ホットライン2011 round15 日本GP 2/2
◆可夢偉”遅れたスタート”のナゾを解く!
羽端:ときどき思うんですけど、可夢偉って、たぶん自分では意識してないでしょうけど、「レースってこういうものですよ」「こういう闘いをぼくらはしてるんですよ」ということを、現場から、自身の言葉で語ってくれてると思うんですね。
STG:ですです。
羽端:それが率直すぎて、周りには、何のことかわからないような場合もあるかと思いますけど(笑)。
STG:そのとおり。前から言っている”可夢偉語”の中には、それがかなり含まれてています。
羽端:決勝レースでの”パッシング・キング”なんてね、そんな称号はドライバーとして自慢にはならない。だってそれは、予選が遅い、予選がヘタなことの裏返しでしょ?(笑)
STG:まぁ。でも、そこはそこで、楽しんでいる。
羽端:まあ、そうした「新しい位置」からの可夢偉の決勝レースは、スタートでちょっとした問題があって、やや残念なことになってしまいましたが。
STG:でした。スタートを失敗したと思ったけれど、そうではなくて、チームの指示とおりにクラッチをつないだら、タイヤが思った以上にグリップしたわけです。
羽端:チームの指示?
STG:今のF1は、例えばクラッチのコントロールはほぼ人間が関与できない。で、問題は、前の方になると、グリッドに着いてからスタートまでに時間がかかる。前ほど短くなるその頃合いを、”7番手グリッド”という未経験の場所で、チームが読めなかった。
羽端:後方からレースしてきたこれまでよりは、グリッド上で”待つ”時間が長くなる。ゆえに、タイヤもこれまでよりは冷えるだろうという判断をチームが行なった?
STG:そうです。
羽端:そうしたら、実はそんなにはタイヤが冷えてなくて、想定以上にグリップがあった。
STG:そこで、エンジンがストールしないようにコントロールする制御が入ってしまい、スタートが他車と違ってしまった。
羽端:なるほどね。でも、そうやって出遅れたおかげで、ヘアピンでのパス・シーンもあったけど(笑)。
STG:確かに(笑)。
◆ジェンソン、悲願の鈴鹿での優勝
羽端:レースは、このところ速くなってきていたマクラーレンとの”二強”によるバトルになり、そのなかでもファースト・ドライバーである二人、セブとジェンソン(・バトン)の対決になった。
STG:若干語弊があるかな。マクラーレンで速いのはL.ハミルトン。J.バトンは速いよりも、強い。
羽端:なるほど、マクラーレンの二人の英国人はそういう評価ね。・・・で、このレースでは、セブとジェンソンで、どっちが勝ってもおかしくなかったという状況になり、その勝敗を決めたのは、今回はピットストップでのロスタイムの差だったと思います。レッドブル・チームが珍しく、ちょっとミスりましたね。そのときの「2秒」が、結局は二人の勝敗を分けることになったと、私は見ました。
STG:何より、バトンは今回乗れていた。ここ数戦、レッドブルとマクラーレンは、ほとんど差がないという状態になっている。ただ、この鈴鹿では、勝利に対するモチベーションでは、バトンの方が高かったかもしれない。表彰台の真ん中以外はない!ということでね。
羽端:ジェンソン、エライ! ちゃんと表彰台に登ったセブもエライ! そして、チャンピオンおめでとう!
STG:ジェシカの涙と、ジェンソンのもらい泣きは、美しかったなぁ。