可夢偉会見全録/rd1-木曜日 「やってみなければ分らない」
1年間の空白を挟んで、小林可夢偉がF1の現場に戻ってきた。開幕戦のアルバートパークで会見に臨んだ可夢偉は、その空白期間を感じさせず、いつものにように、ひょうひょうとした対応を見せた。
—-ここは、時差がないから体調は万全?
可夢偉:全然だいじょうぶです。
—-テストの総括を。
可夢偉:観てのとおり、あまり走れていないので。
—-最後のバーレーンは、それなりに?
可夢偉:ちょっとマシなだけで、最後のテストですから、あれで全然走れなかったら（問題です）。いまは、不安しかない状況だったでしょうから。いまでも、レースにいけるとは思えない状況にいますから。
—-不安な部分がたくさんあると思うけれど、中でも特に、この週末に問題があるという部分は?
可夢偉:今週末は雨なんで大丈夫と思いますけど、クルマ燃えないかな、と。この前（テストで）、フロントウィングを変えているだけで（短い時間なのに）、すでにクルマが燃えるくらいに熱が溜まったりして。なので、（決勝の）スタートのとき、けっこう長く待つじゃないですか。停まっている間がだいじょうぶかな、とそういう心配がありますね。それだけじゃないですが。いずれにしても、満足できる状態ではないですね。
—-ブレーキ、特にリヤブレーキの問題とか?
可夢偉:全部です（笑）。
—-金曜日のフリー走行でなんとかなりそうですか?
可夢偉:それが分かれば、ねぇ（苦笑）、テストも要らないと思うし。できるだけやってみて、と。
—-テストの中で進化を確認できたことはありますか?
可夢偉:テストをする度に進化はしていっていると思うんですが、問題はその速度が他に比べてどうなのか、というのと、戦闘力に対してどうなのか、と。
—-満足いくほど走れていないんだろうけど、ルノー勢の中では走れていると思いますが。
可夢偉:そこで勝負しているワケじゃないですから（笑）。
—-一番難題なのは、熱の処理ですか?
可夢偉:いゃぁ、そんなこともないですね。他に比べると、システム的にまだ遅れているかな、と。
—-ターボと回生システムの組み合わせとか?
可夢偉:ですね。そういうのが、遅れているかな、と。
—-車体のポテンシャルの高さなどは?
可夢偉:そこまでいけてないですね。
—-ということは、去年と比べて、運転が難しくなったとか、低速にトルクがあって、タイヤのグリップも下がったり、ダウンフォースが減ったりしていることとか、そういう違いもまだ分らない?
可夢偉:まぁ、分かるといえば分かると思うんですけど、そもそも、まだまだやることをやれば、グリップも上るし、乗りやすくもなるし、タイムも早くなる、という要素がいっぱいありすぎて。
—-その要素じたいは見えているけど、それを解決できるかどうかが分からない?
可夢偉:それがどこまで速い速度でできるか、というのが開発やから。その開発がどれだけできるか、です。いままでだいたいエンジンは固まっていたので、ほとんどクルマ次第だったけど、いまの場合、エンジンもあればクルマも、だから。両方のサイドから開発ができる、というのがむずかしいクルマでここまでできるけど、システムでそこまでできるとか、いろいろあるから、一概に、これができるとか簡単には言えないですね。チームだけの問題ではなくて、エンジン側との話でもあるので。
—-全体のイメージとしては、今年のマシンは、低速トルクが太くなって、アクセルコントロールが難しくなるのではないかと、予測できますが?
可夢偉:それ以前にすでに難しいですよ（笑）。
—-より難しくなった?
可夢偉:それがいかに楽になっていくか、という勝負ですよね。
—-2年前の準備が100％だったとして、今年は?
可夢偉:2年前、ぜんぜん覚えていないですよ。いやぁ、ボクも分らないんで、できてる、と言っておきます、100％（笑）。
—-今週末の闘い方は?
可夢偉:まずは完走することです。
—-明日のプログラムは?
可夢偉:それをいまミーティングで話をしていたところだったんです。まだ、決まっていないです。
—-走るだけ走りたい?
可夢偉:マップとか変更する時間はあるので、準備をしておいて、それをどういう順番でこなしていくか、あみだくじみたいな感じでやっていく中で、どれが一番効率がいいか、ということですね。なので単に走り過ぎるのもよくないかな、と。
—-昨日、コースの下見をしていましたが。
可夢偉:いままであまりやっていないですからね。
—-それは、チームも変わったし、チームをひっぱっていかなければ、ということで?
可夢偉:チームはそういうルールなんです。みんなそろっていく、というか。お陰で、足の裏に、マメができました。歩くような靴ではなかったので。
—-冬のテストの修正部分がどこまで解決できたかは?
可夢偉:明日走ってみないと分らないです。
—-明日が楽しみである、と。
可夢偉:とりあえず、走ってみます。
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まとめ［STINGER］山口正己
