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佐藤琢磨、凱旋帰国!! 会見全録(その4)

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(その3から続く)

やっぱりレースっていいなぁ!!
—-チェッカーフラッグを受けてウィニングランに入った気持ちは、どんな感じでしたか?
琢磨:
チェッカーを受けた瞬間は、うれしさと喜びが爆発しましたし、無線でも大はしゃぎだったですが、途中で、”あ〜、やっとだな”、という安堵感みたいなものが感じはありましたね。もっと早く勝ってもおかしくないのに、ずっとサポートしてくれた方々がたくさんいると思うんだけれど、逆にそんな中で応援してくれた、スポンサーやチームのみなさんに、感謝の気持ちで一杯になった1周でした。だからといって感極まって泣いてしまったわけでもなく、本当に楽しくて楽しくて、”いや〜、レースってやっぱりいいなぁ、レースって楽しいなぁ”という純粋な気持ちでした。

もうひとつは、(日本時間の)朝早かったので、みんな観ていてくれるかなぁ、と(笑)、そんなことまで考えて。そんなときに考えたのは、震災のことでしたね。ボク自身、(こんな状況の中)レースなんか続けていてもいいのかな、と思ってしまった時もあるし、だからといって何ができるわけでもなくて、WITH YOU JAPANというキャンペーンをやっても、それが果たしてどれくらい助けになっているかわからないし、なんか矛盾することもたくさんあって、でも自分はレースしかないし、レースをやっていかなければならない。復興活動を手伝いたいけれどできない、そんな中で、ボクは結果を出すしかない、という自分で信じてやってきたわけです。そういう意味では、これまでもたくさんの方が、東北への復興活動を、アスリートも文化人も芸術の世界の方も、みんなやっていく姿をボク自信も刺激を受けて、ボク自身も、世界に飛び出していく方々の頑張りに支えられてきたんですね。それをそのうちのひとりとして、自分も頑張らなければいけない、と奮い立たせることができたので、小さいけれど、ようやくこれで、いいニュースを日本に持ち帰ることができるな、と思ったし、それで少し、元気になるエネルギーになるように感じました。

—-日本人初の優勝を記録しましたが、今後に向けての目標は?
琢磨:
今後の目標は、優勝を重ねる、という非常に単純明確です。1回勝ったからいいや、ではなくて、1勝したからこそ、次のレースが非常に大事だということを感じています。勝ち方じたい、棚ぼただとか、ピットストップのシークェンスがあったとか、たまたまリードしていて勝っちゃったのではなくて、もちろん、それも勝ちは勝ちで、そこにいることが大事なんですが、今回は、ドミネートというか、完全制覇に近いパーフェクト・ウィンをやった次のレースをどう闘うか、凄く注目されると思うんですね。ここで、ボクとしては、A.J.フォイト・レーシングの安定感という最大の強みをさらに上昇させて、次のサンパウロ戦では、優勝を目指して、予選もポールを取ってポールtoフィニッシュをやっていきたいと思います。

自分自身も、ブラジルはいい思い出が、あ、いい思い出ばかりじゃないか(笑)、でも、非常にポジティブに考えていますし、クルマを見ていても、セントピーターズバーグとロングビーチのふたつの性格の異なるストリートコースで、非常にパフォーマンスが高かったというのは、(同じ公道コースの)ブラジルでも悪くなるわけがない、と思います。まずはサンパウロ戦を、初心に帰って、しっかりとしたレース運びで優勝を狙います。その後、5月のインディ500に向かいます。ここはまったく環境が異なりますので、全チーム全ドライバーが優勝を目指してやってくるので、どうなるかわかりませんが、インディ500でも、トップを走りたいな、と。それができればシーズン中盤から後半に向けても、落ちついて自分たちのレースができると思うので、次のストリートと、大きなインディ500のオーバルの2戦をいかに闘うか、この2戦をひとつの目標にしたいです。


ベースのポテンシャルの高さが武器

—-いまシーズンは、開幕戦から、プラクティスでは苦戦しても、必ず予選でいいところに来ているのは、なぜなのでしょうか?
琢磨:
これは偶然ではなくて、理に適っていることなんですね。さっき言った基本のプラットフォームになる基本セットがいいものを持っていて、それを元に各サーキットの特性に併せたフィルターを施すわけです。(インディカーは)常にトップに立つのは、非常に難しいカテゴリーだと思います。スーパー・フォーミュラも同じと思いますが、シャシーがワンメイクということで、特にインディカーは、1万分の1秒まで計測する世界で、今回のロングビーチの予選でも、1位から最下位の27位まで、1秒しかない混戦ですから、そのなかで、自分たちは、まずいいものを持っているという自負があるので、例え1台体制という多少不利があっても、コンサバになる必要がなくて、冒険するというところまでは行かないですが、ちょっとやってみようか、ということができる。いつでも戻れる。戻ったところには、ある程度のベースがある、ということで試せるんですね。今回のロングビーチも、プラクティス1も3位だし、プラクティス2も、何位か忘れましたけどいいところにいたし、だから予選前の大事なプラクティスで10何番手という、ちょっとボクとしても焦ってしまうポジションにいたんですが、その理由は、あることを試していたことが原因だった。それがわかれば、(ベースのポテンシャルの確認ができているので)こっちにシフトしよう、ということが簡単にできる。まぁ、簡単ではないんだけれど、ある程度、ブレない、自分たちが持っているものがないとできない。それがないと、あっちこっちに行ってしまって、速くても何で速いのか分らないという状況になると辛いんですが、開幕戦から自分たちの立ち位置が非常に明確に分かっているので、予選前に、いろいろ試すことができる。自分からの要求も、できる。それがうまくいっているからこそ、なので、プラクティスで多少上下しても、予選では必ず(本来のポジションに)戻ってこれる、ということがあると思います。

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4b.jpg—-目標として、このあと、連戦連勝、チャンピオンシップ争いの他に、もうひとつ、インディジャパンの復活を臨む声が挙がっていますが、インディ・ジャパン復活に対しての心意気を教えてください。
琢磨:
実は、ロングビーチの記者会見で、思わず言ってしまったんですが、思わず、と言っても、なにか知っている、とかいうことではなくて希望として、本当に、インディ・ジャパン、みんな好きなんですよね。シリーズリーグの人も、ドライバーも、”日本はいいよね”と言ってくれます。震災でもてぎがダメージを受けてしまったからこそ、というのもあるんですが、あのオーバルも凄いチャレンジングだしよかったよね、という話をいまでもしていて、特に、ロングビーチでいいレースをした後に、みんなインディジャパンが復活するんじゃないの、という声をかけてくれました。

ボク自信も、希望として期待として持ち続けたいな、と。でもそこにはいろいろなハードルがあると思うし、それを実現するためには、ボクがいいリザルトを叩きだし続けて、チャンピオンになってもまだ日本で走れないのか、というくらいに言ってみたいですね。それをひとつの目標にしたいですし、インディ・ジャパンは、ボク個人の気持ちで変えることはできないので、みなさんのサポートを含めて、ファン層がさらに増えて、日本グランプリのようなひとつのムーブメントが起きるくらいのファンから要望があれば、きっとそれをサポートしてくれる人たちも増えると思うんですね。そのために、ボクはいいレースをしたいし、ファンの期待を裏切りたくないし、是非インディ・ジャパンでもう一度、走りたい、ということを目標に、安定して速い走りを見せ続けたいと思っています。

—-ありがとうございました。引き続きの活躍をお祈りします。
琢磨:
ありがとうございます!!

[STINGER]山口正己
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