オリジナル リリース-スクーデリア・トロ・ロッソ【アブダビGP(木)】
アンドレア・ラント(ハイメ・アルゲルスォリのレース・エンジニア)
「ドライバーとエンジニアには完全な信頼関係が必要だ。8年間この仕事をしてきたが、ドライバーはマシンの状態をすべて理解しているわけではない。相手が何を言いたいのか、察知するためにも、100%の信頼が欠かせないのだ」。
「無数のデータが存在するので、マシンの状態を把握することは可能なのだが、フリー走行中はそれを分析している時間などなく、変更を加えた場合は、ドライバーの感覚をたよりにセッティングの方向を決めていかなければならない」。
「ハイメがチームにやってきた時、F1の経験がなく、レース自体の経験も非常に浅かった。白紙の状態から始められるということだから、私にとっては歓迎す
べきことだった。経験豊富なドライバーと組むのはやりやすい面もあるが、すでに型が出来あがっている。新人では、相手に自分のやり方を教え、ともに成長し
てゆくことができるので、難しくてもやり甲斐があるというわけだ」。
「ハイメは文字どおりレースごとに大きく成長している。最初は体力的にも問題があり、レースで最後まで集中力を維持することができなかった。その点は、冬
季テストの間だけで、ずいぶん改善された。精神面も同様で、若いドライバーは困難な状況に直面するとパニックに陥ってしまいがちだ。そこでハイメには、ま
ず冷静さを保つように言い聞かせた」。
「新しいパーツをテストしてすぐに成果がでない時などもそうだ。ドライバーはタイムを気にするが、ハイメはそれよりもマシンを改善することが重要だと、す
ぐに理解した。3回目のフリー走行までにマシンを良くしてゆくことが大切で、落ち着いて作業を続けられることがハイメの強みだと思う。彼の報告にはたいへ
ん満足しており、仕事のパートナーとして、良くやってくれている」。
リカルド・アダミ(セバスチャン・ブエミのレース・エンジニア)
「セバスチャンとは彼がF1にデビューしてから、2年間ずっとつき合ってきて、良い関係を築いてきた。互いをよく知ることが、限られた時間の中でマシンを速くしてゆくいちばんの鍵なのだ。とにかくマシンの状態を理解することが肝心なのだが、それにはまずドライバーの心理や独特の言い回しに精通する必要がある。だからこそ、私にとってはセバスチャンの性格を知ることが、きわめて重要なのだ。相手を理解していれば、タイヤの選択など、即座に決断を迫られた時も、ドライバーはこちらの言うことを信じて力を発揮してくれる。その点、セバスチャンは視野が広く、こだわりがないので、新しいことを試すことにも積極的でやりやすい相手と言えるだろう」。
「F1の経験がまったくない状態から始めたわけだが、その学習能力は非常に優れていた。F1の場合は、他にも大勢スタッフがおり、セバスチャンはチームをどう動かすかということも、すばやく身につけていった。もちろん、今年は昨年よりもマシンに対する理解が深まっている。今年は苦しい戦いが多かったけれど、協力して乗り越え、ミスを犯すこともほとんどなかった。速さには疑問の余地はないから、いずれ今シーズンの逆境を活かして、さらに強くなってくれるだろう」。