【パート1/6】 F1史上最大の大変革 / シーズン開幕が待ち遠しい!!
今年のマシンはこれまでのマシンとどんな違いが出る?
3月14日(金)〜16日(日)におこなわれる、2014年F1チャンピオンシップ開幕戦のオーストラリアGPまであと10日を切った。STINGERでは、開幕戦に備えて、今年の見所やおさえておきたいポイントを6回にわたって紹介していく。
第1回の今回は、レギュレーションの大幅変更で、今年のマシンにこれまでのマシンとどんな違いが出ているかについて紹介する。
◆滑りまくりのF1マシン
シーズン前テストがいつになく混乱している。理由は、もちろん、1950年にF1グランプリが現在の形になった歴史が始まって以来、最大とも言える車両規則変更の影響だ。
特に、エンジンからパワーユニットと名前を変えた動力装置の変革は大きい。2400ccから1600ccにダウン・サイジングされ、直噴ターボと回生エネルギーで武装する。排気量が下がったことで、一見パワーダウンのイメージがあるが、特に低回転域ではどうやら、まったくそういうことではなさそうだ。
すでに、ヘレスでその傾向が見えていた。低速コーナーからの立ち上がりでクルマが暴れる。これは、パワープラントの低速トルクが高くなった証拠である。
そして、カギはパワーユニットだけではなさそうだ。
クルマが暴れる状況をもう少し正確に眺めると、リヤウィングの上下幅が220mmから200mmに下がったことでダウンフォースが減り、さらに、ピレリ・タイヤが、供給する4種類のコンパウンドを、昨年よりワンランク固めに設定して相対的なグリップが下がったことも、グリップとパワーのバランスを落としている。
さらに、回生エネルギーの再利用、つまりはモーターによる加速力が昨年より大幅に大きくなったことも影響している。モーターのトルクが、低速から一定で、低い回転から大きなトルクを発生することも大きく関係しているだろう。小排気量になったとはいえ、ターボの低速トルクの大きさはいまさら繰り返すまでもない。
立ち上がり加速では、太いトルクとダウンフォースの少なさから、アクセルワークにこれまで以上に細心の注意を払わなければならない。コーナー進入でブレーキがロックしたり、立ち上がりでリヤ・タイヤがグリップを失って暴る場面は、今後も多く見受けられるはずだ。
バーレーン・テスト1最終日の終了間際に、フェラーリに復帰した名手キミ・ライコネンがコーナーに巻き込むようなスピンを喫したのも、この辺りの制御が簡単ではないことを物語っているのかもしれない。
(2/6につづく)
[STINGER]山口正己
Photos by
Ferrari S.p.A(マシン / 扉用素材)
Ferrari S.p.A(マシン / 扉用素材)
Renault Sport F1(ルノーのパワーユニット)
Pirelli & C. S.p.A. – Pirelli Tyre S.p.A(タイヤ)
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