F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

「シューマッハとのバトル、これはもう”運命”に近いものを感じますね」

◆メルセデスと闘える位置にいるのが、いまのザウバーだ　
—-スタート前の約束通り、最後まで粘り強く走って、ポイントをゲットしました！　
可夢偉：はい！　とりあえず、いまのところ、失格ではないので（笑）。ポイント取れてよかったなと思ってます。

—-それにしても、多くのクルマが「スリーストップ」の中、「ツーストップ」でのフィニッシュというのは、とても”ガマンの”レースだったのでは?
可夢偉：そうですね、タイヤ的にはツラい面もあったんですけど。ただ結果的に、（仮に）スリーストップして、ポジション（順位）が変わったかというと、あんまり変わらなかったような気もするし。まあ（今日は）こんなものじゃないかな、と思います。

—-途中、シューマッハとのバトルがとても多く見られましたが?
可夢偉：ねえ！　運命に近いかというくらいに、毎回ね！　抜いたと思ったら、すぐピットに入って。･･･で、ぼくがピットに入ったら、また、前にいて、というのを繰り返して。今回、”運命”を感じましたね。

—-見ている側からすると、1〜2コーナーで、ラインをクロスさせて、最後は2コーナーで（シューマッハを）差したんですけど?
可夢偉：まあ、いろいろ（パッシングのための戦略が）あった中のひとつなんで、何ともいえないですけど。（自分の）ペースを乱されたくなかったというのがあって。あんまり長く（バトルを）やってると、タイヤ、壊れちゃうんで。できるだけ早く抜かないといけないというのはありました。

—-作戦がほかのチームとは違っていたので、他チームとの単純比較はむずかしいかと思いますが、今年のザウバーのいる”位置”というのは見えてきた?
可夢偉：そうですね、メルセデスと闘えれば、チームとしては十分な状態だと思うんで。これからも、ポイントを掴んでいけるような、そういうクルマをつくりたいと思ってます。

—-今日のレースを、”楽しみ度”ということから振り返ると?
可夢偉：まあ、意外と（順位の）入れ替わりもあったから、楽しかったといえば、楽しかったし。
でも、やっぱり、トップチームとのクルマの速さの違いというのは、どうしようもできないんで･･･。ガマンというよりも、誰と闘ってるのかということを冷静に見ながらの　そういうレースになったんで。まあ、おもしろい場面もあれば、悔しい場面もあるんですけど、これがレースだな、と。

—-二週つづけてのレースのあと、次は中国ですね?
可夢偉：中国でも、ポイント取れればいいと思ってます。･･･でも、実際は、二戦連続のポイントなんですけどね！　運がないですね（笑）。

—-レースでは、序盤、ウェーバーにいったん交わされて、それを抜き返したシーンがあったけど、そのときの”やり方”というのは、昨日、言ってたような?
可夢偉：そうじゃないですか！（その通りですね、という意）カンペキじゃなかったけど、（DRS＝可変リヤウィングがらみでのパッシングシーンの）例としてはあんな感じ──。

—-ウェーバーに交わされたのは、半分、わざと！みたいな感じ?
可夢偉：まあまあ、そういう感じ。（パッシングの）やり方としては、ああいうやり方もあるというのが（実際に）できたというのがよかったと思います。

◆相手のタイヤを”壊す”という作戦もある！
—-でも、序盤であれだけ、バトルやプッシュをしてると、タイヤはかなり辛いはずで?
可夢偉：そうですね。

—-タイヤが”きびしく”なったのは、どのあたりから?
可夢偉：いや、けっこう（タイヤは）最初からきびしかったんで、ムリせずに──。単独（走行）になったら、ムリせずにとか、そうやってたんですけど。

—-でも、あれはよく”しのいだ”というか、タイヤを使いこなしたというか?
可夢偉：タイヤは、相手のタイヤを”壊して”（こっちの）ペースを上げるというのも、ひとつの作戦だから、ある意味で。まあ、自分がどういう風にするか、という──。
自分はもともとツーストップだったけど、状況によっては、スリー（ストップ）に変えるというのもあったから、だから、やってみよう、と。

—-ハハーン、それは、レースしてて”おもしろかった”だろうね!!（笑）
可夢偉：そうおっしゃるなら、おもしろかったんじゃないですか！（笑）

—-タイヤ交換やピットインは、チームの指示?
可夢偉：もちろん!

—-“おもしろかった”というのは、レースを”闘えてる”ポジションに、ちゃんといた、ということで、シューマッハのことにしても?
可夢偉：いや、前回も、そうだったんですよ！（笑）前回は（クルマも）そんな悪くなかったから、パフォーマンス的にもこのへん（のポジション）というのが、証明できたんじゃないかなと。

—-メルセデスよりも前にいる人たちというのは、ほんとに”前にいる人”だから?
可夢偉：あそこ（の人たち）には、正直、当分勝てないです。

—-でも、ポイント取れて元気になった?
可夢偉：ポイント取れるのは、わかってたんです。ただ、前回からの感じ（失格のあとで）で、今回、成績が悪かったら、ちょっと辛いと思ってたんで。でも、前回につづいて優秀な成績を残せたというのはよかったし、これで自信もついたし。このまま、続けられればと思います。

—-自分の仕事をやれた！という感じはする?
可夢偉：そのために、いま、「ここ」にいるんで！

—-ドリンクは、レース中にどのくらい消費した?
可夢偉：ふたくち（二回）くらい。

—-ドライビング中は、それどころじゃない?
可夢偉：･･･というか、熱いんですよ、ドリンク自体が。飲む気にならない、熱すぎて。熱湯ですよ！（笑）　

—-温いんじゃなくて、熱い!?
可夢偉：そう、熱いんです。

—-プライム・タイヤは、こういうコンディションでは”保たない”?
可夢偉：あんまり”保たない”ですね。

—-トルコなどの（長く曲がり込んだ高速コーナーがある）サーキットでは、不安では?
可夢偉：でも、みんな一緒のタイヤですからね。自分だけ、ピレリ･タイヤだと辛い
けど（笑）。

—-タイヤがどのくらい走るとどうなるか、というのは、だいたい掴めた?
可夢偉：いや、（まだ）カンペキではないです。（把握には）もうちょっと時間がかかるかなと思ってます。

—-中国には、いつ、どこから入る?
可夢偉：まだ、何も決めてないです。