テストデータから、勢力図を読み解く(2/3)
ロングランがいい。期待が高まるザウバーと可夢偉。
(1/3からつづく)
◆タイヤ交換が増える? そしてその影響は?
最後のテストが行われたバルセロナのカタルニア・サーキットは、5月22日の決勝を行うスペインGPの舞台だが、レースは66ラップで行われる予定になっている。、ピレリが主張する「2ストップの演出」(タイヤライフを短く設定、滝や交換の回数を増やしてレースを面白くする)が正しければ、等分に割って22ラップを各タイヤで走ることになる。しかし、現状で、ソフト側のタイヤで22ラップするのは、今回のテストを見る限り至難のワザであることが見えてきた。
トップチームは、Q3でソフト側のタイヤをチョイスしてグリッド上位を確保しておきたい。しかし、そのタイヤで150kgのフルタンクでスタートしなければならない。果たして、何ラップ持たせるられるか。10ラップ? であるなら、残りの56ラップをハード2セットもしくは、ハード&ソフト、ソフト&ハードで走りきらなければならない。つまり、単純に、66÷3=22という計算はできない、ということだ。
予選のスピードも重要だが、レースは、ゴールしてナンボ。予選で、トップを取ったとしても、そのセッティングで、ソフトタイヤが7ラップ程度しか保たなければ、実践的なセットアップとは言えないのだ。
そして、その、ロングランのタイムのが良いのがザウバーと黒ルノーなのだ。
ルノーも侮れない。
タイヤの保ちは、サスペンションのメカニカル・セットアップがモノを言う。前に触れように、先の順位は、現在のダウンフォースの量の差と仮定した。
一般的に、ダイナミック(動的)なダウンフォースを一定に保つ方法を、固いサスペンションで実現している場合、タイヤの減りは早く、その減りに応じてラップタイムは、あるところから一気に落ちる。それが、柔らかいサスペンションで実現できれば(といっても、その実現は実に難しいのだが)、タイヤの減りが緩やかでラップタイムも、なだらかな落ち方で済む。実際、テスト最終日にウェバーとマッサがレース・シミュレーションを行ったが、マッサの方が、タイヤを長持ちさせることが出来ているように見えた。
ダウンフォースが同等とするなら、この場合フェラーリの方が出来が良いと見る事ができる。仮に、フェラーリがダウンフォースに負けていたとしても、タイヤの使い方でレッドブルを上回っている可能性がある、ということだ。
そして、現状、この2チームに割って入る可能性があるチームは、なさそうである。マクラーレンは、そもそも10ラップ程度のロングランがまともに走れていないのは辛い局面だ。
一方で、黒ルノーとザウバーのラップタイムの安定度は、メルセデスやマクラーレンにとっては脅威だろう。この2チームは、相対的に、ダウンフォースを増やすことができれば、良い状況が訪れるといってよさそうだ。
両チームとも、開幕用のアップグレードパッケージが用意されていることも強み。メルセデスは、開幕戦用のアップグレードを準備しているというが、バルセロナの最後の2日で大きくセッティングが伸びたようで、ラップタイムの落ち幅が少なくなった。こちらも、ダウンフォースが増えれば、戦闘力は上がることが予想される。