中嶋一貴木曜日会見全録 アブダビGP
◆低速コーナーと、二つのストレートのバランスがむずかしそうだ
—-ブラジルのあと、可夢偉選手とは話した?
中嶋一貴(以下、一貴) 直接は会ってませんけど、まあちょっと、テキストで「ごめんなさい」とは言われました。それだけですけどね(笑)。
—-今回は新しいサーキットですが、どんな準備を?
一貴 基本的には、ウイリアムズのシミュレーターを使って、二日間くらいですかね。セットアップをいろいろ試したり、ということはしました。
シミュレーター自体は、非常にリアルにできているので、サーキットの感覚、そこを走る感覚というのは、すごくよく掴めたと思います。
サーキットとしては、とくに最後のセクター3では低速コーナーがつづくので、ちょっとストリート・サーキットのようだという印象はありますけどね。
ただ、長いストレートも二つあるので、そこのバランスをどう取っていくのかというのは、ある程度シミュレーションで出て来てしまうところではあるんですけど。ここは、周りとの違いが出てくる部分だと思うんで……。
—-ダウンフォースのレベルは、いろいろ変化させてテストができたと思いますけど?
一貴 そうですね、ブラジルと似たようなダウンフォースのレベルということで、どちらかというと、付いてる方が(シミュレーターでは)よかったですね。ストレートが長い割りには、ダウンフォースは非常に付いていて、という……。周りのチームがどこにいるかによって、また、真っ直ぐのスピードは、という話にはなってくると思うんですけれど、ぼくらは、ぼくらがベストのタイムを出せるところをセットしていくだけなので。
—-ダウンフォースが多めでいいということは、ウイリアムズには合っているサーキット?
一貴 そうですね、とくに最後のセクターに関しては、レイアウト的には(ウイリアムズにとって)悪くないと思います。あとは、真っ直ぐが長いんで、そこでのロスとの兼ね合いになると思いますけど。
—-今回は、夕方のレースになりますが?
一貴 5時スタートということで、昨日は、この段階ではまだ陽が出ているという状況だったので、陽が低いと、ドライバーにとっては、目線に太陽が入ってくるので、そういう意味ではむずかしいかなと思いますけど。でも、それ以外は、大きな問題はないと思います。
◆シミュレーターでのラップタイムは1分41秒
—-コースは歩いてみたと思いますが、感想は?
一貴 歩いた感想ですか? 暑かったです!(笑)昼間の段階では、日陰はほとんどないですね。
—-ピットアウトは、地下に潜ってトンネルから出て行くことになりますが、幻惑されることは?
一貴 うーん、あまり考えなかったですね、それは。トンネル内にライトは付いてますし。
—-シミュレーターでは、そのへんも?
一貴 ええ、あまり気にならなかったですね。狭いピットレーンというのは、ほかにもあるので。シンガポールもブラジルもトルコもピット出口は狭いですし。
—-シミュレーターでのラップタイムは、どのくらい?
一貴 (1分)41秒くらいですね。これはちょっと、気持ち、速めだと思います。実際は、42秒、43秒、走りはじめはもっと遅いでしょうけど。
—-コースでの縁石は?
一貴 縁石はどこも低くて……ただ、コーナー全部に”逆テーパー”(外側が下がっている)が付いていて、それがほかのサーキットとはかなり違う印象ですね。
◆いやらしいコーナーだらけのサーキット!
—-このコースで”いやらしい”コーナーというと?
一貴 いやらしいのは、もう、やらしいのだらけですね(笑)。(ターン)5、6、7はそうですし、8、9も。11、12、13……17から19もそうですね。”いやらしい”コーナーばっかりです。
—-「いやらしい」というのは具体的には?
一貴 ほんとに(コーナーの)入り口と出口、ピッタリ(それぞれの)場所が決まってないと……。入り口、行きすぎたらロスするし、行かなくてもロスするし。出口もトラクションをロスするなど、いろいろ……。
—-富士の最終セクターみたいな感じ?
一貴 近い感覚はありますね。ただ富士の方は、もっと”ごまかし”が効きますけど。
—-走っていて、スカッとしない?
一貴 イライラは溜まっていきますね。シミュレーターで走っていて、おもしろいとは思わなかった(笑)。
—-シミュレーターでは、2、3コーナーはフラットアウト(アクセル全開)?
一貴 フラット(アウト)です、5速、6速。(ターン)3は6速ですね。
—-15〜16コーナーは?
一貴 16までフラット(アウト)で、16過ぎてからブレーキ踏むという感じですね。ただ、実際に走ってみるまでは何とも……。歩いてみたときは、ここは狭く感じましたけど。
—-ここは、公道コースみたいな感じもあるが?
一貴 そうですね、レイアウトはほんとに、公道コースみたいですね。コンクリート・ウォールは、ある程度開いてるんで、走ってる感じとしては、そんなに市街地ということではないですが。
◆オーバーテイクのポイントは、いくつかある
—-オーバーテイクのポイントとしては?
一貴 まあ、(ターン)8、11。7とかでも、何かやろうと思ったらできそうな気がしますけど。
—-暑さは?
一貴 もう、全然問題ないと思います。5時の段階で30度くらいらしいんで。でも、30度でこの湿度だったらまったく……、はい。
—-夕方から夜というレースで、バイザーの色は?
一貴 夕方は、薄いスモークかな。真っ暗になっても、薄い方で問題はないと思うんで。ただ、西日があったら、ちょっと問題なんですけど。ただ、陽が低いときって、空気も埃っぽいので、あまり、光が……という感じではなかったですけどね。
—-ここのコースを、初めて見たときの感想は?
一貴 実際に見たときですか? おカネかかってるなあと(笑)。
—-ブラジルでクラッシュしたあのモノコックは?
一貴 いえ、全然平気、生きてますよ!(
笑)そんなにひどいクラッシュではなかったですから。ジャンプしたんで、落ちたときが問題ですけど、そこで何もなければ……。(モノコックの)横はほとんど当たってなくて、ガードレールに擦ったくらいですから。バリアにぶつかったときも、前しか当たってないので。でも、できたら、新しいの使いたいなとは思いますけどね(笑)。
—-身体的にも?
一貴 ええ、次の日にはというより、その日からもう(笑)元気でした!
—-あとで、あそこで可夢偉が寄ってこなければ、と思った?
一貴 思い……ましたけど、まあ、しょうがないですね。あれだけスピード差があると(避けるのも)むずかしいし。(可夢偉が)二回動いたといえば動いてますけど、でも、べつにペナルティをもらったわけでもないし。だから、しょうがないです。