三つ巴ならぬ四つ巴のモンツァ!?
ベルギーGPは、セバスチャン・フェッテル(レッドブル)の31回目の勝利で幕を閉じた。2位フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、3位ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が表彰台に上った。
◆モンツァはフェラーリの聖地
さて、次は、フェラーリのお膝元のモンツァで行なわれるイタリアGP。後半戦の最初で、完全復活したレッドブルが、同じ高速タイプのモンツァ(イタリアGP)でも勝利を重ねるのだろうか?
2位に入賞したアロンソは、”ここでの2位は、優勝と同じ価値があるのではないか”、という質問に、「昨日うまくいかなかった分を取り返した。重要なモンツァに向けてモチベーションが上がっている。モンツァではみなさんにスマイルしてもらえるように頑張るよ」と答えた。これは、気休めだろうか?
最初に理解しておくべきは、アロンソは、キミ・ライコネンと同じく、思ってもいないまやかしを口にしないこと。つまり、モンツァは、面白い展開になる、ということになる。
同じ高速コースと表現されるスパ-フランコルシャンとモンツァだが、モンツァは長い直線とシケインをつないだレイアウトであり、平均速度は高いけれど、コーナリング性能を要求される高速コーナーは、スパ-フランコルシャンに比べるとはるかに少ない。つまり、空力性能によるコーナリングに差が出にくい。
つまり、空力性能で頭ひとつリードしていると言われるレッドブルと、ライバルの差は縮まる、と考えられる。そして、フェラーリの聖地という不思議な力がそこに加わって、レッドブルとフェラーリのポテンシャルはほぼ同等になる、と観ることができる。
◆レッドブルとフェラーリとメルセデス
もうひとつ、高速でコーナリングする区間が減るということは、タイヤへの入力も、スパ-フランコルシャンに比べてモンツァははるかに低くなる。これは、メルセデスに対して有利に働く。さらに、メルセデスは、パワフルでストレートが速いことから、モンツァはおあつらえ向きなコースである。
ハミルトンは、スパ-フランコルシャンで見事なポール・ポジションを決めた。4連続ポール・ポジションだったが、スタート直後に、高速オールージュでの安定性を武器にしたフェッテルに軽々と交わされて、3位に甘んじた。
ハンガリーGPから投入されたピレリの新構造タイヤ(強固な2012年のケースに2013年のコンパウンドを巻いたもの)は、ハンガリーGPでメルセデスに優位に働き、スパ-フランコルシャンでもそれが継続されればホンモノ、と思われていた。しかし、スパ-フランコルシャンで通用するほど、新構造のピレリは、メルセデスに優位になる強固さをもっていなかったのかもしれない。
スパ-フランコルシャンよりもタイヤへの入力が軽減されるモンツァならば、メルセデスはレースのペースを落とさなくていいことになるからだ。
スパ-フランコルシャンで3位に食い込んだハミルトンは、「前の2台(レッドブルとフェラーリ)に向けて課題はある。シンガポールは行けるんじゃないかな」と、モンツァに対しては遠慮気味なコメントを発した。しかし、ハミルトンは時々、相手を煙にまくようなこうしたコメントをする。
「幸いにも雨が降らなかったので、いいレースになった。モンツァを楽しみにしている。レッドブルにとってモンツァは厳しいかもしれないけれど」。つまり、もし雨だったら展開が違った、ということだ。雨になれば、コーナーのスピードが落ち、ライバルとの差が縮まるからだ。そして、はっきりと”モンツァは厳しいかも”と続けている。
2週間後の9月8日、モンツァの森で、どんなドラマが待ち受けるのか。ここに、ライコネンのロータスが加わるはずで、混沌が予測される64回目のイタリアGPが、楽しみになってきた。
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FOTO STUDIO COLOMBO(表彰台、アロンソ)
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team(ハミルトン)
Getty Images(フェッテル)
FOTO STUDIO COLOMBO(表彰台、アロンソ)
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team(ハミルトン)
Getty Images(フェッテル)
[STINGER]山口正己