ヘレス・テストで自信を深めたピレリ
これまでのテストを担当してきたハイドフェルト。
2010年9月16日 ヘレス
20年ぶりのF1復帰に備え、ピレリ・タイヤは集中的なテスト・プログラムをスペイン南部、ヘレス・サーキットで進めている。使用するマシンはピレリが開発用に入手したトヨタTF109。ステアリングを握るのはニック・ハイドフェルトだ。ジョルジョ・パンターノもヘレスで来年からピレリ・タイヤを使用する新しいGP2 マシンを走らせた。
1周4.43kmのヘレス・サーキットでは、過去にスペインGPとヨーロッパGPが開催されており、テクニカルなレイアウトと年間を通じて温暖な気候から、F1チームがテストを行う場所としても人気が高い。
今回のテスト初日は、強い日射しが照りつけ、摂氏38度という暑さの中で行われた。2日目はやや雲が多く、最高気温は摂氏24度だった。
ヘレス・サーキットには低速から中速、高速まで、さまざまな種類のコーナーがあり、とりわけリヤタイヤに負担がかかるレイアウトとなっている。リヤタイヤには、幅広い速度域で強力なトラクションを発生することが求められる。最高速のそれほど高くないが、マシンの性能を幅広く把握することができる。
ハイドフェルトは初日に100周近い走行をこなし、2日目もほぼおなじ距離を消化している。今回の目的は、1週間後にモンツァで予定されているテストを前に、タイヤの構造に冠する開発を進めることだった。タイヤの構造は、次のモンツァ・テストで最終的に決定される。
ピレリの開発エンジニアは、同時に異なるコンパウンドを試し、来年からF1チームに供給される4種類のスリック・タイヤの仕様を決定する作業にも力をいれた。
次回のモンツァ・テストには、ルノーF1チームに所属していたロメイン・グロジャンが初めて参加し、今シーズンの終盤戦をザウバーで戦うことになったニック・ハイドフェルトとの契約は解消される。
ピレリのモータースポーツ部門を指揮するポール・ヘンベリーは、今回のテストについてこう語った。「タイヤの開発に力を注いでくれたニックには、たいへん感謝している。この先も、ぜひ頑張って欲しいものだ。特定のチームが恩恵を受けることを避けるため、ニックとの契約を解消し、モンツァ・テストではローマンを走らせることにした。ロメインはGP3用タイヤの開発など、短期間にさまざまな経験をしているので、きっと有益なデータを提供してくれるだろう。今回のヘレス・テストはきわめて順調に進み、2日間の予定をすべてこなすことができた。このあとモンツァで最終的な構造を決定し、さらにコンパウンドの開発を進めてゆく」。