◆どうした、ザウバー・チーム!(2/2)
◆新テクニカル・ディレクターがザウバーにやって来た!
[STINGER]編集長山口正己(以下、[STG]) ところで、ご存じのように、中国から大きな変化がザウバーに起こります。
羽端 お、ついに、ビッグなスポンサーがついた?!
[STG] いやいや、そうではないですが、テクニカル・ディレクターが若返ります。
羽端 テクニカル・ディレクターというのは、ホンヤクすると「技術監督」ですかね?
[STG] クルマの製作やセッティングの責任者です。マネージング・ディレクターが経営部門の長で、この二人が全体をまとめる立場です。チームやドライバーのエンジニアリングもテクニカル・ディレクターの仕事です。
羽端 チーム・エンジニアリングとドライバー・エンジニアリング?
[STG] チームの運営の予算に応じて、開発の振り分けを決めるのがチーム・エンジニアリング。ドライバーをなだめたりすかしたりして(笑)より速い状態に持っていくのがドライバー・エンジニアリング、というような分け方です。
羽端 ふーん、そうすると、たとえば、旧ブロウン、現・メルセデス、大昔はフェラーリのロス・ブロウン氏の場合は、テクニカルだけでなく、もっと広範囲で仕事をしている感じ?
[STG] そういうことになりますね。
羽端 フェラーリ時代は、ジャン・トッドがいたから、ロスは?
[STG] ジャン・トッドは、全体な流れをコントロールするのが役目。ブロウンさんの方がもう少し具体的な作業といえると思います。
羽端 なるほど。・・・で、今回ザウバーで、そのジョブに就いたのが?
[STG] フォース・インディアを速くした男、ジェイムス・キー。彼がテクニカルディレクターに就任しました。4月からの契約なので、中国GPが初現場になります。
羽端 彼のフォース・インディアでの実績というのは?
[STG] その前身のジョーダン時代からチームにいて、2002年には、なんと、琢磨のレース・エンジニアだったんです。去年のシーズン後半から、フォース・インディアが速くなったのは、ジェイムス・キーのテクニカル・ディレクターとしての手腕、と良い評判です。
羽端 そうか、急に速くなりましたもんね、フォース・インディアは? じゃ、彼がいなくなったら、今度はフォース・インディアが困りますね?(笑)
[STG] 困ってもらわないと、可夢偉が浮かび上がれない(笑)。
◆ザウバーは、どこが変わるのか?
羽端 マレーシアから中国というのは、時間もそんなになくて、またヨーロッパ拠点のチームにとっては”アウェー”状態のままなので、各チームともアップデートはないだろうと、可夢偉は語ってたけど?
[STG] ペーター・ ザウバー・チーム代表は、ジェイムス・キーさんとの最初の仕事は、「ザウバーC29というマシンの、本来の力を引き出すことだ」と言っています。テストで速かったC29ですから。トラブルの原因を突き止め、さらに新たなトラブルを未然に防いでポテンシャルを引き出す、というのもテクニカル・ディレクターの仕事ですから。
羽端 本来の、ね! それはいいですね。
[STG] ただし、ザウバー代表も言っています。”ベッドイン”までには時間がかかるって(笑)。
羽端 わはは(笑)、ジョークがキツいな。でも、具体的というかハード的なアップデートは、今回はできないにしても、チームのシステムやメソッドの点検とか、そういうことをやってくれて、クルマの「信頼性」を高めてくれるといいですよね。
[STG] ですね。
羽端 ともかく、せめてもう少し長く(笑)可夢偉がサーキットを走ってるところを見せてほしいです!
[STG] 可夢偉も、”入賞をめざします”とかいう絵空ごとではなく、”まずは完走”と言ってます。この冷静さが、結果にぜひとも結びついてほしいですね。
羽端 ザウバーは、レーシングチームとしても実績がありますよね。
[STG] 実績からいけば、ザウバーのレベルはかなり高いので、期待できると思います。いまは、ベッドインまでの時間を待ちましょう!!
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