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トロ・ロッソ STR5

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トロ・ロッソ STR5
2009年まではレッドブルと資産を共有していたため、トロ・ロッソのマシンは基本的にレッドブルと共通。空力などのアップデートは数戦遅れて投入されるといった具合だった。ところが、規則が変わって2010年からは完全自主独立が求められることになった。ゆえに、2010年シーズンを戦うトロ・ロッソSTR5は、完全自主設計のマシンということになっている。

が、見ての通り、実際は2009年型STR4との違いを探すのが難しいほど、酷似している。燃料タンクの増大に合わせてホイールベースを延ばしたというが、どうだろうか。モノコックの肥大化を感じさせないとすれば、それはそれでデザインセンスがあることになる?

トロロッソは、イタリア・ファエンツァのファクトリー(元をたどればミナルディの施設)にマシンショップを増強するなどしたため、09年末までに数十名のスタッフを増強したという。総勢200名のスタッフで今後、STR5のリファインを手がけていくことになる。

また、イギリス・ビチェスターにあるレッドブル所有の風洞を買い取り、自チームで空力開発をしていく。ハードの移転だけでノウハウの移転が行われないのだとしたら、厳しい戦いを強いられることになるだろう。10年のレギュレーションでは、フロントタイヤのトレッド面が09年比で25mm狭くなった。そのため、フロントウィングやバージボード、サイドポッド回りの空力設計に大幅な見直しが必要になるはずだが、STR5にその痕跡は感じられず、とりあえず09年のクルマに10年のタイヤを付けてみた、ように見える。

見た目の印象でしかないが、Vノーズの突起がやや大きくなったようだ。突起のボリュームが増えたぶん、モノコック底面の肉抜きが進行したかどうかは未確認。いずれにせよ、(創設5年目だが)実質的に独り立ちしてスタートを切るチームが、マシン設計にコンサバティブなアプローチを持ち込むのは、リスクを回避するうえで正攻法。受け取ったマシンが前年の最速マシンなのだから申し分ない。いい素材を手にしたと言えるだろう。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】
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