ホットライン 2010 round 8 カナダGP (2/2)
◆”タイヤが保たない”グランプリ、その迫力とおもしろさ!
羽端: それにしても、あのブリヂストンのキャリアをもってしても、”対応タイヤ”がつくれないコースっていうのがあるんですね。
[STG] そもそも、路面が厳しすぎることと、別の視点から、F1チームに反省の色がない、というか。
羽端: というと?
[STG]多くのチームが、初日に、”想定したよりダウンフォースが必要なこと”を発見しています。グリップが低い路面だから、ダウンフォースが必要なのは事前に分かるんじゃないの、という意見もありました。
羽端: ははあ、その「想定」が甘いじゃないか、ということですね?(笑)
[STG]ほとんどのチームが、金曜日に”おんやぁ、考えていたよりダウンフォースが必要だぞ”と気がついた。ザウバーだけじゃなかったわけです。
羽端: なるほどね。でも、序盤の各チームのタイヤ、その交換状況を見てると、ハード側であっても20周は保たない? こんなレースだったのでは?
[STG]ですね。なにしろ路面が特殊なので。
羽端: でも、逆にすごいと思ったのは、そんなに”保たない”タイヤで、終盤は、みんな、エンエンと走りつづけたこと!(笑)
[STG]それそれ、可夢偉が言ってる”持ってるもので走る”というのが今回証明されたわけです。
羽端: 地上波の画面にも、コーナリング中の、表面がボロボロになったタイヤが映りましたが。
[STG]それをどう使うか。与えられたものに差があるわけではないので、逆に言えば、ゴールまで保っちゃうタイヤだと面白くない(笑)。日本のフォーミュラ・ニッポンの場合、保っちゃうタイヤを交換していることろに面白くなさがあると私は思っています。
羽端: ははあ、そんなことがあるんですね。シゴトがテイネイというか、重箱の隅というか(笑)。しかし、今回のカナダは、どんなタイヤでも走れる!・・・という、勇気あるドライバーが勝ったレース、だったのかなあ?
[STG]勇気、ですね。例えば、M.ウェバーとS.フェッテルをその視点で比較すると、”まぁこんなもんだろう”と『経験』で思えるM.ウェバーと、 “大丈夫かな”と不安を感じつつ走るS.フェッテル、みたいな。
羽端: なるほどね、雨と思えば、まだマシじゃないか、とかね(笑)。そんななかでも、比較的タイヤに”やさしい”クルマが、マクラーレンとフェラーリだった?
[STG]それは言えてますね。タイヤにやさしい、という表現が正しいかどうか分からないけど、特に予選のマクラーレンは、ハンドルを切っただけちゃんと曲がっていた。F.アロンソに関しては、ていねいでもともとタイヤにやさしい運転をするドライバーですから。
羽端: レッドブルは、今回は、タイヤのそんな件も含めて、うまくクルマを「つくれなかった」レースであったような気がします。
[STG]ですね。でも、私的には、そうしたハードのことよりも、ソフトが効いていると思いたいんですよ。
羽端: 二人のドライバーの関係?
[STG]そうそう。チームは大人だから、仲直りさせました、と発表した。しかし、予選でM.ウェバーに負けたS.フェッテルが会見で若干引きつった顔をして「クリーンサイドだから」と言っている。”だからM.ウェバーを抜ける”という意味に取れますね。そこがスタートの見所だったんだけれど、M.ウェバーがギヤボックスの交換でグリッドダウンになったから、それは実現(笑)しなかった。でも、ホーナー代表はホッとしたかも(笑)。
羽端: ふーん、それは”新聞には載らない”ネタですね(笑)。でも、今回のカナダで「勢力図」が変わったというよりは、カナダという特殊性が、こういう結果になったという感が・・・。
[STG]それはあると思います。グリップの低い路面、ほとんどのドライバーが初経験のスリックタイヤ、高速でコンクリート・ウォールが近いコース設定と、経験が必要な要素が山盛りでしたから。
羽端: 次はバレンシアですよね。ここも公道でしたっけ? 去年は、どんな予選結果だったんですか?
[STG]忘れた(笑)。バレンシアは、たぶん19戦のうちで一番面白くない(笑)。 って、実は、プレスルームがパドックからもコースからも遠いんです。地下鉄で通える、という意味では、モントリオールやメルボルンと同じなんだけど。
羽端: え? だから?(笑)
[STG]気分は重要なので(笑)。でも、ひとつだけスペインで勇気が出ることがある。
羽端: うん?
[STG]深夜に帰ってもレストランが開いている!! 他のコースは、だいたい閉店後で、レトルト食品で我慢してますから。
羽端: ああ、スペインの夜は”長い”みたいですね! バル(BAR)でしたっけ、夜中までずっとやってるということで。
[STG]レストランが開くのが夜8時からですから。あ〜早くバレンシアに行きたい(笑)。