ベルギーGP 金曜記者会見
金曜恒例のチーム代表、または関係者を集めた記者会見。今回は、ロス・ブロウン(メルセデス / チーム代表)、アンドリュー・グリーン(フォース・インディア / テクニカル・ディレクター)、ポール・ヘンベリー(ピレリ / ピレリ・モータースポーツ・ディレクター)、クリスチャン・ホーナー(レッドブル / チーム代表)、パディ・ロウ(マクラーレン / テクニカル・ディレクター)、ルカ・マルモリーニ(フェラーリ / エンジン&エレクトロニクス部門責任者)が参加。
アンドリュー・グリーン(以下、グリーン):はじめはダウンフォースが小さく、スピードの出る仕様だった。だからモンツァやスパのような高速サーキットでは威力を発揮したが、残念ながらシーズン中には違う性格のコースも含まれているから、あらゆるサーキットに適したマシンを作ることが重要だ。その後の変更で、ダウンフォースの設定が中程度のコースにまで対応できるようになった。とくにこの2〜3ケ月の間に施した変更が効果を発揮しており、これからのレースが楽しみになってきた。
Q.ということは、風洞実験を繰りかえし、ダウンフォースを高めたというわけでしょうか?
グリーン:風洞実験はいつもやっており、夏の2週間を除くと休むことはない。それから、基本的は考え方にも変化があった。これは大きな問題で、成果が挙がるまでには時間がかかる。
Q.このあとのレースには自信があるというわけですね?
グリーン:そう思う。このあとは、全戦で2台とも予選10位以内に入れるだろう。そして上位チームに食い下がり、ポイントを獲り続けることが目標だ。高まった戦闘力を結果に結びつけることが課題だろう。
Q.あなたがこの会見に出ると、必ず優勝するというジンクスがありますが?
パディ・ロウ(以下、ロウ):これまでのところはそうなっているようだ。しかし、前半はずっとレッドブルが勝っていたのだが、今ではほかに勝ち星を挙げたチームが今はふたつある。今回もジンクスが守れたら最高だろう。
Q.最近の2レースで勝っていますが、この勢いを保つには、どういうことが重要だと思いますか?
ロウ:上位の争いは紙一重で、マクラーレン、レッドブル、フェラーリが、ほとんど横一線の状態だ。勝ち負けは、ほんのわずかなことで決まる。今の目標は2台揃って好結果をのこすことだ。フロントローに並び、二人揃って表彰台に立つというのが理想だろう。しかし、最近の5戦で3勝を挙げているのだから、流れは悪くない。
Q.2週間の休暇を義務づけられていたわけですが、ハンガリーGP後にもなにか進展はあったのでしょうか?
ロウ:2週間の凍結期間があったということは、実質的にこれまでとおなじリズムで仕事をしていることになり、マシンの開発は相変わらず続いている。今回も、新しいパーツをいくつか投入した。というわけで、2週に1度レースがあるのとおなじことだが、休養がとれたので、チームの指揮は返って上がるだろう。
Q.エンジンの開発について、来年と2014年に勢力を分散させなければならないわけですが、どのような状況でしょう?
ルカ・マルモリーニ(以下、マルモリーニ):来年だけではなく、今年のエンジンも開発は続けている。もちろんハードウェアを大きく変えることはないが、こまかい改良は可能だ。それと並行して来年に向けた作業をおこなっている。2014年のエンジンも、すでに専門のグループが設計を開始しているところだ。まだ先のことと思われるかもしれないが、大幅な変更があるだけに、時間が必要なんだ。来年中にはプロトタイプのエンジンが完成するだろう。
Q.2009年にはキミ・ライコネンが優勝しており、1周あたり24秒間もフルスロットルで走るスパは、強力なエンジンを持つフェラーリに有利だと思われますが?
マルモリーニ:このところマクラーレンやレッドブルと互角に戦い、あと一歩で勝てるというレースもあった。この調子を保って、できれば勝ちたいと考えているのは当然のことだろう。
Q.ハード・タイヤの扱いについて、いろいろと言われていますが?
ポール・ヘンベリー(以下、ヘンベリー):ハードよりもミディアムの方が歓迎されているようだ。実際、来年はこれをハードと位置づけた方がよさそうなほど耐久性がある。ハードの方は、上手く使えずに苦労するチームもあった。
Q.ハード・タイヤを使うチームがなくなったら、送り返してしまうのでしょうか?
ヘンベリー:おかしなことだが、レースを終えても新品のまま返ってくるハード・タイヤがあり、問題だと思っている。残ったタイヤを裁断するためにわざわざもって帰るのは、いかにも非効率的だ。なんらかの対策を考える必要があるだろう。ソフト・タイヤを温存するためにQ3では走らないというチームも出てきた。ハード6セット、ソフト5セットという現在の配分を見直し、逆にするということも検討しなければならない。FIA(国際自動車連盟)と協力して、ルールを変更する可能性を探っている。Q3まで進んだチームには、ちゃんと走ってもらわないと困る。
Q.レギュレーションを柔軟に見直す必要があるとすれば、来年に向けてどのような提案をしますか?
ヘンベリー:レギュレーションそのものに手をつける必要はないだろう。ただ、タイヤが新品のまま返ってくるという現状を変えるために、レギュレーションを柔軟に解釈することはあり得る。
Q.メルセデスのマシンはこのコースに合っているということですが、本当ですか?基本的にダウンフォースを強くするコースが得意だと思っていましたが?
ロス・ブロウン(以下、ブロウン):理由はエンジンが強力なこととこれまでの実績が丁度ツボにはまっているという感覚がある。実際には天気が変わりやすいため、対応が難しくなるかもしれない。ウェットでは高いダウンフォースをかけなければならないが、ドライの場合はそれがハンデになってしまう。どのような仕様で走らせるかは、レース当日になってみないと判らないというのが正直なところだ。
Q.天気を除外して考えた場合はどうでしょう。ここやモンツァは、メルセデスに向きのサーキットなのでしょうか?
ブロウン:残念ながら、いまのところ上位の3チームに水を開けられた状態だ。スパのような高速サーキットで、それを埋めることができればいいと考えている。
Q.(マーク・)ウェバーは、シーズン序盤の(セバスチャン・)フェッテルのように、勝ち続けるのは難しくなったと言っていますが?
クリスチャン・ホーナー(以下、ホーナー):ここまでの11戦は6勝、2位4回、そして4位が1回という内容だった。このままのレベルをキープして残り8戦を終えることが重要だろう。もともとマクラーレンやフェラーリとはほとんど差がなく、激しい争いをくり広げてきた。今回と次回は、過去の実績から見て私たちがもっとも不得意なレースだ。エンジン性能が重要だというのがその理由だろう。なんとか上手く乗り切りたい。
Q.夏休みを終えたドライバーの様子はどうでしょう?
ホーナー:二人ともいい休暇を過ごしたらしく、しっかり充電できているようだ。ただし、マークの場合はアラン・プロストと自転車でラルプ・デュエズ(ツール・ド・フランスの舞台)まで上ったというから、そんなものが休養になるのかどうか判らないけどね。ともかく、ドライバーだけではなく、チーム全体がリフレッシュしている。1月からハンガリーまで、みんな休みらしい休みもなく働きづめだったから。ほかのチームも同じだろうが、とにかくよく働いた。現場のクルーは、その上に移動の連続だ。このあたりで一息入れておくのはいいことだろう。