小林可夢偉木曜日会見全録 2 アブダビGP
◆ウォーマーでタイヤを温めるレースは、これまでしてない
—-ブラジルでは、クルマ(セッティング)は基本的にいじらずに、という作戦だったけど?
可夢偉 そうですね、今回はクルマを運転するというより、タイヤをうまく使って、(そうやって)使ったときのクルマの動きを見て──。前回とは違って、タイヤをしっかり「動かした」上で、クルマのセットアップをするという方向に持っていきたい。
そこそこ、(現状でも)グリップしてるように感じるんやけど、ほんまは、もっとグリップのレベルは高いところにあるというのが、たぶん、あると思うんで。
—-それは「F1」だから?
可夢偉 F1だから。ウォーマー使って、タイヤの温度が全然違うやないですか。ぼく、ウォーマー使うの、ウォーマー使うタイヤでレースするの、初めてなんで。ウォーマー使うというのは、設定温度も変えられるってことですから。たとえば、GP2のタイヤなんかは、ワーキング・レンジがすごい低いですよね? ワーキング・レンジの高い(タイヤでレースする)クルマっていうのは、全然違うでしょ。
—-それでブラジルでは、スーパーソフトよりもミディアムが使いにくかったのかな?
可夢偉 でも、あんまり話すと、また、ほかのチームが……(笑)。
—-日本語で喋ってても?
可夢偉 いや、世の中、わかんないですよ、たとえば日本人のワイフがいるとか(笑)。わかんないもんですよね、人生。
—ドバイで走ったときの「砂」って、ひどかった?
可夢偉 ドバイは、すごいですよ!
—-ドバイって、市街地?
可夢偉 違います違います。パーマネント・コースです。
—-次の日になると、また、もとに戻る?
可夢偉 戻ります戻ります。いや、取れないんですよ、砂が。ドバイでは、雨で残った砂を洗わずに放置してるから。それがまた問題なんですけど。
◆タイヤは、ここまでむずかしいとは想像してなかった!
—-TMGでは、エンジニアに何かいわれた?
可夢偉 いえ、べつに。逆にぼくが、タイヤをうまく使いたいからデータを……って言ったんですけど。エンジンも大事ですけど、タイヤの方も大事です!(笑)
—-それはF1に乗る前から、こういう傾向だろうなということはわかっていた?
可夢偉 ここまでむずかしいとは、思ってなかった! まあ、タイヤは未知の世界です、一番むずかしい……。
—-予選用の空のタンクでの走行も初めてだった?
可夢偉 予選は確かに大事なんですけど、それよりも、レースのペースをしっかり上げて、タイヤをうまく使うのが目標で。前回は、とりあえず、予選から、前に前に、で。
(F1というレースが)どんなものかというのも、わからなかったから。その点では、今回は違います。
—-あくまでも、レース重視で?
可夢偉 現実に(レースでの)ペースが速かったら、後ろからでも前に行ける。予選で前に行くよりも、レースでしっかり走って、その上で、予選も大事というのが”課程”やから。
◆速く走れれば、ドライバーはそのコースを好きになる!?
—-このコースは、おもしろく走れそう?
可夢偉 いやぁ、それね、速かったらおもしろいと思うんですけど、遅かったらおもしろくないと思うんと一緒やと……(笑)。遅いのに、俺、このコース好きなんや!という人いないですよね。だから、それはラップタイムと”相談”ですね。
—-ストップ&ゴーはおもしろくない?
可夢偉 速かったら、どんなコースでもいいんですよ。(グリッドの)後ろの人が、たいがい、あのコース危ないとか言うんですよ。ここはあまり好きじゃない、苦手〜とか。
—-鈴鹿も、遅い人はそう言ってたな(笑)。
可夢偉 でも、今回、レース「長い」でしょ?
—-55周、スピードが遅いしね、ここは。
可夢偉 ヤバいですよね。ぼく、保ちますかね?(笑)
—-大丈夫! ブラジルで大丈夫だったから。でも、反時計回りしか知らないF1ドライバーなんだ、可夢偉選手は?
可夢偉 かわいそうでしょ!?(笑)
—-でも、左回りがいいドライバーといわれるかも?
可夢偉 いやぁ、ぼく、ダメですよ、左回りは。理由? 何となく気分で、理由はナシ! マレーシアが嫌いですから。マレーシアの、ストリートの方じゃなくて、ちっちゃい箱庭のようなコースあるでしょ?
—-あれは、チョコマカしすぎだよね?
可夢偉 でも、あれ、一貴速いですよ。たぶん、あそこでF1したら、一貴、速い! ぼくは、あれほど苦手なコース、ないですけど。
—-ブラジルは、楽しかった?
可夢偉 天気さえ、安定してくれたら、あそこはいいですけど。
—-もう少し、ストレートが速かったら?
可夢偉 それは、いえてますね(笑)。
—-忍耐力が必要な、ジワッと行かなければいけないような低速コースはダメなんだ?
可夢偉 それは、嫌いですよ!(笑)
—-じゃ、ここは?
可夢偉 ストレス溜まるんですよね(笑)。でも、ニュー・タイヤでバシッと一発イケるようなクルマつくったら、ここは官能的ですよ。このコースの”楽しみ方”は、たぶん、それやと思う。ニュー・タイヤの一発! レース中はたぶん腹立つことばかりで、忍耐やけど。予選の一発、軽いときに、ここや!というときにそれができたら、できたときの快感は、それはすごいですよ!
—-データを見たりして、タイヤについてはかなり感触が掴めた?
可夢偉 いや、わかんないです、その感触は、まだ……。でも、方向性は見つかった。
—-それを試しつつ、明日は走る?
可夢偉 そうですね。
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