては、速さを証明できたと思うので。
※スッと頭を切り換えるプラス思考は以前のままだった。スパ-フランコルシャンは、素人目には、難しいというより怖いコース、というイメージがある。下りからジェットコースターのように急激に駆け上る高速で肝試しのようなオールージュや、コース中央部分のセクター2と呼ばれる下り区間などは難しさも一入。スパ-フランコルシャンが難攻不落の、最もチャレンジングなコースと言われるのはそのためだ。
しかし、右京は、ポールポジョンから優勝した時のクルマはバッチリ決まっていて、素晴らしく気持ちがよかったと言った。
右京:レースで勝ったのもよったですけど、スパ-フランコルシャンの予選でポールポジョンを取れたのは、ドライバーとしてはもっと嬉しかったですね。速い時は、全然無理しないんです。フォーミュラ・ルノー2.0は、スリップが効くんですが、ポールポジョンを取ったときは、セクター2からセクター3が単独になってスリップが使えなかったけれど、特に、もともと好きな下りの第2セクターが、セッティングが素晴らしく決まって、完璧に走れて、本当に気分がよかったです。
※ポールポジョンで、ひとつだけ不安要素があったとすれば、スタート地点が下り坂で、グリッドが前の方ほどオールージュまでの距離が近くて、フォーミュラ・ルノー2.0のパワーでは、登り坂できつくなることだった。
右京:スパ-フランコルシャンのフォーミュラ・ルノー2.0ユーロカップだけは、スタート地点がF1と同じではなくて、1コーナーからオールージュに向かう古いピットの前なんです。下っているので、オールージュの入り口までの距離が短い先頭の方は、登り区間でスピードが出ていないので、加速してくる後方集団にその先で抜かれちゃうことも多い。ポールポジョンを取っても、6番手くらいに落ちちゃうこともあります。その辺も、6時間のミーティングで、徹底的にいろいろな可能性を検討しました。ポールポジョンだったらどのラインかとか、二番手だったらどうすべきとか、徹底的に研究したので、お蔭で抜かれずに済み、そのまま勝てました。
(その2/3につづく)
photp by FORMULA RENAULT