ホットライン 2014 round1 オーストラリアGP
新たな、そして史上最大の規則変革で注目されるシーズンが始まった。クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が、気になる開幕戦オーストラリアGPの裏舞台と、今後の展開をズバリ診断する。
◆リタイア8台のサバイバル・レース?
羽端恭一(以下、羽端):いやあ、終わりましたねえ!
スティンガー編集長山口正己(以下、STG):え、可夢偉は始まってすぐに、マッサ+ウィリアムズに追突して終わっちゃいました。
羽端:いや、そのことじゃなく、レースそのものというのかな。テスト時の状況から、勝手なウワサ話では、今年のクルマは、レースしたら、みんな壊れちゃうんじゃないか(笑)、そうでなくても、優勝車だけが速くて、4位以下は周回遅れとか、そんなレースになっちゃうんじゃないかと。
STG:完走数台のサバイバル・レースになるのではないかと思っていましたから(笑)。
羽端:でも、さすがにF1。シーズンが始まったらちゃんとクルマをまとめて来ましたね。
STG:ですね。今年は、F1の開発スピードの凄さを目の当たりにできるチャンスになると思います。
羽端:とはいえ、リタイヤは何台でしたっけ? けっこう、ありましたよね。
STG:完走は13台だけれど、それより、メルセデス、レッドブル、ウィリアムズの二人の成績が好対照なのが面白い。
羽端:おお、そういえば?
STG:例えばメルセデスは、ニコ・ロズベルグが完璧なリードで優勝したけれど、ルイス・ハミルトンは、なにやらデータがトラブルを告げてピットに呼ばれてリタイア。レッドブルも、エースのセバスチャン・フェッテルは早々に消えちゃったけれど、新参のダニエル・リカルドが、予選2位からレースでも2位のいい走りを見せました。結局失格になったけれど。
羽端:そうですね。ウィリアムズも、マッサがスタート直後に、小林可夢偉+ケータハムに追突されて終わったけれど、ボッタス君は健闘して。
STG:暴れましたね。プッシュしてぎてコンクリート・ウォールにドカンと当たって、タイヤが取れちゃったのにピットに戻ってタイヤを装着、その手負いで結局5位ですから。
羽端:フム。それでね、一番驚いたのは”2位の人”で。あ、また(セブの)パートナーはオーストラリア人なのかというのは別にして(笑)、何でなんだろう、どうしたのかな、と。
STG:結局、燃料流量違反で失格になっちゃったけれど、ダニエル・リカルドの走りも、印象的でした。
羽端:不思議その1は、ルノー・エンジンがここ(2位)にいること。そして、その2は、そのドライバーがセブじゃなかったこと。いや、たしかにセブはリタイヤしちゃったんだけど。
STG:メルセデスが強いことは分かった。同じエンジンを積むマクラーレンも、結果として2位と3位。フェラーリは4位と7位とまずまず。でも、レッドブルは、違反もあってポテンシャルが見えない。
羽端:結局、ルノー・エンジンということで”くくる”と?
STG:ロータスがいい例だし、小林可夢偉+ケータハムが予選で小火災を起こしたトラブルにしても、スタート直後のリヤブレーキのシステム故障にしても、安定と呼ぶにはほど遠い気がします。
羽端:一方で、メルセデス・エンジンは?
STG:エンジン自体は現時点では悪くない。しかし、ハミルトンのトラブルもあったし。
羽端:なるほど。フェラーリ・エンジンは?
STG:そこそこ、ということでしょうか。フェラーリ搭載チームで印象的だったのは、新興チームのマルーシアのマックス・チルトンの完走。
羽端:お、下位チームでも完走している。
STG:ちなみに、チルトンの完走は、去年のデビュー以来20戦連続だったりします。
羽端:なるほどね。とりあえず、開幕戦では、そういうエンジンの勢力図だったと。
STG:ですね。
◆チーム態勢の整備が先決
羽端:ところで、可夢偉の「1周目・1コーナー」ですけど?
STG:いきなりマッサ+ウィリアムズに追突しちゃった。嗚呼〜、でした。
羽端:ブレーキ・バランスが?
STG:バランスではなく、システムが壊れた模様。
羽端:模様というのは?
STG:それ以上の詳しいことは申し上げられません、とのことでしたので(笑)。実際、原因がわかるようなら苦労しないし、こんなことになっていないんだろうけど。
羽端:ははあ、システムそのもの。ケータハムは、いろんな意味でクルマが”できてなかった”? <
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STG:今回のトラブルは、金曜日に燃えちゃったことも、スタートのシステム故障も、ケータハムではなくてルノーの問題のようです。だとしても、ケータハムの状況はそれ以前の問題みたいで。
羽端:ケータハムは、チームメイトのエリクソンも、結局リタイヤしてますよね。
STG:ですね。なにしろ、土曜日のフリー走行から予選の2時間しかないインターバルで、1時間ミーティングをしている、と可夢偉が愚痴ってました。
羽端:うんうん……。
STG:スタビライザーの調整に50分かかるとか。そういう設計思想で作られちゃっている。そこも含めてまずはチーム運営そのものを基本から考え直さないと、ということのようです。
羽端:でも、ロータスに行くよりはよかったなと思うし、ザウバーに残らなくてよかったなとも思いますよ。
STG:それは?
羽端:可夢偉がいた頃のザウバーと、去年の、彼がいないザウバーは、あの世界での「位置」が違いましたよね。
STG:まぁ。
羽端:だから今年、「可夢偉が来たケーターハム」がどうなるか、どこまで行くのか。それを見ていきたいな、と。
STG:それは言える。まずは、きちんとしたセッティングができること、ですね。
羽端:すでに初戦でも、ケータハムにとっての”初めてのこと”が起きてますよね。Q2に進出したとか。
STG:実際には2011年の雨のスパで一度Q2進出してますけど。ともあれ、規則が大変革になった今シーズン序盤は、下位チームにはチャンスなんだけどなぁ。可夢偉のリードで、チームがどこまで上がってくるか、まずはそこに注目したいです。
羽端:可夢偉って、そういうドライバーかな。まあ、本人が望むところではないのかもしれないですが。
STG:作り上げる喜び。いや、本人はそんな気楽な気分じゃないと思いますけど。とりあえずは、メルセデスとマクラーレン好調、フェラーリまずまずの状況の中で、ケータハムがどう進化するかも、序盤戦の見所、ってことで!!
【西湘-メルボルン】
Photos by
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team (スタート / ロズベルグ&ハミルトン)
INFINITI Red Bull RACING / Getty Images (リカルド)
Caterham F1 / LAT Photographic (リタイア後の可夢偉、レース前の可夢偉)
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F1ドライバーズ・ポイント | ||
---|---|---|
1位 | マックス・フェルスタッペン | 491ポイント" |
2位 | セルジオ・ペレス | 240ポイント |
3位 | ルイス・ハミルトン | 220ポイント |
F1 コンストラクターズ・ポイント | ||
---|---|---|
1位 | レッドブル・レーシング | 860ポイント |
2位 | メルセデス | 409ポイント |
3位 | フェラーリ | 406ポイント |