ホットライン2010 round 6 モナコGP 1/2
クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとスティンガー編集長が、モナコGPの裏舞台をズバリ診断する。
◆可夢偉のコメントが切ない・・・
羽端恭一(以下、羽端): うーん、可夢偉・・・。最上位は何位まで行ってたんでしたっけ? 8位?
STINGER編集長山口正己(以下[STG]) 見かけ上では5位。
羽端: グリッドは「16番」でしょ? そこから?
[STG] ですね。その時点で可夢偉だけがタイヤ交換をしていなかった。
羽端: それでも、5位まで上がっていた!
[STG] 上ったというか、結果的に暫定順位がそうなっていた。他はタイヤ交換した後なので、それ自体は意味がないですが、作戦としては、予定通りだった。この後、タイヤ交換に入るタイミングが肝心なのです。
羽端: あぁ、それが可夢偉が言っていた”秘策”ですかね?
[STG] どうもそれとは違うようで、予選の状況で別の”秘策”があったようです。可夢偉は、「秘密」と言っていましたが、彼のことなので、そのうちネタを教えてくれると思います。
羽端: では、今回の方法というか戦略は?
[STG] タイヤ交換まで、上位に食らいついていく。すると何が起きるかといえば、タイヤ交換を終えたときに、後続の新参集団の前でレースに戻れるわけです。そのタイミングをうまく使えば、空いた空間で前にひっかからずにペースを上げてタイムを稼げる。それを最もうまくやったのがアロンソです。
羽端: ピットスタートで、そして、1周目にピットインした。
[STG] そうそう。で、巧いことに、というか、F.アロンソとフェラーリの予想通りにセーフティ・カーが出て、その後れを一気に取り戻した。だから、他がタイヤ交換に入ったときに、M.シューマッハの前に出るという大成功!! になったわけです。
羽端: なるほど、だから最後は、F.アロンソのタイヤは使い切ってしまっていて、M.シューマッハに迫られた。
[STG] M.シューマッハのことなので、後ろからアロンソ/8フェラーリのタイヤがどういう状態か観察していたと思います。
羽端: それにしても、「フェラーリ/フェラーリ」はあまり──あまりね!(笑)壊れないけど、何で「ザウバー/フェラーリ」は、いっつも壊れちゃうんですかね?
[STG] 可夢偉は会見で、「F1てこんなに壊れるんですか?」と言ってました。まぁ、壊れる理由がわかれば、とっくにフェラーリは手を入れているわけで(笑)。
羽端: 可夢偉のそのコメントは、残念を通り越して、ちょっと「切ない」です・・・。
[STG] う〜ん、でもここが我慢のしどころですね。まあ、外野は好きなことを言えますけど(笑)。
羽端: 運転手のせいでなく、クルマのせいでリタイヤしてるチームって、今年、ザウバーだけじゃないですか?
[STG] まぁ、そうでもないですけどね。今回のバトン/マクラーレンもそうだし、アロンソ/フェラーリも、ここまでにエンジンを壊していますからね。でも、マシントラブルは少ないと言えば少ないかな。ザウバーに限れば、ここまでの6戦の可夢偉とP.デ・ラ・ロサで通算12スタートのうちマシントラブルによるリタイアが7というのは多すぎますね。
羽端: まあ、ほかのニューカマーたちは、運転手がクルマを”壊す”ほどには、速く走れない・・・のかもしれないですけど。
[STG] ちなみに今回のモナコ、新参チームは全滅でした。アクシデントもあったけど、いかにモナコがいろいろな意味で特別か、ということを証明した格好ですね。
羽端: ただね、ちょっと先走りしすぎますが(笑)、来シーズンも含む「これからの可夢偉」は、ほかに移るのではなく、ザウバーをもっと速くしてほしいと思ってます。
[STG] どうして?
羽端: なんかね、”似合う”という感じがあるんですよ、可夢偉とザウバーって。根拠は何だ?といわれると、ちょっと困るんだけど(笑)。
[STG] あ、そう言われれば。
羽端: あるいは、いまクビツァが「やっていること」ですね。クルマはちょっとアレなんだけど、でも、ケースによっては、クビツァってやつは速いね! というのを、世界に示してほしい。
[STG] それはそうですね。でも、すでに、彼の運転のていねいさや、アクシデントを最小限にとどめる反射神経は、関係者が認めるところとなってます。われわれ外野やファンの場合、成績だけに目が行っちゃいますけど。
羽端: なるほど、見てる人は見てる、と。
[STG] なので、同じく今年がF1新参の、ルノーのV.ペトロフやウィリアムズのN.フルケンべルグが、チームメイトのR.クビツァやR.バリチェロとどういうタイム差なのか、ということを、可夢偉とP.デ・ラ・ロサの関係で見ると、可夢偉の力が見えてきます。それは、今後も、Clockwork Kamuiで紹介しています。