小林可夢偉 予選後・会見【アメリカGP(土)】2/2(メディア囲み会見)
「タイヤの温度設定を基本的に間違っていたかも。オーバーヒート状態で、予選に突入してしまった」
◆カートのSLタイヤを思い出した
—-Q1での最初の走行は、タイヤの”皮剥き”(軽く走ってタイヤの表面を削り取っておく作業)をした?
可夢偉:そう。
—-どっちのタイヤ? ミディアム(プライム)を?
可夢偉:ソフト(オプション)です。
—-ほかのチームも(皮剥きを)?
可夢偉:みんな、やってましたね。予選中にやってましたよ、焦って。ぼくは、一発目にやっただけ。
—-急に決まったわけじゃないんでしょ?
可夢偉:Q3を走るのに、やった方がいいかな、と。(タイヤは)5セットあるし、1セット、ニューをおいておけば、何とかなるやろ、と。
—-いままで、そういうことはあまりやらなかったと思う。すでにタイヤの”皮剥き”は、過去の話という観方になっているけれど、今回、ここでやるというのは?
可夢偉:カートでいえば”SLタイヤ”ってあるんですよ、わかります? ハイグリップとかじゃなくて。そのタイヤは、皮剥きしないといけないんですよ。
—-それは、硬いタイヤということ?
可夢偉:SLタイヤっていうのは、カートに入門したときに、まず使うタイヤなんです。硬い/柔らかいじゃなくて、一ヵ月くらい(練習や走行にずっと)使えるタイヤ。それは、ニューでおろして、だいたい三レースくらい使える。
—-ここは、路面温度が低くて、路面もツルツルで。それで、皮剥き?
可夢偉:(効果は)わかんないけど、ともかく、バカバカしいくらいに(路面が)滑るから。
—-路面温度が上がっても、改善されなかった?
可夢偉:それが、わかんないんですよ。
◆グリップしないから、さらにタイヤを温めてしまったという悪循環
—-さっきのテレビ会見で、路面温度が上がるのをわかっていながら、(予選では)ちょっと(タイヤを)温めすぎて・・・とコメントしてたけど?
可夢偉:温めすぎたんじゃなくて、(予選では)下げたんですけど。基本的に、ぼくら、ベース(として設定したタイヤ温度)が高すぎたのかな、と。だから、タイヤが”オーバーヒート”の状態で。
—-今回、P3(土曜午前のフリー走行3)のタイムを(予選で)上回れないチームがほかにもあったが、その原因は、だいたい(ザウバーと)同じと考えていいのかな?
可夢偉:たぶん、そうだと思います。ニコ(ロズベルグ)もそうだし、フェルナンド(アロンソ)も。グリップしないから、もっと温めないと・・・ということで、悪循環になっていて。
—-ある程度走ると安定する?
可夢偉:いや、しないです。かなり、クールダウンしないと。
—-(グリップしないのは)とくにリヤ?
可夢偉:リヤ。
—-それで、リヤの踏ん張りが必要なセクタースリーがけっこうむずかしい?
可夢偉:まあ、全部(のセクションで)遅いですけどね。リヤがグリップしなかったら、どうしようもないですから、何をしても。
—-決勝では、タイヤ交換が一回(ワンストップ)に限定されてしまったように思えるけど?
可夢偉:ポール・ヘンベリーさん(ピレリのモータースポーツ・ダイレクター)は、2回と言ってましたよ(笑)。
—-(ここに)来る前、ね。
可夢偉:自信持って、「2回!」って言いい切ってた(笑)。
—-ここに来てみて、この状況が一ヵ月前にわかってたら、ここは『スーパーソフトとソフトにした』と。
可夢偉:・・・(苦笑)
—-作戦としては、タイヤをどう注意深く使うか、しかない?
可夢偉:もう大丈夫です、これだけの路面になったら(タイヤは)減らないです。
—-タイヤの使い方が巧いか下手か、ここでは、ドライバーによって、差が出そう?
可夢偉:出ない。(タイヤ性能が)落ちないから。
—-タイヤの許容幅がすごく広いってこと?
可夢偉:広いというか、もともとグリップしないし、(性能の)”落ち”もないから、みんな、簡単にいくと思いますよ。
—-そういうことを総称して、タイヤが”コンサバ”と?
可夢偉:なんのために誰でも使えるSLタイヤがあるって、そういうことでしょ。誰が乗っても、ソコソコしか行かないし。巧い人が乗って、ガンと入れられた、違う次元に行くでしょ? それを行かないように、というかけ離れた世界、手が届く世界ではなくて(というのがSLタイヤ。それと同じ)。
—-工夫のしようがない?
