ホットライン2011 round6 モナコGP 2/2
◆タイヤに対して、どういう運転ができるか?
羽端:では、現実の(笑)モナコ・グランプリに話を戻しますか。
STG:いろいろありましたからね。タイヤも初めてスーパーソフトが投入された。
羽端:可夢偉は、敢然とワンストップ作戦! でも、土曜日までは、タイヤの耐久度なんかはまったくわかってない、と言ってませんでしたっけ?(笑)
STG:分からないのは本当でしょうね。しかし、分かったから何かできるかといえばそうでもない。分からないなりに、分からないのはみんなわからないはずだから、レースになれば勝機がある、みたいな読みがあった気がします。
羽端:なるほど。そうだったら、また、そうだからこそ、自分でセンシングして行けばいい、交換時期はそれでわかる、ということなんでしょうか?
STG:ですです。
羽端:もうひとつ、おもしろかったのは、ワンストップ戦略をやる際に、最も気になっていたのは、タイヤのことなんかじゃなく、ほかのチームの誰かで、こんなことをやるヤツはいるんだろうか、という・・・(笑)。
STG:ライバルは、トロロッソも、ウィリアムズも、みなさん2回でしたからね。
羽端:可夢偉の場合、タイヤを減らさない走りをするというより、性能が落ちたタイヤで、どう走るかを知っている。リヤがバーストして”三輪状態”になったときも、タイムをさほど落とさなかったことでもわかるように、そのときその状態で、どうすれば最上のトラクションを得られるか。これを、身体的に把握してるんじゃないですかね、可夢偉というドライバーは?
STG:それは若干買いかぶり過ぎですね。F1ドライバーは、ナショナル・チャンピオンの集団。各国の一番が参加している。全員運転がうまいです。
羽端:モナコをワンストップでどうだ? というチームからのオファーがあったとき、喜んで、それを受けるかどうか?
STG:というより、ワンストップにするには、タイヤに対する優しい運転ができるマインドが必要で、チームは可夢偉のその能力を信頼した、ってことだと思います。
羽端:もうひとつ、レース後のコメントで興味深かったのは、アロンソまでしか届きません、という意味のことを言ってたこと。それから、マークに抜かれたのはしょうがないというか、あれは、ほとんど譲るみたいな感じだったのでは?
STG:ですね。マシン能力からして、赤旗中断で新しいタイヤになっちゃったら、いくらモナコでも抑えるのは無理。なので、L.ハミルトンを抑えきったのは感心しました。
羽端:だから、レッドブル、マクラーレン、フェラーリの三強には敵わない。この三チームのドライバーがすべて走っていたら、最上でも7位にしかなれない。いいかえると、これら以外のドライバーには先着できる。今回は、六人のうちの二人が脱落あるいは後方にいたので5位になれる。これ、可夢偉にとっては、すごく簡単な算数ということではないですかね?(笑)
STG:ですね。でも、結果表をよ見てください。5位の小林可夢偉を除く5人は、ワールドチャンピオンと去年のモナコウィナーですから。
羽端:お〜、そうだ!! これは凄いわ!
STG:でしょ、見事な結果です。
羽端:あと、ルイスがペナルティに文句言ってたみたいですけど。レースを盛り上げようとしただけだ、とかね。
STG:人のことなんか考えてたらレーシング・ドライバーとしてホンモノじゃない(笑)。
羽端:でも、これについては、ルイスに言いたい。可夢偉とキミの最大の違いは何だかわかるかね? 可夢偉も、場合によってはリスクを冒して、前に出ようとする。しかし、可夢偉は接触しても、相手にダメージは与えない。しかしルイス、キミはしばしば、相手をレースから除外してしまう。だから、ペナルティなんだよ、と。
STG:う〜ん、ルイスのスタイルも、レーサーとして、ありだし、人種差別も色濃くでてるからなぁ。
羽端:ルイスのアイドルはアイルトンらしいけど、そのバッドなところまでマネしちゃダメです!(笑)
STG:うまくやるかどうか、というのもある(笑)。
羽端:それにしても、雨! ハンガリー、雨にならないかな? 可夢偉だけが”フィッシュ”になって、セブと一緒に、表彰台に上がるシーンが見たいな。
STG:雨でオーストラリアGPの中嶋さんや、ドニントンパークのセナの伝説がありますが、実は、二人とも、サスペンションやギヤレシオが、ギャンブル的に完全レインセットだった、という話もあったりします。過分な期待を勝手にして、楽しみをつぶさないように、冷静に見ましょう(笑)。
羽端:はいはい(笑)。
STG:と、偉そうに言ってますけど、可夢偉は、巡り合わせの運気を引き込む能力もあるようだし、そのチャンスをしっかり活かす腕もあるから、ホントはかなり期待してるんですけどね。