小林可夢偉 会見【ブラジルGP(木)】
「来年も、”闘えるチーム”で、F1を走ります!」
◆問い合わせで、尼崎市役所の電話がパンクしてしまった!
—-ブラジルは天気がよくて、タイヤ的には、よく温まりそうで?
可夢偉:まあまあ。まだ木曜日ですから。
—-土・日は雨という予報も。ざぁざぁ降りではなさそうだけれど。
可夢偉:わかんないです。天気予報も、ちゃんと同じで(笑)。
—-でも、ドライよりは雨の方がいいでしょ?
可夢偉:そやね、一応ね。13ポイント(メルセデスGPとの差は現在12ポイント)、取ろうと思ったら。
—-このグランプリの話に入る前に、募金の件をみなさんに広く、お伝えした方がいいと思うんで。いきさつ、から。
可夢偉:いきさつは、まぁ、企業とか(交渉の相手として)当たってるなかで、いろんな人から”そういうの”をやってくれって問い合わせがあったし、尼崎の市役所に電話してくる人も多くて、市役所の電話がパンクしたとか、そういう状況もありました。
—-日本グランプリのあとから?
可夢偉:まあまあ、そうですね。それで、もちろん早くやりたかったんですけど、ただ、なかなかすぐにできるものじゃないのでやっと、できて。
実際、(これまでに例のないような)新しいことなので、どれくらい集まるのかは、自分でもわからない。ただ、来年のレースの資金にできればなと。それがどれくらいの金額になるのかは、あまりにも未知の世界だから。
—-でも、当然、そんな、数千万(円)とか、そういうところを目標にしているわけではない?
可夢偉:・・・ないですけど。まあまあ、いろいろ、問い合わせでも、一口一万て、いまやっているんですけど。そんな中でも、百円でも千円でもいいんじゃないかという問い合わせも来たんですけど。一万円というのは、すごい大金だと思うので、自分自身、それなりの結果(を出すこと)で、来年も頑張って行きたいな、お返しできればな、というように思ってますので・・・。ちょっとしかできないですけど、協力してくださいと。
◆F1に乗るための、ファンによるサポートのひとつとして
—-とにかく、来年、F1に”残る”という決意表明というか?
可夢偉:決意表明というより、残るために。F1は、決意を表明しても、残れないから。ぼく、残ります! 金ないです・・・、それじゃ、ちょっとむずかしい。(だから)残るために努力して、その中に、一般の人たちからの応援も、支援もしてもらって。実際ね、(そういうことを)しないでいい状態があれば、別だったんですけど。どうも、ウンともスンとも言わない状況になりそうなので。
(この間30秒ほど沈黙)
—-いま、可夢偉選手の中で、最優先は(F1に)あると思いますが、とにかく”残る”ということ?
可夢偉:残るって、F1に? 乗ります、F1に。
—-どのチームでというのは、自分の中では、一応ある? プライオリティで言うと?
可夢偉:プライオリティというか、もちろん”闘えるチーム”で!
—-闘えるチームで、F1に残る? そのためにも、より早く(基金は)集まった方がいい? それも数千万というレベルではなく、億単位で?
可夢偉:そうなるといいけど。それは、数千万しか集まらなくても、それはしょうがないし。それの中で、やるしかないし。まあ、とりあえず、自分自身頑張って、やるしかないです。
—-でも、こっち(メディア)サイドの話にはなるけど、もし、集まらなければ、日本の景気が悪いだけじゃなくて、日本でのF1人気もなくなったという証拠にもなってしまうので、悲しいワケで、やはり1万人くらいは集まってほしいなと。
可夢偉:まあまあ、それはぼくは”いただく”立場だから、何も言えないですですけど。
—-そうやって、ファンからおカネを募ろうというのは、下の方のチームじゃなくて、不の方に乗りたいから?
可夢偉:そりゃそうです! ”下”やったら、払わないですよ、そんな(笑)。
—-でも、いま、簡単な選択肢としては、そういうの(”下”を選ぶ)も、あるわけじゃないですか? これでいいやということであれば?
可夢偉:まあね。(でも)そんな、勇気のない人間にはなりたくない。
—-あそこにも、優勝したいというように書いてあったけど、それに向けての挑戦を応援してほしいと?
可夢偉:そんな、勇気のない人間であったら、F1で生き残っていけないと思うし。つねに、一年、苦しい状況でレースしても、そこで結果を残すことによって、次につながるかもしれないし。そりゃあ、ポイントも取れないところ(チーム)に行っちゃうとね、何も見せられないから。
—-最終的に、そういうところしかチャンスがなくなってしまうという可能性もあるでしょ?
