F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

◆ヘレス合同テストはあいにくの雨
ヘレス合同テスト3日目は、断続的な雨に祟られた。セッション開始の10時から17時の間の気温は、8℃から10℃。1周4.428kmのヘレス・サーキットの路面温度は10℃から12℃だった。

◆BMWザウバーは今日も順調
バルセロナの合同テストで、3日間ともフェラーリに次ぐ2番手タイムを記録したBMWザウバーは、ヘレスに舞台を移しても順調にプログラムをこなし、ポテンシャルを裏付けるタイムも記録している。

テスト2日目終了間際に小林可夢偉がトップタイムを叩き出しているが、3日目担当のP.デ・ラ・ロサは、58周をこなし、1分20秒736でこれまた2番手。BMWザウバーは、もしかするともしかする、という期待をもたせている。

チームは、雨が強くなると走行を中断してリスクを避けたが、開始早々、確認のためのインストレーション･ラップなしに連続周回に入るなど、マシンの信頼性の高さを伺わせつつ、ドライとウェットのデータを収拾。また、燃料補給ができないために、特に序盤、重い重量でストレスがかかるブレーキシステムのセットアップにも取り組んだ。

ステアリングを握ったP.デ・ラ・ロサは、「ウェットでもまったくポジティブ、でも、明日はドライ路面で走りたいね」と明るくコメントした。

◆ヴァージン
ヘレスF1合同テストで最も苦戦しているのがヴァージンGP。最初の二日間でを、それぞれ5周と11周しか走れなかったT.グロックからL.ディ･グラッシにドライバーが交代。2日目のトラブルを解決するために、作業を続けたが、朝のドライ路面に間に合わせることができず、本日の最下位。テクニカル･ディレクターのニック･ワースの能力は、一部で高く評価されているが、またまだ実力を見せるところに至っていない。

とはいえ、続々とニューパーツが到着する様子から、ジョン･ブース･チーム代表のノウハウを含めて、今後が注目されている。マシンじたいよりも、チームとしての初期トラブルを克服することにもう少し時間がかかりそうだ。

産みの苦しみ。

◆メルセデス
N.ロズベルグが、M.シューマッハからMGP W01のステアリングを引き継ぎ、スペイン地方を覆っている雨雲の中でテストを担当した。

午前中、雨が来る前にショートランをトライ。順調な滑り出しを見せ、その後、レインセッティングに移行、インターミディエイトとウェットのブリヂストン･タイヤの比較を、GPウィークエンドのシミュレーションと並行して行なった。終盤近くなって雨が強くなると、ピットストップの練習に切り換え、N.ロズベルグは53周の走行に留まった。ちなみに、最も走り込んだR.バリチェロは、120周を記録している。

テストを終えたN.ロズベルグは、「またドライで走れなかったのはアンラッキーだった」とコメントした。

「でも、比較テストでは得るものがたくさんあった。レースの週末のデータも取れたし、ピットの入り方やピットストップの練習もできたからね。クルマがとても扱いやすいことが今日も確認できた」。

メルセデスGPは、明日の最終日には、再びM.シューマッハにコクピットを委ねることになっている。

安定した走行を重ね、最も不気味な（?）メルセデス。

◆マクラーレン
L.ハミルトンが68周、約300kmを走行。路面がドライ状態の9時39分に記録した1分23秒985だベストタイムだった。

他のチームの多くが、テスト専用チームではなく、レースチームでテストを行っているが、マクラーレンのテストチームは、テスト3日目に、ウェット路面で、ブリヂストン･タイヤの比較テストに集中したが、気温が低すぎて有効なデータは多くなかった。しかし、午前中の束の間のドライ路面では、空力パーツの確認もこなしている。

ウェットの午後にL.ハミルトンはロングランにテーマを切り換え、タイヤの耐久性などを確認。明日も、L.ハミルトンがMP4-25に乗り込んでテストを担当することになっている。