ウィリアムズ FW32
ウィリアムズ FW32
ウィリアムズは改まった新車発表会を開かず、テスト前日、あるいは初日に記念撮影会を催すでもなく、合同テストが始まると2010年型マシンのFW32をコースに送り出した。F1マシンはフロントから見る率が高いから随分変わった印象を受けるが、顕著な変化はノーズに集中し、残りのエリアは前年型FW31の延長線上にある。
高い位置に配された偏平なノーズは、レッドブルが2009年シーズンの後半に投入した形状にそっくりだ。ご丁寧に、先端左右にカメラステーを配置する点までコピーしている。その結果、フロントサスペンションには大きな下反角が付くことになった。FW31はトラックロッドをアッパー・ウィッシュボーンとタンデムに配置していたが、FW32では単独でレイアウトしている。
フロントウィングもFW31の延長線上にあるデザイン。車体中央寄りに垂直のパネルを追加したのが、09年シーズン終盤仕様との大きな違い。翼端板まわりは非常に凝った造形だ。
サイドポッドのアンダーカットやポッドパネル、ポッドパネルにマウントしたバックミラーなど、サイドポッド回りのソリューションはFW31のイメージを受け継ぐ。エアポッドの形状と、その左右に小さな吸入口を配している点も同様。シャークフィンは採用していない。
コスワース製エンジンを収めるエンジンカウルは、後方に向かってなだらかに傾斜していく。リヤデッキを低くすること、そして、その低いデッキをカウルでカバーすることに腐心した様子がうかがえる。FW31はサスペンション・ユニットを収める部分がカウルの開口部になっており、そこが排熱口も兼ねていたが、FW32はユニットをコンパクトにまとめ、カウルで全体を包んでいるようだ。外寄りに配置されたエキゾースト出口は、傾斜したカウルに最小限の面積で開口部が確保されている。
現状、2段ディフューザーのデザインは、09年シーズン終盤の形状と酷似。リヤウィングは中央に2本のステーを持っていたが、10年型マシンでは廃止され、無柱空間を作り出している。