レッドブルがたくさん走った理由
走りに走った2台合計117周。
中国GP初日、面白い現象が起きていた。通常なら、初日金曜日は、路面の汚れが多く、正確なデータが取れないことから、元々データ不足の下位チームだけが”掃除役”として先行して走り、上位陣は腰が重くなる。しかし、今回は違った。
上位陣の中でも、レッドブルの周回数の多さは、少なからぬ驚きだった。フリー走行1で、S.フェッテルが23周、M.ウェバーは27周を走行した。M.ウェバーの周回数は、24台の中で最多。2台の合計50周は、ライバルであるマクラーレンの43周を大きく越えていた。
午後になるとこの傾向はさらに強くなる。レッドブル2台合計のラップは、実に67周!! ウィリアムズのR.バリチェロとP.マルドナドで69周には届かなかったが、堂々の2番手。2回のフリー走行の合計周回数は、117周と、ダントツの1位だった。
レッドブルが周回数を増やしたかった理由のひとつとして、今年から供給が始まったピレリ・タイヤのデータが欲しかったことが挙げられる。だが、今年採用されたDRS(可変リヤウィング)も同じく、データが欲しいのはどのチームも事情は同じはず。となると、レッドブルがたくさん走りたかったのは、”KERSの調整の遅れ”ではないか、という予測が成り立つ。
オーストラリアGPでは使用を見送り、マレーシアGPでは、バッテリーのトラブルで、いずれもレッドブルはKERS(カーズ=Kinetic Energy Recovery Systemの略。運動エネルギー回生装置)が使えなかった。
そして、ブレーキのエネルギーを溜め込んで加速に使うKERSの経験が、上位陣で最も少ないのはレッドブルであるという事実。予選から決勝に向けて、この影響が出るのか出ないのか、中国GPの大きな焦点になるかもしれない。