イタリアGP 決勝トップ3記者会見
優勝:セバスチャン・フェッテル
2位:ジェンソン・バトン
3位:フェルナンド・アロンソ
セバスチャン・フェッテル(以下、フェッテル):かなり感情が昂ぶったよ。ここはF1初優勝を遂げた特別なサーキットだからね。ゴールした瞬間にそのときのことが頭に浮かんだんだ。それから、表彰台がすばらしいね。無数のファンを見下ろしながら立っていると、本当に祝福された人間になった気がするよ。この2年ほど、モンツァではいいレースができなかったけど、今年はそのお返しだね。スタートはあまり上手くいかなくて、フェルナンドに先行されたけど、セーフティ・カーがいなくなったあとに交すことができたよ。マシンが半分グリーンにでるギリギリの勝負だったけど、それだけに前へ出たときは気分がよかったよ。マシンは予選の時から最高の状態だったけど、今日はそれ以上だったんだ。イタリア建国150年の記念すべきレースに勝てて、これほど名誉なことはないね。
Q.去年に続いてフェラーリと競り合い、今年は先にチェッカード・フラッグを受けましたね?
ジェンソン・バトン(以下、バトン):ルイス、ミハエル(・シューマッハ)、フェルナンドと競り合う楽しいレースだったよ。優勝争いではなかったのが残念だけど、一時は7番手まで後退していたんだから、仕方ないね。モンツァの雰囲気はあいかわらず素晴しいよ。次はすべての要素を整えて、セバスチャンとレッドブルを負かしたいよ。今日の結果もチームが頑張ってくれたおかげで、もう少し進歩すればレッドブルにも対抗できるだろう。
Q.スタートが重要だと言っていましたが、かつてないほど見事な出足でしたね?
フェルナンド・アロンソ(以下、アロンソ):これまでもスタートはよかったけど、5〜6番手のグリッドからで、前へ出るスペースがないことが多かった。今回は2列目だし、モンツァなら1コーナーまでコース幅も広いから、なんとかなると思っていたんだ。先頭に立って周回する気分は最高だったよ。だけど、優勝を狙うのは無理だと判っていたから、とにかく表彰台を目指して全力で頑張ったんだ。最後はルイスと接戦になったけど、表彰台に立ててよかったよ。セバスチャンもいったとおり、ここでの雰囲気はほんとうに特別だね。プレッシャーのかかる状況のなかで、チームはよくやってくれたんだ。レッドブルとマクラーレンを1台ずつ破ったんだから、たいしたものだよ。
Q.思い切ったギヤレシオを選ぶということでしたが、フェルナンドに先行され、焦りはありませんでしたか?
フェッテル:なかったし、今日はギャンブルをしなかったんだ。変わったギヤレシオを選んだのは昨日だよ。トップスピードが伸びなかったことからも判るように、昨日は低めのギヤレシオを選んだけど、レースでは普通に上げて、DRS(可変リヤウイング)を使ったときにスピードが出るようにしてあったんだ。フェルナンドを抜いたときはDRSを使わなかったけど、あと1周待てばストレートでラクに抜けたと思う。
Q.17周目にはチームメイトのルイスとミハエルを一気に抜いてしまいましたね?
バトン:ルイスは2コーナーですこし失速していたから、KERS(運動エネルギー回生装置)を使って前へでることができたんだ。その勢いでアスカリ・シケインまでにミハエルを追いつめて、上手く交したよ。これまでにないほど上手くいったから、すごく気持ちよかったんだ。フェルナンドもやはり2コーナーでつまずいて、こんどもKERSが威力を発揮したんだ。
Q.セバスチャンを抑えているあいだの状況はいかがでした?
アロンソ:セバスチャンが相手だと、こちらに失うもののない強みが生まれるんだ。何しろ相手は100ポイント差でタイトル争いをリードしているドライバーだからね。悪いけど、いつもよりすこし強引なブロックをさせてもらったよ。
Q.シンガポールで表彰台に立てば、24才の若さで2度目の王座に就くことが確定しますが?
フェッテル:それは考えてなかったよ。とにかく今年は信じられないようなシーズンなんだ。この2年間でチームは計り知れないほど力をつけてきたからね。シンガポールでも、これまでと同じように全力をつくすだけだよ。好きなサーキットだし、ナイトレースというのも魅力がある。去年も敗れはしたけど、フェルナンドといいレースをしたんだ。
Q.ここで初優勝を遂げたのは3年前のことでした。2度目の勝利を手にした今はどんな気持ですか?
フェッテル:もちろん初優勝は最高に嬉しかったよ。そのあと2年でずいぶん勝ち星を重ねたけど、モンツァでは勝利を手にしていないんだ。最悪とまではいかないけど、表彰台を狙える状態ではなかったよ。だけど今回は、金曜の段階から手応えがあった。みんなスピードを伸ばすためにウイングの効果を最小限にしてるけど、ウチのマシンのバランスは、とにかく素晴しかったんだ。それで今日の勝利につながったわけさ。フェルナンドを交したあとは、すべて順調だったよ。レース後の雰囲気も最高だね。世界中を探しても、モンツァの表彰台に勝る場所はないんじゃないかな。
Q.マシンの仕上がりは良かったということですが、タイヤはどうでしょう?
フェッテル:ソフトの方が最初だけではなく、ずっと速いペース
を維持できてよかったけど、スパの時とおなじく、ミディアムも悪くなかったんだ。すこしペースはおちるものの、問題になるほどではないよ。タイヤの面でも、今回のレースはすべて順調だったんだ。
Q.ルイスとミハエルの後ろにいた時のことを、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?
バトン:なかなか楽しかったよ。スタートで遅れたときから、あの二人を追わなければならないことは判ってたんだ。ミハエルの後ろでルイスがDRSを使うと、一気にスピードが上がって離されてしまうという問題があったんだ。それをコーナーで挽回していたわけさ。ほかのマシンを交しながらなんとか追いついて、後ろから見ていると、ルイスがミハエルを交そうとして小さなミスをするのが判ったんだ。そこで前へ出て、ミハエルを追う態勢に入ったわけだけど、上手くアスカリ・シケインでラインを変えて先行することができたよ。いったん前へ出ると、無理をしなくても差を広げることができたんだ。そのころまでに、フェルナンドとはかなりの差がついていたけど、粘り強く追い上げて真後ろにつくことができたんだ。クラッチ・トラブルで遅れて、再スタートの時に7番手まで順位を落としていたのが残念だね。あれがなければ、セバスチャンと勝負できたかもしれない。
Q.タイヤ交換のあと、またすこし遅れたようでしたが?
バトン:DRSを使ってもストレートではなかなか差がつまらなかったんだ。そこで相手のタイヤが消耗するのを待つことにしたんだ。前へ出たあともなかなか引き離すことができなくて、かなり緊迫した展開になったよ。
Q.今日はかなり激しく攻めるレースをしていましたね?
アロンソ:特に終盤、ルイスが追いついてきたときは全力を振り絞らなければならなかったんだ。あと何周かレースが続いていれば、きっと抜かれてしまっただろうね。序盤、ルイスとミハエルが競り合っていたことも有利な材料になったよ。二人が後続とのギャップを広げてくれることになったからね。
Q.スタートも見事でしたね?
アロンソ:ここ最近は出足はよくなっていたんだ。もっと後ろにいたから、あまり目立たなかっただけだよ。ルイスも出足は良かったんだけど、セバスチャンとの競り合いに気をとられて無理をしてた。その隙を突いて、シケイン手前で先行することができたんだ。