可夢偉:ムリでしょ。
—-ところでスタート直後の1コーナーは、登って行った先にヘアピンコーナーがあって、ちょっと他に例がなくてややこしそうで、混乱の可能性もありそうだけど?
可夢偉:わかんないです、やってみないと。(混乱が)いまわかったら、コワいですよ(笑)。
—-楽しみにしてます、1コーナー!(笑) そういう状況への対応が巧いと思うので。
可夢偉:(ぼくが)1コーナーでガーンと当たったら、ウソつきや・・・ってことになりますね(笑)。
—-ターン1のアプローチは、インを狙うか、アウト側を狙うか。事前に考えたりする?
可夢偉:そうですねぇ、グロジャン風に、インから差して、そのまま、バーンと当てて行って(笑)。
—-グロジャンは、ライン変えないからね?(笑)
可夢偉:変えないから(笑)。変えずに、曲がっとけばいいのに、真っ直ぐ行くから、みんなに当てる(笑)。
—-基本として、スタートはいければイン側に行きたい?
可夢偉:周りに誰がいるかですから。インに誰かいたらいけないでしょ?
—-クラ
ッシュすると、アウト側に飛んでくる、ということで、基本はインにいきたいんじないかと思うが?
ッシュすると、アウト側に飛んでくる、ということで、基本はインにいきたいんじないかと思うが?
可夢偉: コーナーは、インかアウトかとか、そういうのでなく、感覚で行くしかないので。インがクルマでいっぱいなら、アウトに行くし。空いてるとこに感覚で行くしかないです。
◆何で、こんな舗装になっちゃったのか?
—-予選後のドライバーズ・ミーティングのあとで、チャーリー(ホワイティング/FIAのレースディレクター)と、しばらく話してたでしょう? 珍しい光景だな、と。
可夢偉:あ、ぼくが? ぼくは「こんな路面のアスファルト、誰が決めたんや」と。鈴鹿に(意見を)訊けばいい、と。見た目にも、ここは(舗装の)石がバラバラやし。
—-均一じゃない?
可夢偉:観てください、ビックリするから。だから、そこから、おかしいやろ、と。いわゆる”作業ミス”じゃないのかというくらいのところがっぱいあるから。
—-ひとつのコーナーで、マダラになっていたり、とか?
可夢偉:横ラインで、ね。イン側の方、コーナーのアペックスの辺りは、石がつぶれて、コンクリートみたいになってたり。で、外側は(粗い石で)ガチャガチャやったり。新しい舗装だからって、鈴鹿の場合は、滑るなんて、聞いたことないし。だから、(鈴鹿に)「作り方を聞けば?」って。
—-チャーリーは反論せずに、ただ、ウンウンって聞いてるだけだったけれど、チャーリー自身がインスペクション(コース査察)をしたんだよね。
可夢偉:でも言ってましたよ、「太陽が当たったら、濡れてるみたいにウェッティだね」って。それ、オイルだから、渇きへんて(笑)。
—-ターン19が、とくに滑りやすいと?
可夢偉:“逆バン”(逆バンク状態)でしょ。
—-そういうことで言うと、どこが一番滑り易かったり、むずかしい?
可夢偉:全部、むずかしい。クルマがよければ、まだいいけど、悪かったら、すごくむずかしくなりますよ。
◆このコースと路面の状況で、圧倒的に有利なチームがひとつある!
—-レッドブルが格段に速いというのは、そういうことがあるから?
可夢偉:あれはダウンフォースがあるから。こういうところで、誰が有利かといえば、レッドブルです。このタイヤセッティングぱ明らかにレッドブル有利にしているようにしか見えない(笑)。
なぜかというと、ダウンフォースがあり過ぎて(レッドブルが)ダメになることも時にはあって、暑くてタイヤがドロドロになったり。そうなるとロングランになってフェラーリとかチャンスもあるけれど。寒くてタイヤもタレへんし、これだけハイスピードだと、レッドブルにチャンピオン取ってください、という感じなので、しょうがないですね。
—-明日は明日の風が吹く、と。
可夢偉:でしょ。
—-ところで、雨の天気予報藻あるようですが、ウェットになると、状況的には変わる?
可夢偉:(雨の可能性が)ないでしょ。ウェットならウェットで、べつにいいけど、まあ、おもしろくはなるでしょうね。
【STINGER/Hiroaki Iemura】