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HRT「F112」解説

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F112

マルシアがシルバーストンでロールアウトを行ったのと同じ日、すなわち3月5日にHRTはカタルーニャ・サーキットで新型F112のロールアウトを行った。マルシアと同様、プロモーション(動画撮影などが目的)に許された日程を消化しての走行である。ゆえに、2012年スペックのピレリ・タイヤは装着しておらず、走行距離は100km以内に制限される。

やはりクラッシュ・テストをクリアするのに時間を要したため、シーズン前に予定されていた合同テストに新車を投入することはできなかった。1回目のヘレス・テストにのみ、前年型F111を持ち込んで走らせている。現役復帰するペドロ・デ・ラ・ロサがF1の感触を取り戻すのに貢献したはずだ。

カラーリングは一新したものの、F112は前作F111のイメージを色濃く受け継ぐいでいる。いや、もっと言うと、参戦初年度のF110と大差ない。キャリーオーバーの連続で過ごしているのだとすると、ダラーラが2009年に設計したモノコックがベース、ということになる。

ノーズとモノコックのつなぎ目には緩やかな段差がついているが、2010年型も2011年型もノーズは低く似たような状況だったので、「低くなった」感じはしない。ノーズの先端にカメラ・マウントを配置するのはF111と同様で、今シーズンのラインアップではフォース・インディアVJM05と同じソリューションである。

気になるのは、フロントウィングにカスケード・ウィングが装備されていないこと。F111は装備していたので、退化したのか。あるいはロールアウトということもあり、未装着状態で走っているのかもしれない。

同様に、バージボードも未装着である。バージボードは下向きの空気の流れを作ってフロア下に導くアイテムだ。フロア前端左右で発生するダウンフォースはマシン全体の約20%を稼ぐため、このエリアにいかに空気を導くかが、開発上とても重要。にもかかわらず、大切な役割を担うバージボードを取り去ったのは、理解に苦しむ。カスケード・ウィングと同様、「つける予定だけどつけていない」のか。あるいは、ドラッグ増の原因になるアイテムは取っ払い、最高速(だけ)で勝負するコンセプトなのか。

結局のところ、HRTにとっての開幕戦は、3年連続で実質的なシェイクダウンの場となる。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2012/machine/hrt/photo_gallery/index.php?pid=00
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