オリジナル リリース-ピレリ【ハンガリーGP(日)】
2011年7月31日、ブダペスト
ハンガロリンクの複雑な天候の下で、マクラーレンのジェンソン・バトンが、同じようなコンディションで行なわれたカナダGPに続き、今季2勝目を挙げました。レース終盤にチームメイトのルイス・ハミルトンがインターミディエイト・タイヤに交換したものの、路面はさほどウエットにはなっておらず、その直後にまたスリックへと戻すため5回目のピットストップを強いられたことで、バトンの勝利は決まりました。
バトンとハミルトンは接戦の優勝争いを演じましたが、タイヤ戦略がその中心となりました。ハミルトンは予選で決勝に向けて新品のスーパーソフト・タイヤを1セット余らせていたのです。
レッドブル・レーシングのセバスチャン・ベッテルは、予選でPZeroレッド・スーパーソフト・タイヤを履きハミルトンを抑えてポールポジションを獲得しました。しかし決勝は路面温度18度、そして断続的に雨が降るダンプ状態でスタートを迎え、全ドライバーがPZeroブルー・インターミディエイト・タイヤを選択しました。
現在のレギュレーションでは、これによってレース中にPZeroイエロー・ソフトとPZeroレッド・スーパーソフトの両スペックを使用する義務はなくなります。しかし、インターミディエイトとスーパーソフトのみで走り切ったのはウイリアムズのパストール・マルドナドだけでした。
レース序盤のスリッパリーなコンディションで、マクラーレンの2台はベッテルをパスしました。彼らは他とは全く異なるタイヤ戦略を採り、バトンは3回ストップで、途中雨が降ってきたにもかかわらず最終スティントの28周をPZeroイエロー・ソフト・タイヤで走り切りました。
46周目には、再び小雨が降ってきました。ハミルトンはスピンを喫し、チームメイトに先行を許してしまいます。その後雨は降り続き、スーパーソフトを履くハミルトンはそのグリップを生かして、4周で4回もトップが入れ替わるバトルの末にトップを奪い返しました。しかしハミルトンはさらに雨が降り続くとみてレッドブルのマーク・ウェバーやメルセデスGPのニコ・ロズベルグのようにギャンブルに出て、50周目にインターミディエイトに交換します。しかしそれが裏目に出てしまいました。
ハミルトンは再びPZeroイエロー・ソフト・タイヤに交換して、ドライブスルーペナルティを受けて6回ものピットストップを強いられましたが、ダンプコンディションの中、4位まで挽回し、今日のレースの見どころを作ってくれました。バトンと同じようにベッテルは3回ストップ作戦で、最後のスティントは29周をソフト・タイヤで走り切り、3.5秒差で2位を手にしました。一方、フェラーリのフェルナンド・アロンソは4回ストップ作戦で3位を獲得しています。
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント:
「複雑なコンディションの中、今日もまた魅力的なレースになりました。ジェンソン・バトンが変わりやすい天気への対応能力の高さを発揮し、一方で、我々のPZeroタイヤもレース週末を通して性能と耐久性の高さを証明しました。レース終盤に雨が降り始めても、バトンはPZeroイエロー・ソフト・タイヤからしっかりとグリップを引き出し、勝利を手中に収めるに値する素晴らしい走りを披露してくれました。今日は各チームのレース戦略が非常に幅広くなり、上位5人は4種類の戦略に分かれました。しかし、スリッパリーなコンディションでスリックタイヤの性能をフルに引き出せるか否かは、結局はドライバーの腕にゆだねられたのです。マクラーレンの2人は非常に接戦のバトルを繰り広げました。ルイス・ハミルトンも素晴らしい走りを見せ、6回のピットストップにもかかわらず最後に挽回を果たしたのは素晴らしかったです。特に喜ばしく思うのは、ハンガロリンクはこれまでオーバーテイクが多い場所ではなかったにもかかわらず、今日は多くの追い抜きが見られたことです。ひねりやターンが沢山あるこのサーキットよりも多くの紆余曲折のシーンが見られましたね!」
バトンは参戦200戦目のグランプリで自身11回目の勝利を挙げました。ハンガロリンクは彼が2006年に初優勝を挙げた場所でもあります。それもウエットコンディションで行なわれたレースでした。