M.シューマッハFIA木曜日記者会見全録
ミハエル・シューマッハー(以下、MS) たぶんレッドブルとフェラーリは少し先行していると思う。それに前のレースでは結果が出なかったけれど、マクラーレンもやや上と言えるはず。僕たちはまだ4番手にいる。
---あなたからみて、開発はどのように進んでいますか?
MS F1では、毎回のように新しいパーツが登場し、一歩ずつ開発が進んでいく。基本的な流れは満足できるものだ。もちろんバルセロナ(中国の次の第5戦)では時間もあるから、各チームがかなり大きくアップデイトしてくるだろう。僕たちもそのレースを楽しみにしている。
---3レースを終えて、3年前とずいぶん違うと感じていますか?
MS いろいろな問題やその種類から見て、F1はほとんど同じだと思う。マシンを走らせる方法もそうだ。もちろんマシンの性格は変っているけど、毎年毎年新しいマシンが登場し、それを必要に応じて改良していくということだろう。3年離れていたから、すこし時間がかかっているし、冬季テストが減ったこともあって、まだ時間が必要だろう。でも、感触は悪くないよ。思ったより順調なくらいで、楽に走れている。マシンがもうすこしよくなった時どうなるか楽しみだよ。 ---若いころだったら、トップに立てない状況にもうすこし苛立っていたのではないでしょうか? 今は落ち着いているように見えますが...
MS どれだけ若いころかにもよる。初めてF1に乗ったころは、自分のポジションも判らないわけだから、結果に満足していた。タイトルを獲ったあとなら、もちろん今ほど落ち着いてはいられなかったかもしれない。しかし、いろいろな経験を積み、休みも取っていたわけだから、現状にとても満足している。いちばん嬉しいのは、チームといっしょに仕事をし、マシンの開発など、現場のプロセスに関わっていられることだ。それがすごく楽しい。走るのも同じだけど、こっちの方はすぐに慣れたよ。面白いのは、細部をいろいろと詰めてゆく過程だね。 ---この気温の低さなので、特にハードコンパウンドのタイヤを発熱させるのが難しいのでは?
MS この先、暖かくなると思うので、問題ないと思うよ。
---なかなか勝てないことを批判する声も挙がっていますが、それについて反感を抱くことはないのでしょうか?
MS 長い間やってきたから、感情的な発言が起るのには慣れている。冬の間はみんなが熱狂的に声援してくれた。そんな状態になっていれば、反動が起るのは当然のことで、たいしたことではない。私自身も含め、これまでの成績に不満があるのは事実だし、もうすこし結果がよければと思う。しかし競争が激しいのだから、仕方のないことだろう。それに対してマスコミがいい反応をしないのも当たり前だ。でも、自分のやるべきことは判っている。状況はちゃんと把握しているから、僕自身ががっかりする理由はない。僕自身は満足しているし、他の人がどう思うかは、その人たちの問題だね。 ---昨日、フェルナンド(アロンソ)があなたについて、タイトルを争う候補のひとりだと言っていました。その見方に賛成ですか?
MS もちろん。新しいポイントシステムやマレーシアでフェルナンドがリタイヤしたことなどから、このあと何が起っても不思議ではない。僕もマレーシアでは完走できなかったから、どこかの時点で全員に同じようなことが起り得るだろう。開発速度がじゅうぶんなら、タイトル争いに絡めないという理由はないからね。まだ先は長いから、結果を予測するのは早過ぎる。開発が重要だし、そのスピードが速いことは、誰でも知っているだろう。僕たちにマシンを開発してゆく能力があることは間違いないから、もう今年は終りだなどと考える必要はまったくない。それはニコ(・ロズベルグ)にとっても私にとっても同じことだよ。
--- 上海へ来たのはこの4年で2回目だと思いますが、ここに何か特別な思いはありますか?
MS 久々に来て、街の進歩には目を見張らされた。2日ほど街に泊まって、あちこち見て回り、感心しているところなんだ。いつ来ても楽しい一戦で、ファンはすごく熱心だ。空港でもホテルでも、到着したときに大歓迎を受けた。そんなファンのためにも、レースではいいところを見せたい。 --- 2006年に引退する前、最後に優勝したのがここですが、前に勝ったときの感想を聞かせてもらえますか? あのレースのときどう感じていたのか、それを今回にどうつなげたいか、などですが...。
MS あまり過去を振り返る方じゃないから、それは勘弁してもらいたい。それより先のことを考えていて、自分ではどうしようもなかったこの2レースよりもよくなることを期待している。コースとマシンと状況がよければ、いいレースができるだろう。ここはいろいろなコーナーのある、かなり特殊なサーキットだ。バランスのいいマシンに乗っていれば、楽しめる。逆にバランスが悪いと、ターン1やターン13でひどいことになる。バランスのいいマシンなら、とても楽しいんだ。そうした状態によって、ドライバーの感情は大きく左右されると思う。
【翻訳:Shigehiro Kondo】