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メルセデスAMG 「F1 W03」 解説

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F1 W03

開幕前の貴重なテストを1回パスしてまで設計に時間を費やした甲斐はあったのだろうか。正解か不正解かはシーズンが開幕するまでわからないが、ワークスチームとなって3年目のシーズンを戦うF1 W03が、前作W02の正常進化版であることは確かだ。

ノー
ズは規定いっぱいの高さで設計されている。ノーズとウィングに挟まれた空間をできるだけ大きくし、ここに大量の空気を取り込む考えだ。メルセデスは
2010年までローノーズ派だったが、成績が低迷した反省からか、2011年のW02でトレンドのハイノーズに転換した。F1 W03はその流れを汲む。


ロントウィングの構成は前年型を踏襲する。いまや少数派の2エレメント構成が基本。バルセロナ・テストではメインプレーンにスリットを刻んで実質上3エレ
メント化し、カスケード・ウィングの内側に「Γ」形のパーツを取り付けた、昨年のレッドブルRB7が取り入れた仕様をテストしていた。メインプレーンの中
心寄りに湾曲した形状を追加するなど、細かいところまでそっくり真似ている。前後方向に太いステーを配し、その後方にL字形のターニング・ベーンを設ける
など、フロント・セクションの構成は思いっきりレッドブル流だ。

チーム代表のロス・ブロウンが「エレガント」だと評したノーズとモノコッ
クの融合部分は独特である。ノーズが凸面形状をしているのに対し、モノコックが凹面を成していることが、独特なムードを漂わせる要因だろう。W02もそう
だったがF1 W03もノーズ断面は小さい。小さな断面積で厳しいクラッシュ・テストをクリアするあたりに、このチームの技術力の高さが表れている。


イドポンツーンやインダクションポッドまわりなど、ミッドセクションの造形は、W02のイメージを色濃く残している。言い換えれば、変化に乏しい。パー
ティング・ラインが際立つテールパイプまわりの処理は暫定だとしても、サイドポンツーン全体の絞り込みに変化はなく、ひと目でわかるほどのシェイプアップ
はなされていないようだ。

すでに発表された新型車はすべてセンターピラーレス式のリヤウィングを採用したが、F1
W03もこれにつづく。もっとも、メルセデスは昨年のW02からピラーレス式で、しかもDRS作動機構を翼端板に収めた独特の構造を採用していた。リヤ
ウィング上面に障害物が一切ないのがメリット。フォロワーは現れず、相変わらず最大の特徴となっている。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2012/machine/mercedes/photo_gallery/index.php?pid=00

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