ザウバー、喜びの声(3/4) 「間違いなく速かったから、あとは試してみるだけだった」
◆その3 小林可夢偉
「間違いなく速かったのだから、あとは試してみるだけだった」
—-ラスト2周でフェルナンド・アロンソとセバスチャン・ブエミを相次いで抜きましたが、危なくなかったんですか?
小林可夢偉(以下、可夢偉) どうだろう・・・。マシンの感触は良く、タイヤが新しかったので、フェルナンドやセバスチャンより、グリップがはるかに高かった。タイヤを交換してから4周していないので、ペースを明らかに上だったし・・・。間違いなく速かったのだから、あとは試してみるだけだった。
置かれた状況の中で、最善の結果を出したかった。ブレーキング時に相手が変な動きをしないかぎり、抜く自信はあった。そして、ふたりとも優秀なドライバーだから、ゴールまであとわずかという状況で手に入るポイントを棒に振る危険を犯してまで、無理に抑えようとはしないだろうと考えた。
—-イスタンブールではタイヤを早く消耗させてしまいましたが、バレンシアではその経験が役立ったのでしょうか?
可夢偉: 間違いなくそうだと思うよ。あれは、いい経験になった。ただし、タイヤの消耗ということに関しては、かなり状況が違っていたけれどね。バレンシアではタイヤの状態をよく観察し、ハードコンパウンドで53周は走れるということを確認してあったんだ。
—-40周にわたって1〜1.5秒後方を走っていたジェンソン・バトンから、大きなプレッシャーを受けていたのではありませんか?
可夢偉: もちろんプレッシャーはあったし、特にセーフティカーがいなくなった直後はそうだ。ジェンソンがこっちより速いマシンに乗り、新しいタイヤを履いていることは判っていた。一方で、あのサーキットでは追越しが容易じゃないことも知っていたので、無理をしないでタイヤを消耗させないように走り続けることにした。タイムは上っていたけれど、いちばんに意識していたのはタイヤを長持ちさせることだった。
—-今回のレースで、自信を深めたのではありませんか?
可夢偉: レース中、速いペースを保ったまま楽しく走ることができたことが、特に大きな自信になった。僕たちの弱点が予選にあることは間違いない。もっと良いグリッドを確保できれば、これまでよりポイントを獲得する機会は増えるだろう。
バレンシアでは特に予選と決勝でコースの状態が違っていた。レースの方がグリップが高い、それが僕たちには幸いしたんだ。周回を重ねるにつれてグリップが良くなり、しかもマシンが軽くなっていっただけブレーキング時の安定性やトラクションも向上していたからね。