浜島裕英 タイヤ”deep”トーク–中国GPのためのメモ
◆ソフトとハードは、ロングランでタイム差0.1秒
浜島裕英 ブリヂストンMS・MCタイヤ開発本部長(以下、浜島) サーキット(路面)の状態は、FP1(午前中のフリー走行1)は、最後まで走っても、路面はよくならなかったと言う人(ドライバー)がほとんどです。FP2(午後のフリー走行2)はかなりよく(グリップが高く)なったんだけど、それでも、まだ十分でないと(多くの人が)言ってます。
それから、マイケル・シューマッハ選手のパンクは、トレッド面に、刃物のような傷が入っていたんで、何かを”踏んだ”(のが原因)だと思われます、縁石じゃないですね。
フューエル・コンサンプション(1周あたりの消費燃料)が、うちのデータでは2.68㎏/ラップ。フューエル・エフェクト(10kgの重さがタイムに影響する比率)が、コンマ35秒(0.35秒)/10㎏。
(走行し始めて)初期のラップタイムの違い、ソフトとハード(の違い)は約0.4秒で、ソフトが速いと思われます。いわゆる、空タンクの状態ですね。
ロングランした場合のソフトとハード(の差)なんですけど、これは0.1秒くらいソフトが速い。
◆ソフトでも30周は保つので、ワンストップになるはず
浜島 ”タレ”ですが、これは人(ドライバー)によっていろいろなんですが、平均すると、ソフトはだいたい2秒/ハーフレース・ディスタンス(レースの距離の半分)なんですけど、比較的速く走ってる人だと、2.8秒/ハーフレース・ディスタンスくらい行くんじゃないかと思いますね。
ハードの方は(”タレ”は)多くて1秒/ハーフレース・ディスタンス、と思われます。
フィーリング上は、最初はソフトの方がいいんですけれど、暖まっちゃうと(ソフトもハードも)あまり変わらないな、というのがマジョリティの意見です。
“タレ”は、リヤが主体で、だんだん、リヤの方から(走行性能が)落ちていってしまう。
ただ、人によっては、ソフトの方がリヤの”タレ”がちょっと大きくて、裏のストレートが終わったヘアピンのあたりで、リヤをコントロールするのがちょっとむずかしいと言ってます。
摩耗の方は、ソフトが15ラップで 完磨(完全摩耗)しちゃいそうな人がいるんですけど、一方で、長い人は36ラップくらい大丈夫なんで、おそらく、平均では、30ラップくらいは保つので、残念ながら(笑)”ワンストップのレース”でしょう。
◆決勝レースは、雨の気配も!
—-決勝は、ドライなんですか?
浜島 雨っぽい、ですよねえ!
—-ウェットタイヤを使うレースが多かったですが、これは想定内?
浜島 生産とか? それは大丈夫なんですよ。テスト用は(チームに)あまり送ってないですけど、レース用は(数は)十分です、ケチってない!(笑)
—-いま、空路がアイルランドの噴火による火山灰で停まっていますが、スペインGPは?
浜島 タイヤは、船で運んでるから大丈夫です。そのあと、陸路ですから。
—-運搬は、何日かかるんですか?
浜島 実日数は二週間です。ただ、港に置いておく時間が長いので、そうすると(運搬全体にかかる時間は)一ヵ月ですね。
—-リヤの”タレ”が大きいと言ってた人は、速い人?
浜島 速い人、ですね。・・・というか、誰でも、リヤが”来てる”。そのなかでも、速い人は、リヤが”きびしい”。
でも、じゃあ速い人のリヤが”ささくれて”いるかというと、そんなことはなくて、フロントもけっこうアブレーションは出てますね。
よく見ると、ハードも出てるんですけど、まあ、若干、浅いかなという感じで。
—-ハミルトンとバトンでは?
浜島 ハミルトンの方が、リヤ(タイヤ)の使い方は”きびしい”かもしれないですね。バトンより、リヤはささくれてるので。でも、レースになったらわかんないですよ。
—-メルセデスは?
浜島 (三強に)追いついてきましたね。
—-明日は、どのくらいのタイム?
浜島 少なくとも(今日より)1秒は速くなるでしょう。
—-1コーナーのギャップがひどくなっているのは、クルマのせいだと思われますか?
浜島 いや、ひどくなってきてますよね、回って(目で見て)きたけど。あと、出口がバンクになっていて、ストレートに戻るコーナーのアンジュレーション(コース上の起伏)もデカいです。
—-さっきの燃費というのは、BSとしてはどうやって算出しているのですか?
浜島 あれは平均値です。だから(チームによって)誤差、ありますよ。エンジンによって、ほんとは出さないといけないんですが、それはちょっとできないから、全部をガシャッとまとめて(平均値として)やってます。・・・でも、一発、アクセルをバーンとやれば、百何十グラム、ガソリンは飛んで行っちゃうので、なかなか(燃費の算出というのは)むずかしいですよね。