初のフォーミュラE、ドラマチックなエンディング!
プロストのリードでレースは始まり、最終ラップのドラマチックなエンディングに向かった。
9月13日(土曜日)、北京のオリンピック公園で、記念すべき”なにからなにまでオール電気”によるフォーミュラE開幕戦が、朝8時30分のプラクティスに始まり、予選を挟んで16時に決勝がスタートする1dayイベントとして行なわれた。
記念すべき初レースの優勝は、ルーカス・ディ・グラッシ(ブラジル/29歳)。フォーミュラEがプロモーション活動を始めた当初からドライバーに抜擢されていたAudi Sport ABTチームのエースだ。
◆最終ラップの衝撃!!
レースは、予選最速のポール・ポジションからスタートし、レースをリードしていたニコラス・プロストに、マシンを交換するピット作業でポジションを上げた予選6番手のニック・ハイドフェルトが迫って終盤を迎えた。
ラップリーダー、ニコラスの父親であるアラン・プロストが、笑顔の中にも緊張感を漂わせて迎えた最終ラップの最終コーナーで、”衝撃”が待っていた。
インを突いたハイドフェルトとそれを阻止しようとしたプロストが横並びで接触! サスペンションを傷めたハイドフェルトはスピンして縁石に弾かれて宙を舞い、ウォールに激突する壮絶なエンディングとなった。
このアクシデントでトップ2が消え、プラクティスで最速だったディ・グラッシが3位から一気に表彰台最上段を射止める結果となったが、ハイドフェルトが無傷だったことで、マシンの安全性と、コースサイドに設置されたTEC-PROの高い安全性が証明されたアクシデントは、最後のドラマとして北京で行なわれた歴史的なレースのに強い印象を残すことになった。
◆レースを楽しんだ琢磨
一方、紆余曲折の末、開催直前にアムリン・アグリ・チームから参戦が決まったインディカー・ドライバーの佐藤琢磨は、予選14番手からスタートし、12番手を走行中にバッテリーのトラブルで、突然推進力がなくなってコース上に立ち往生したが、リセットを試みて復活。
その後、マシンを乗り換えてから調子を上げ、レース中で最も速い周回を記録したファステスト・ラップ・ポイント2点を獲得。「2周遅れになりながら、でもとても楽しいレースができました」とコメント。乗り換えたマシンも、終盤に同じく駆動力がなくなるトラブルに見舞われて完走はならなかったことが惜しまれた。
琢磨は、この1戦だけの契約で、今後の参戦は未定ながら、これまで経験したF1やインディカーとは一味違うフォーミュラEの奥の深さに興味を持ち、「またチャンスがあれば是非参加したい」と笑顔で語った。
全レースが市街地で行なわれる次のフォーミュラEは、マレーシアのプトラジャヤで第2戦を予定している。
◆フォーミュラE2014/2015開幕戦トップ10
1. ルーカス・ディ・グラッシ / アウディ・スポーツABT
2. フランク・モンタニー / アンドレッティ・オートスポート
3. サム・バード / ヴァージン・レーシング
4. C.ピック / アンドレッティ・オートスポート
5. K.チャンドック / マヒンドラ・レーシング
6. J. ダンブロシオ / ドラゴン・レーシング
7. O.セルビア / ドラゴン・レーシング
8. N. ピケJr. / チャイナ・レーシング
9. S.サラザン / ヴェンチュリー
10. D.アプト / アウディ・スポーツABT
17. 佐藤琢磨 / アムリン・アグリ
[STINGER]山口正己
photo by FormulaE