可夢偉:ないです! ビビリ過ぎです、それは。やるんですよ!
—-どこから、その自信は?
可夢偉:そんなこと言い出したら、ぼくのレース、ほとんどないじゃないですか、自信なんかは。わかんないですよ、でも、大丈夫です。
◆ぼくにとってのレースの意味は「勝つこと」なんです!
—-こういうことを始めると、何が何でも”残る”ために始めたんだと思う人がいるかもしれないけど、そうではないんだ、と?
可夢偉:違います。
—-夢を見せるためのF1であって、夢を見せられるような走りができないチームなり、そういう状況のためにしがみつく分けではない、ということはいいたい、と。やはり、F1で勝ちたいんだ! その夢のために、状況がよくないのでみなさん、サポートしてくださいということですよね?
可夢偉:まあ! そういう(下位の)チームでおカネもらっても、しょうがないし。レースで、結果残すことを諦めてるようなもんじゃないですか。よく言うじゃないですか、諦めたら、何も始まれへん、て。
まあ、簡単に言えば、人から見たら、ワガママかもしれないですけどね、人から見たら。”ええやんけ、 F1乗れてんやから、遅いチームでも、乗っとけよ”言われるかもしれへん。けっこう、言ってくる人いるんですよ、”いいやんけ”って。そのために、オレ、レースしているわけやないし。
—-でも、そういう人だって、鈴鹿での表彰台を見たら、絶対に感動しているから!
可夢偉:いろんな人がいるじゃないですか。でも、もともと、そういうような気持でレースを始めたわけじゃない。レースは、勝つためにあるから。ただ、F1は、残念なことに、勝つためのステップも、レースだけじゃないっていうふうに考えないといけないから。
まあ、いろいろ考え方、あるかもしれないけど。単純に、ワガママかもしれないけど、でも(ぼくにとっての)レースに”意味がある”というのは、”レースに勝つ”ことだから。
—-ここを乗り越えれば、もっと大きなものを(ファンに)お返しできる?
可夢偉:2013年は、あんまり(状況が)”動かない”けど、2014年にはいっぱい”動く”。
—-その先まで、見えているわけですね?
可夢偉:・・・と思うから。
—-“動く”というのは、F1自体が?
可夢偉:ドライバー。
—-ともかく、来年は、ここに残っていることが重要?
可夢偉:ポイント取って、闘えるチームにいることが──。
—-そういう活躍ができて・・・?
可夢偉:(不位チームは)見てくれないですよ、ポイントが取れないようなチームだったら。”邪魔しちゃダメだよ”くらいにしか、言われないから(笑)。
—-で、このグランプリ(ブラジル)では「13ポイント」を取りたい? コンストラクターズポイントが不がって、それによって分配金が不がる、という意味で、このチームへの恩返ししたいと。
可夢偉:まあまあ、自分の仕事をするのみですよ。
—-来年に向けて、いま、それくらい自信があるというのは、アメリカ・グランプリの前くらいから、何か動きがあったから? 交渉とか、チームの状態とか。
可夢偉:まあ、あんまり、ないですけど。何とかなるんかなあ、と思って・・・(自分を)落ち着かしているだけ? 大丈夫!
—-実際、スポンサーの交渉なんかもしている?
可夢偉:なかなか、ね。(それは)チームが決まらないと、むずかしいという部分もあるから。”どこのチームですか?””いや、わかんないんですよ”ではね、なかなかね(笑)。
ただ、ファンの人たちから集まったお金ってわかるじゃないですか。でも企業は、そこから、なかなか時間がかかるんです。
—-ファンからの方が動きやすい?
可夢偉:それも踏まえつつ、頑張って動いてるので。
—-チームが決まったとして、その”集まったもの”を、どう使うのか。ムカシみたいに、出した人の名前をクルマに描くというのもむずかしいでしょ?
可夢偉:むずかしいです。(描いても)ミクロの世界になっちゃう。
—-“カムイ・サポート”的なロゴが出るとか?
可夢偉:むずかしい。(いまは)言われへん。言うと、それを期待してしまう人とか(出て来るから)。それは、やりたいけど、それをチームが認めるかどうかもわからないし。そこまでは、いまは・・・(言えない)。
—-(募金の)締切も書いてないよね?
可夢偉:人によって違うでしょ。八月なら払うって言う人もいるかもしれないし。期限は、逆に、設けてないです。
—-はじめてだから。
可夢偉:ですね。
—-期限は決められない。とにかく、お願いします、と。
可夢偉:ですね。
【STINGER/Hiroaki Iemura】