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今年のモナコでは何が起きるのか?

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さて、どんなドラマが待っている?

◆今年初登場のスーパーソフトタイヤ
明日から始まるモナコGPで、タイヤを一社供給するピレリは、今年初めてのP Zeroレッド、つまり、4種類用意されるコンパウンドの中で最も柔らかいスーパーソフトタイヤを供給する。

モナコは、19戦で行なわれる今年のF1GPの中で、最も平均速度が低く、公道のために路面のミューも低くて滑りやすい。ピレリの表現を流用すれば、”マシンは空力グリップではなく、タイヤのグリップが頼りになる”コースだ。

そうなると、タイヤをいかに迅速に作動温度域まで持ち込むかが問題になる。公道ということは、通常のコースにはないセンターラインやマンホールカバーがあり、レース専用コースのような整備を受けていないことから、バンプもあって滑りやすく、タイヤにはさらに厳しい作業を強いることになる。

また、今年は、トンネル出口付近のサーキットの一部が再舗装されたが、そこは280km/hほどの最高速地点であり、そこからシケインに向けて下り坂での強いブレーキングが要求される場所だ。そこにどう対応するかもタイム短縮のキモになりそうだ。

また、平均速度の低さは、低速コーナーが多いためだが、ということは、低速ギヤでのタイヤに強い負担がかかる加速と減速が繰り返されることなる。減速については、これまでと同じ傾向のセッティング対応でカバーできるが、パワートレーンの規則変更によって、加速は少し話が違ってくる。

◆1988年以来のターボF1!!
マクラーレンのジェンソン・バトンは、「モナコでターボ・チャージャー付きのF1のマシンを走らせたことがない。だから、チャンスを楽みにしているんだ」と言っているが、なんとターボエンジンのF1がモナコを走るのは、まさにマクラーレン・ホンダが16戦15勝を飾った1988年以来、実に26年ぶりということになる!!

ターボと回生エネルギーは、両方とも、低速でのパワーの出方が、去年までより遥かに強烈になっていることから、ここでもタイヤに負担がかかり、マシンのトルク制御と、ドライバーのアクセルコントロールが重要、という要素が浮かび上がる。


とはいえピレリは、「モナコは、摩耗とデグラデーションが非常に低い」ことも挙げている。つまり、”ピットストップは1回でもイケる”ということだ。

だが、必ずしも1ストップが最速の戦略とは限らない。狭く、かつ長いストレートがないモナコでは、オーバーテイクが事実上不可能なことから、戦略が重要になる。もちろん、最大の戦略は、予選のポジションを少しでも上げて前方グリッドからスタートすることだ。

一方で、セーフティーカー導入率も高く、戦略を柔軟にこなすこともチームに求められる。レースの状況を正確に読むことが、他のレース以上にモナコでは重要になることは言うまでもないだろう。

さて、ビルにこだましモナコ湾に吸い込まれる新しいF1の音は、どんなメロディーを奏でるのだろうか。メルセデスは安泰なのか、それとも違う筋書きなのか。明日木曜日から始まるフリー走行を楽しみに待ちたい。

[STINGER]山口正己
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