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浜島裕英 タイヤ”deep”トーク ドイツGP 2/2

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◆タイヤを管理する能力には、チーム差がある!
—-シューマッハ選手が、今年は、同一コンパウンドでも、性能差やバランスの違いがあると、会見で言っていましたが。
浜島
 といっても、彼は去年は(グランプリを)乗ってないけどね(笑)。でも、そういうことを言っているチームはあります。・・・ありますが、はっきり言うと、そういうチームは「タイヤ・マン」があんまり優秀じゃないですね。

コンパウンドの差は、まず、ないと思いますよ。うちも(ブリヂストンとして)何個か、タイヤチェックするけど、差は出て来ないです。その差が出て来ちゃうのは、大変なことなんだけど。それよりも、(チームによる)タイヤの管理が、もっと正確に成されなければいけないと思います。

たとえば、あるチーム(編集部注*フォース・インディア?)、予選になると、よく失速するから、それは(原因として)タイヤが悪くなるからというけど、だったら、その逆もあっていいはずでしょ、と。でも、それはないですからね。

(ちゃんとしていないチームの場合)タイヤ・ウォーマー、何時に付けたの? 付けたときの記録、見せてよ・・・といっても、(その記録が)ないわけですよ。

(チームのなかで)タイヤ・マンは、労働時間が最も長くて、そして、給料が一番安い。トップチームは、それなりに(給料が相対的に安くても)いい人をちゃんと配置してるから、タイヤがちゃんと管理されてると思いますけど。これは、昔から、私たちがF1に参入したときから、ずっとそう(変わらない)ですね。

—-そのバラツキは、シャシーのポテンシャルで、違いが出てくるということも?
浜島
 それはありますよ。クルマのポテンシャルが高ければ、その差は出にくくなりますよね。
タイヤの内圧の管理ができなければ、車高は微妙に変わるし、空力も変わっちゃいますよね。

それから、自分たちで勝手に、ウォーマーの温度を上げて、長時間保管していれば、今度はタイヤの「物性」 自体も変わってくるから。そのへんをきちんとやらないと、タイヤは、正確には使いこなせない。

—-そういうサジェッションや指示は、ブリヂストンの側からは?
浜島
 言ってますよ、もちろん。でも、言っても(指示を)守れないわけですよ。・・・質問が出たから、あえて言いますけど(笑)、結局(いくつかチームは)「ちゃんとやってない」んですよね。

—-具体的な指示としては?
浜島
チームが使っているウォーマーによって違いはあるけれど、80℃以下で3時間前から。そうすると、温度も内圧も安定する。それはちゃんと言ってあります。でも、温度を高くしたいからと、90℃にするのはいいけれど、それを何度も繰り返すと、ヒートサイクルに入ってしまう、といってあります。

—-料理で言うと、外側だけ焦げちゃう、というような?
浜島
ですね。

—-トップチームは、そういう点はきちんとしている?
浜島
 きちんとしてますね。とくに、パージング(余分なもの=タイヤの場合湿気など=を取り除く作業)が禁止になったから、そういうところ、神経使ってると思いますよ。

・・・だから、マイケル(シューマッハ)が、もし、そう言ってるとしたら、彼が2006年に使っていたゴムの方が、よっぽど敏感だから・・・。(ミシュランとブリヂストンが)コンペティションしていた頃の方が、ピークがきびしかったですからね。いまの、ワンメイクになってからのタイヤは、割と温度に対して、ダラーンとしてるから、それから言ったら、彼(マイケル)の言ってることは、ちょっと・・・(疑問がある)。そうじゃない部分を、よく考えてほしいと思いますね。

—-シューマッハは、そういうことを会見で言うことによって、チームに伝えようとしている?
浜島
 すみません、昨日の会見、聴いてなかったから、よくわかりません(笑)。

まあ、得てして、エンジニアも、われわれ(タイヤ・サプライヤー)を(チームに)呼んで、何で違うんだということを、わざと、ミーティングで言わせることがあるけどね(笑)。(チーム員が)チーフ・エンジニアの言うことは聞かなくても、ほら、タイヤ・サプライヤーだってこう言ってるだろうって、チームに、いうことを聞かせるために。

【STINGER / text by Iemura Hiroaki】

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