浜島裕英 タイヤ”deep”トーク–カナダGPのためのメモ(1/3)
2年ぶりのカナダGPを迎えるジル・ヴィルヌーブ・サーキットの路面は、タイヤにとって最も厳しい部類に入る。タイヤを供給するブリヂストンの浜島裕英モータースポーツタイヤ開発総括責任者に、レースの見所を訊いた。
◆路面に、タイヤが食いついていかない
浜島 前戦のトルコは、タイヤにはまったく問題なく、われわれとしては非常に満足できたレースでした。
ただ、「シビリティ」が、やっぱり、レースのときにはちょっと下がってるんじゃないかということで、これはいま、調査中です。
予選は速くなってるんですけど、レース(決勝)は遅くなっていたから、その部分で、タイヤ(への負担)がラクなのか、タイヤがしっかりしてきたのか、そのへんを見極めたいなという風に思ってます。
で、今日は、スーパーソフトとミディアムを持って参りましたが、路面がとにかく汚かったのもあるし、それから、まだまだ「滑ってます」ということですね。最終のシケインを見に行きましたけど、ゴムが全然「くっつかない」んですよね。だから、路面の改善というのは、あんまり進んでない感じです。
ですから”ささくれ”が、プライムもオプションも、両方出てるんですけど、”見た目”が、これまであった”ささくれ”と違って、「ちぎれ飛んでる」──ゴムがまったく溶けてなくて、何というか、ヤスリをかけられて、そのままちぎれ飛んでるような”ささくれ”ですね。
また、フロントの一番「イン側」には、「トランスバース」の(横方向の)グレイニングが出てますし、リヤも当然、トランスバースのグレイニングが出てます。それが今回の特徴ですね。
ウォームアップ(タイヤの暖まり)に関しては、スーパーソフトが「1〜2周」、それからミディアムの方は「2〜3周」という人がマジョリティですが、ただ、「ピークを感じない」というか、グリップ全然してないという感じの人(ドライバー)もいる。
スーパーソフトは、トラクションはあるんだけど、リヤのスタビリティが足らない。また、3〜4周後に”タレ”が大きくなるというのがあって、使いにくい、という意見ですね。
それから、ミディアムは、”タレ”はスーパーソフトより少ないんですけど、4〜5周すると、徐々にタレて来ます・・・というのが、現在の状況ですね。
「フューエル・コンサンプション」(1周あたりの燃料消費量)は、うち(ブリヂストン)の計算では、2.18㎏/ラップ。
そして、「フューエル・エフェクト」(重さのラップタイムへの影響)は、0.25秒/10㎏(10kg重くなると0.25秒遅くなる)、です。
それから、”タレ”ですね、「デグラデーション」は、プライムが7秒/ハーフレース・ディスタンス、オプションが16.2秒/ハーフレース・ディスタンスです。
ロングランのときのラップの平均値は、プライムが19.3秒、オプションが19.8秒で、オプションの方が遅いです。
チームによっては、コンマ9(0.9)秒くらい差がある場合があって、オプションの方が、クルマが重くなると遅いです。
ただ、「空タンク」の”一撃”(一発のタイム)については、明日、見てみないとわからないというのが、実際のところではないかという風に思います。
(2/3につづく)