「VJM04」解説
新しいレギュレーションに対応しつつ、前年までの弱点解消を狙ったのが2011年型のVJM04だ。レギュレーション対応の中で最大の課題はマルチ・ディフューザーの禁止だった。これにより失うリヤのダウンフォースをどう取り戻すかが開発の大きなテーマ。そして、弱点の解消とは、ハイダウンフォース・サーキットの克服である。
ポール・ポジションを獲得した2009年のベルギーGPが象徴するように、フォース・インディアは超高速コース、言い換えればローダウンフォース・サーキットを得意とした。その一方で、ダウンフォースを必要としたコースは苦手で、そのコントラストが激しかった。2010年のVJM03も苦手の克服に取り組んだマシンだったが、昨年加入(チームの前身であるジョーダンに在籍した経験があるから、復帰か)したテクニカル・ディレクターのアンドリュー・グリーンは、不十分だと感じたらしい。
それに、シーズン当初はまずまずだったけれども、レースを重ねるにつれて相対的なパフォーマンスが低下したのも気に入らなかった。だから、シーズンを通じて速く、しかも弱点だったハイダウンフォース・サーキットを完全に克服するのが、VJM04に課された目標だった。その実現のため、金曜日のプラクティスを有効に使うと宣言した(今まで使い切っていなかったことを認めたことになるが)。ピレリタイヤの使い方が大事だからと、元ブリヂストンの松崎淳氏を起用してシニアタイヤ・エンジニアのポジションにつけ、開発のプロセスを充実させている。
カタチは似ていても中身は別物なのはどのチームにも言えることで、フォース・インディアも例外ではない。シルエットは前年型のVJM03を受け継ぐ。大きな違いは2分割式のインダクションポッドを採用したことで、チーム・ロータスに次いで2例目となった。採用の目的は、リヤウィングに乱れのないクリーンな空気を導くため。リヤサスペンションをプッシュロッド式からプルロッド式に転換したのも大きな変更点。これも、リヤのダウンフォースを増大させるための策である。
パワートレーンはこれまでどおり、メルセデス(エンジン)+マクラーレン(ギヤボックス)のパッケージ。KERSはメルセデスから供給を受け、実戦投入する。3月3日に始まるバーレーンテストで最初の空力アップデートを施し、開幕戦で再びアップデート。ヨーロッパラウンドの初戦にあたるスペインGPでも大がかりなアップデートを施すと宣言。コンストラクターズ・ランキング5位獲得に向けた、鼻息は荒い。
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