早まるか、ホンダのデビュー?!
デビューは1964年のドイツ。なので、ドイツはホンダにご執心?!
ドイツの『auto motor und sport』誌が、”ホンダの参戦が決定的”と伝えた。マイケル・シュミット記者が、マクラーレンがメルセデスとの来年のエンジン供給契約を渋っていることを受けて、その原因はホンダにある、としていることによる。
しかし、ホンダは、マクラーレンに搭載されて2015年からエンジン供給としてF1に復帰すると予測されている。2月8日の2013モータースポーツ計画発表で、伊東孝紳社長が「勉強中」とコメントした時に、すでに復帰は決定的といえた。
ただし、正式な参戦発表があるとすれば、そのタイミングが問題。[STINGER]では、それは今年の日本GPの周辺ではないか、と読んでいる。1987年から始まった鈴鹿の日本GPは、間に2回の富士でのレースを除けば今年が25周年に当たる。さらに、5年契約を更新した実にタイムリーなタイミングだからだ。
ところで、ホンダの計画では、2014年からというのは時間的に無理だろう、ということから、2015年からの復帰が予測され、すでにマクラーレンと契約済み、という噂も飛んでいる。
だが、そうなると、2014年のエンジンは、”ホンダではないどこか”になり、それは現在供給を受けているメルセデスになる。が、2015年からホンダが戻ってくるとなると、メルセデスは1年間だけ、1.6リッター・ターボという未見の領域でエンジンを供給することになる。
新レギュレーションのターボエンジンともなると、様々な研究開発が行なわれるはずで、メルセデスとしては、1年でそのノウハウがホンダに流出してしまうのは喜ばしくない、ということで、2014年の契約を更新しないことになったのではないか、と想像される。
さて、ここで思い出すのは、一気に50年を遡る1964年。ロータスへのエンジン供給が決まっていたホンダに、開幕のモナコGPを4カ月後に控えた1月、すでにダミーエンジンを送る段階まで準備が進んでいた相手であるロータスのコリン・チャップマンから電報が届いた。「ここまでエンジン供給を受けているコベントリー・クライマックスの事情で、ホンダ・エンジンが使えなくなった。あしからず」と。
ホンダは慌てたが、中村良夫監督は、本田宗一郎社長に相談して、”自社製シャシーでの参戦”を決定した。結果、5月の開幕戦には間に合わなかったが、8月1日決勝のドイツGPにホンダF1はデビューした。
時代錯誤を覚悟の上で想像力を逞しくすれば、ホンダはそういう無鉄砲をやってこそのホンダとも。もしかすると、デビューが2014年に早まる可能性も、なきにしもあらず?
ちなみに2014年は、記念すべき第一期ホンダがドイツGPにデビューしてから、ピッタリ半世紀の年である。
[STINGER]山口正己