小林可夢偉 土曜日会見全録 イギリスGP
可夢偉は、超高速のシルバーストンの予選で12番グリッドに落ち着いた。Q3には進めなかったが、それは当初からの予測通りだった。それより、今日の収穫は、”ある発見”だった。
◆12番手グリッド、攻めるか、安全策か、微妙な位置だ!
—-予選12番手という結果で、でも、チームメイトにタイムで負けてるのは「高速S字」の部分だけです。これには何か原因が?
小林可夢偉(以下、可夢偉) 原因というか、基本的には、ほんのちょっとした些細なことで負けてるだけなんで、あまり気にしてないです。
まあ、今日の場合は、クルマをうまくまとめきれなくて・・・。そして、それプラス、ちょっとした些細なことで負けてるということなので、自分の経験からいっても、まあ、これでいいかなと思ってます。
—-すると、明日のレースは?
可夢偉: 何かいい作戦が見つかるといいんですけど。でも、ポジション的には中途半端で・・・。何か”抜け道”があるといいと思いますけど。
—-12番手というのは、ポイントを狙える位置なのでは?
可夢偉: ・・・だから、それで、リスクを取るのか、安全パイで行くのか、という・・・。(そういった迷いが出る)”むずかしいポジション”ということですね。
—-クルマのバランスは?
可夢偉: うーん、若干、予選でタイムを出すということについては、”まとまりにくいクルマ”というか、すごくラインの”狭い”クルマになっているので、その部分は、ちょっと予測はしてなかったんですけど。
ほんとは、もう少し路面がよくなってたら、全然違った方向へ行ってたと思うんで・・・。思ったよりは路面がよくならずに・・・というのが(予選での)一番の問題じゃないですかね。
◆ストレート・スピードは、やっぱりイマイチ・・・
—-ザウバーは、決勝でのペースはいいので、その点、期待してしまいますが?
可夢偉: まあ、抜ければいいですよね! でも、このサーキット、プラスぼくらのクルマ(という条件)では・・・(笑)
—-ストレート・スピードはどうですか?
可夢偉: ストレートはよくないですね。(他車がわからないが)たぶん、よくないと思います。
—-このサーキットが非常にバンピーであるという点については?
可夢偉: そうですね、そこでガマンするのか、(攻めに)行くのかというのは、自分で冷静に考えながら、場面、場面で、動いていかないといけないと思いますけど。・・・いやあ、むずかしいですね、明日は!
—-でも、金曜日よりも、今日はとてもポジティブに見えますが?
可夢偉: とりあえず、ポイントを取れれば十分だと思うし。レースに向けては、いままでよりは(グリッドが)”いいポジション”になっているので、そういう意味では、若干、気はラクですけど。
逆に、こういう状況で、どういう戦略にするかということの方が問題ですね。
—-これが最高速のデータですが?
可夢偉: いやあ、アタマ痛いですね! 見たくなかったな、これは(笑)。
◆シルバーストン攻略のための、秘密のルートがある!?
—-さっきの「些細なこと」というのは、どういう些細なこと?
可夢偉: えー!(笑)
—-企業秘密?(笑)
可夢偉: いや、単純に、ちょっとしたコーナーで、(ぼくが)ステアリングを切りすぎていて、それが抵抗になって、それで、コンマ2〜3(秒=0.2〜0.3秒のロス)。それ、知らなかった・・・というか、そんなこと、考えてなかった。
—-それは高速コーナーで?
可夢偉: どこでも!
—-知らなかったというのは、終わってから、自分で発見した?
可夢偉: いや、エンジニアから(聞きました)。そういうのがあるんですよ、マクラーレンでも、よく知ってるんですよ。
それ(ステアリング切り角)だけで、コンマ2〜3は変わる。でも、それを言い出したら、キリないですけどね。
—-それは、シルバーストン以外のコース、どこでも有効ということ?
可夢偉: とくに、シルバーストンで! シルバーストン・コース、シルバーストン・スペシャルっていうのがあるんですよ。そういうの、教えてくれる。ハミルトンとかみんな、知ってます。
—-シルバーストン・コース?
可夢偉: ええ、レッスンみたいのがあって・・・。
—-走り方ということ?
可夢偉 走り方じゃなく、このコーナーは、こういう風に(ラインを)取ると、ここで、どれだけ(タイムを)稼げて、と・・・。みんな、言ってます、ティモ(グロック)もね。
—-バリチェロなんかが速いというのは、そうした経験に裏打ちされたものがあるから?
可夢偉: 最後に、ドーン、と。それにぼくは、だまされた(笑)。
—-それは、コーナーでのライン取りだけでなく、コーナーとコーナーの間の短いストレートに、どういう風に向かえばいいか、ということも含む?
可夢偉: いや、それですよ! 1コーナーを出て、2コーナーに向かうまでに、どうするか。それを、ぼくは知らなかった。
—-新レイアウトになって、コースは新しくなっているけど?
可夢偉: でも、(ここの)メイン・コースというのは、(これまでと)ほとんど一緒じゃないですか。たとえば、最終(コーナー)の出口から直線というところ、右へ、けっこう曲がってるじゃないですか。ここなんか(影響が)デカいです。
◆ペドロは知っていた、速く走るための”シルバーストン・コース”
—-それは、聞いてみたら、知ったら驚いたっていうこと?
可夢偉: データ見て、ビックリです。あれー!? マジ、感動した(笑)。
—-昨日の段階では、チームメイトは、そのデータは?
可夢偉: 出してなかった。
—-それは、ペドロの「経験」ですね?
可夢偉: (頷く)
—-それは、予選での走りということ?
可夢偉: いや、予選だけじゃないです。
—-単に、アウト・イン・アウトというだけじゃない、ということですね?
可夢偉:
b> そこまでは、まだ、ぼくはわからない。
—-でも、「違い」があるということはわかった?
可夢偉: そうですね。ここ、シルバーストンには、そういう”マジック”があったということ・・・。
—-明日の決勝では、それは有効?
可夢偉: 明日は、まずは、それを試してみて・・・。有効というか、やってみないと・・・。
—-それを聞いたときは、どう思った?
可夢偉: 早く、言えよ!(笑)予選が終わってから、言い出したから。
—-彼は、ティモのエンジニアだったからね。
可夢偉: こういうのあるんだけど、知ってる?(と、訊かれて)え、知らん(笑)。
—-「それ」は、知ったら、すぐにでも試してみたいですね?
可夢偉: (レーシングカーでなく)自家用車でも(コースに)行ってみたいですよね。
これまでは、クルマをよくしよう、ばっかりで。そんなこと、考えてもなかったから。
—-でも、カート時代でも、こうすればコース内で最短距離だとか、そういうの考えてたでしょ?
可夢偉: まったく、考えてなかった(笑)。とりあえず、前へ行け!ばっかりで。
—-昨日言っていたバランスの問題は?
可夢偉: たとえば、(舗装が)新しいところと、そうでないところで、アンダー/オーバーの挙動が違う。それを(クルマとして)合わせきれてない。
—-全コーナーで「合わせる」のは不可能だから、どこをメインに合わせるかということで?
可夢偉: そうそう。鈴鹿でもどこでも、全コーナーで”いい”クルマというのはないので。
—-ここの、セクター1は?
可夢偉: セクター1は、全然大丈夫です。コーナー、自体は。
—-このコースの、抜きどころは?
可夢偉: まあ、コースから見ても、ムリでしょうね(笑)。でも、抜かれるのは、どこでも抜かれますよ、この速度差だったら。