M.シューマッハの”進撃”が始まった!
M.シューマッハが着実に復活の道を歩み始めた。土曜日の予選を前に、N.ロズベルグとの差が明確になった。
なにが変わったのか。ひとつは、M.シューマッハ自身の身体が、レースを走らなければ付かない筋力がついてきて順応できるようになったこと。ロス・ブロウンも、「中国は特別にツキがなかったが、それを除けば、マイケルは順調に進化している」とコメントしてたが、フィジカル面でも、十分に”走れる身体”ができてきたのだ。
さらにそれより、メルセデスMGPW01が”シューマッハ仕様”になったことが、”進化”の大きな要因だ。今回、メルセデスがロングホイールベース化したことに合わせて、R.ブロウン代表を含めたチーム全体が、M.シューマッハ・シフトになっていることが見えている。
M.シューマッハは、”フロントタイヤで走る”オーバーステア傾向を好む。だが、ここまでのクルマは、”バトンのクルマ”(F1アナリストの津川哲夫氏)だった。さらに今年のタイヤは、フロントの径が小さくなり、リヤタイヤで走る方向だった。メルセデスGPは、ヨーロッパ・ラウンド緒戦のスペインGPに向けて、というより、すでにシーズン開幕前から、その傾向のマシンを、M.シューマッハ好みに改良する開発を行なってきたのだ。それが完成した。
そうなると、N.ロズベルグのポジションが苦しくなる。N.ロズベルグは、M.シューマッハとマシンの好みが逆。J.バトンに似たマシン特性が好み。だから”バトンのクルマ”だったここまでは速く走れた。だが、マシン特性が、フロントタイヤで走るオーバーステア好みの”M.シューマッハのクルマ”になると、N.ロズベルグは辛くなる。
土曜日のフリー走行3のリザルトは、レッドブル、マクラーレン、メルセデス、フェラーリの順に並んだ。特徴的なのは、それぞれ二人のドライバーのポジションが連続していること。唯一メルセデスを除いて。
R.ブロウンが金曜日からM.シューマッハにつきっ切りだったことも、チームのM.シューマッハ・シフトを語っている。F1は弱肉強食の世界だ。今後、M.シューマッハの活躍と同時に、N.ロズベルグが、このシチュエーションにどう対応するか、ということも注目しておきたい。