小林可夢偉 ブラジルGP参戦発表会見全録3/4
◆鈴鹿での可夢偉の走りは高評価!
—-F1へのデビューが、インテルラゴスという、ちょっと”ややこしい”コースなんですけど?
小林可夢偉(以下、可夢偉) いやあ、でも……”雨の鈴鹿”に較べたらマシだと思います、ぶっちゃけな話(笑)。
—-“雨の鈴鹿”の、あのときに意識していたことは?
可夢偉 自分がどれだけ(走行の)距離を稼げるかということを、自分のなかでは重要視してました。あと(自分は)テスト・ドライバーで、次の日、ティモが走る可能性もあるので、ぼくは(走りの)リスクは背負えないということが自分でもわかっていたんで、自分のペースで……。
残念ながら、20周しか走れなかったんですけど、ミスなく、積み重ねていこうということで。ほんとうはもうちょっと、できれば走りたかったんですけど、結果としてはミスなく、またタイムもそんなに悪くなく終われたというのは、自分にとってはすごく自信にはなったんですよね。
—-山科さん、鈴鹿での可夢偉選手の走りは?
山科忠パナソニック・トヨタ・レーシングチーム代表(以下、山科) チームでも、評価は高かったですよ。私自身も、可夢偉に、「よう役割を果たして、いい走りだったね」と言いましたし、「おまえの、今年一番のキレのある走りだったね!」とも……。
可夢偉 はい!(笑)
山科 褒めてんだか、けなしてんだか、わからない(笑)。
可夢偉 最後に、ラジオの無線の(ぼくの)言ってることが長すぎて、怒られました(笑)。何回か、繰り返してたんですよ、同じことを。そしたら、可夢偉、喋りすぎだよ!と(笑)。
山科 一生懸命ね、クルマの、このときはこうだという性能の話を、本人は、みんなにわかってもらいたいということで、ずっと、こう伝えるんですけれど、「長い!」(笑)
—-日本人ドライバーということへの期待は?
山科 今回は、ティモが走れない、じゃあ可夢偉に頑張ってほしいということですね。それと、GP2は、可夢偉は(体重が)軽いもんですから、ウエイト・レギュレーション(バラストを積んだときのマシン・バランス)がうまく取れなくて、それなら、F1でね。こないだ、雨のときに”いい走り”したし。
ぼくが一番嬉しかったのは、(雨の鈴鹿で)みんなで一緒に走ってるときに、可夢偉が1セクターで「赤ランプ」つけたとき! これはもう、飛び上がるくらい喜びました。
あと、二人だったかな、名前はいわないけど、チーム・プリンシパル(チーム代表)が、「小林くんは、雨のなか、しっかりといい仕事をしたね」といってくれたのは嬉しかったですね。そうだ、そうだ、と!
—-鈴鹿での経緯というのは?
山科 あれは突然で、ホテルからサーキットへ向かうクルマのなかで、知らされて……。
可夢偉 はい、クルマのなかですね。
山科 そんな段階で(走ることを)知らされて、そして(日本人には)プレッシャーのかかる「日本」で、かつ、雨で、鈴鹿で……。そして、ステアリングホイールはティモの(使っているもの)ままでという、あんな悪条件のなかでね。それで”赤いタイム”ですから、やっぱり、今年一番の走りだったですね。
あのときは、もっと(可夢偉に)走らせてやれと、ぼくは思ってたんだけど、タイヤがキレイだったんですよ。だから、ここで一回やめておいて、午後になったら、もう一度、小降りのときに……とチームは考えてたんですけど、ぼくは、どうせ午後はもっと降るから、ここで走らせろと思ってましたね。
—-ティモのケガが長引けば、アブダビも可夢偉で? さらには来年も?
山科 そのへんについては、何も情報がないんで、まったくわかりません。可夢偉にしたって、(いま考えてるのは)ブラジルでどうするかだけでしょ。
可夢偉 ぼくらは、毎戦毎戦が勝負なんで。