カストロネベスが三度目の”フェンス登り”!! 日本人は3人そろって完走
秋晴れと大観衆と、そして迫力のスタート。もてぎの興奮が始まった!!
5万3000人の大観衆を集めた秋晴れのツインリンクもてぎ(栃木県)で、IZODインディカー・シリーズ第16戦インディ・ジャパン300マイルが行なわれ、ポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネベス(ブラジル)が圧倒的なスピードで今シーズン3勝目を飾った。
特に、オーバルとしては珍しいブレーキングを必要とするターン3を含み、難易度の高いツインリンクもてぎで、カストロネベスは200周のレースの153周をリード、追いすがるダリオ・フランキッティ(イングランド)を4.5746秒の大差をつけ、”好例の”フェンス登りを行った。
もてぎは、燃費に厳しいレースと言われ、燃料セーブがレースのカギを握るとみられていたが、2コーナーで3回のアクシデントを含み、ペースカー(F1でのセフティカー)導入が繰り返された結果、最後まで、ハイペースのレースとなった。
フリー走行1回目にオイル漏れでクラッシュを喫した佐藤琢磨は、ロータスのキャップやウェア、スーパー・アグリのユニホームをまとって詰めかけた大勢のファンの期待に応え、鬼神の走りで予選10位グリッドをゲット。いつになく慎重に初の日本のレースをスタート、粘り強い走りで12位完走を果たした。中盤には、アグレッシブな走りでオーバーテイク・シーンを何度も見せたが、ピット作業で順位を下げたものの、12位はオーバルレースでの自己ベストとなった。
セッティングが決まらずに予選17位からスタートした武藤英紀は、フルコースコーションでピットインしない作戦に出て2位にジャンプ。上位グループと同じペースで走り続けたが、イエローフラッグが給油のタイミングにマッチせず、作戦は成功せず。レースを通じてマシンのハンドリングを向上させて終盤の50周で3台をパスしたものの、14位に甘んじた。
スポット参戦のロジャー安川は、マシンのハンドリング不調や給油トラブルに苦しめられるレースを20位でチェッカーを受けた。
優勝のエリオ・カストロネベス
「素晴らしい1日になった。レース中にセッティングを調整する必要がまったくなかった。ピットストップもすべてがファンタスティックだった」。
日本勢はそろって完走。左から、佐藤琢磨、武藤英紀、ロジャー安川。
佐藤琢磨(12位)
「慎重にスタートした結果、いくつかポジションを落としたけれど、オーバーテイクをたくさん達成できてレースを楽しむことができた。メインストレートに戻ってくるたびにファンの応援を感じて、もっと前へ! という気持ちで走っていた。トップ10 フィニッシュができなかったのは残念だけれど、今週の始まり方を思えば、すばらしい週末にできたと思う。今シーズンは苦戦が続いていて、まともな状態でチェッカーフラッグを受けることのできたレースが少ないけれど、そのレースを通して学んできた多くのことを、今日はフルに発揮できたと思う。ツインリンクもてぎのレースは本当に難しい。オーバルの戦いでありながら、ロードコース的な戦い方も必要とされる。今回また多くのいい経験を積めたので、それを生かして最終戦でいい結果を手にしたいと思う」。
武藤英紀(14位)
「序盤はマシンのハンドリングに苦しんだが、コクピットの中でできる調整を繰り返し、ピットストップでのセッティング変更も行って、徐々にだけれど着実によくなった。ギャンブル的な作戦で2番手に上がり、トップ5での戦いではペースも十分に速く、その後の展開次第では上位に残り続けることができると思っていたけれど、イエローフラッグのタイミングが我々の望み通りとはならず、順位をまた下げてしまった。それでも、最後のスティントでオーバーテイクを重ね、攻めの走りを見せることができたと思う。ファンからの応援を感じ、それに応えたいと思って走っていた。14位という結果には満足していないけれど、最終的にマシンはとてもいいハンドリングとなっていたので、この勢いを保って最終戦マイアミでいい結果を出したいと思う」。
ロジャー安川(20位)
「慎重にスタートを切り、クルマがいいことを確認した。その後、ターン3、4でのアンダーステアが出始め、トラフィックの中では苦しい走りになった。そのバランスを直そうとピットストップでセッティング変更を重ねたが、今度はターン1、2でオーバーステアが出るようになり、ペースを上げることができなかった。完走を目指したレースで、その目標は達成できたが、スポット参戦だったので、我々の考えている通りにマシンを仕上げることはできず、悔しいレースとなった。インディカー・シリーズの競争は年々激しさを増していく。いい結果を出すためにも、来年はインディ500に出場し、再びインディジャパンに戻ってきたいと思う」。
インディ・ジャパン300結果(出走25台)
1. エリオ・カストロネベス/Team Penske
2. ダリオ・フランキッティ/Chip Ganassi Racing
3. ウィル・パワー/Team Penske
4. ライアン・ブリスコー/Team Penske
5. ダニカ・パトリック/Andretti Autosport
6. スコット・ディクソン/Chip Ganassi Racing
7. トニー・カナーン/Andretti Autosport
8. グラハム・レイホール/Newman/Haas Racing
9. ライアン・ハンターレイ/Andretti Autosport
10.ダン・ウェルドン/Panther Racing
12.佐藤琢磨/KV Racing Technology
14.武藤英紀/Newman/Haas Racing
20.ロジャー安川/Conquest Racing