マルシア「MR01」解説
そして3月5日、プロモーション目的で走行を許された機会を利用し、本拠地バンブリーに近いシルバーストン・サーキットでロールアウトを行った。正規のテストではないので、2012年スペックのピレリタイヤを使うことはできず、デモンストレーション・タイヤを履いての走行だった。
チーム名が変わっただけではなく、体制も変わった。ヴァージン時代は開発拠点が3ヵ所に分散していたが、バンブリーの拠点1ヵ所に集約(旧ワース・リサーチ・テクノロジーズの施設を買収)。マシン設計を主導する人物はニック・ワースからパット・シモンズに移った。これにともない、CFD(コンピューターによる流体シミュレーション技術)だけに頼った空力開発を諦め、CFDで導き出した形状を風洞で試すという、F1界におけるごく一般的な開発メソッドに移行した。
2011年7月、ワースの離脱とともにマクラーレン・アプライド・テクノロジーズ(MAT)との契約が発表された。これにより、マルシアはシミュレーターやテストリグ、風洞にフィットネスなど、マクラーレンの施設にアクセスできるようになった。という密接な関係と関連があるのかどうかは不明だが、マルシアMR01はマクラーレンMP4-27と同様、醜い段差のないスムーズなノーズ〜モノコック形状を持つ。
体制を一新した最初の年に送り出すマシンゆえ、冒険的なアプローチは避け、保守的な手法で設計しているはず。キャリーオーバーの部品はほとんどないとしながらも、前作MVR-02の進化版であることはチームも認めている。リヤ・サスペンションをプルロッド式に切り替えたのは、進化した部分。DRSを作動させる油圧配管を通すためだけにセンターピラーを残したのは、効率向上よりも実績を重視した部分か。サイドポッドやターニング・ベーンの形状見直しなど、大物部品にも手をつけた。
新車を発表した時点ですでに大きく出遅れているので、開幕直後のパフォーマンスは期待できないだろう。期待するとすれば、MATの技術に頼ってシーズン中どこまでキャッチアップできるか、だろうか。
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