◆フォーミュラE開幕戦で見えた!/⑦独特の”全部電気”の新フォーミュラ
スターティンググリッド上とゴール後に燃料による重量軽減は、ないのが電気自動車だった。
フォーミュラE開幕戦で見えた!/⑥から続く。
◆軽くならないフォーミュラE!?
レース後に、佐藤琢磨を囲んだ記者団から、普通と違って燃料が減らないので、レースが進んでもマシンが軽くならない、という話がでた。それを聞いた琢磨は、”あ〜、そういえば”と笑った。
通常の内燃機関(エンジン)を動力に使うの場合、その燃料が走る毎に減って、燃料が減った分だけ重量が軽くなる。しかし、バッテリーは、エネルギー残量が減っても重量が変化せず、これまでとは違う感覚でレースを進めなければならなくなりそうだ。
ちなみに、フォーミュラE用のSpark-Renault SRT_01Eの重量は900kgというフォーミュラカーとしては重量級だが、その重さの多くがバッテリーによるものだ。バッテリーは、ドライバー・シートの背後に積まれるが、重量バランス的にも、理想とは違うリヤヘビー。琢磨によると、「タイヤが熱ダレを起こしやすい」状況があるという。
また、各ドライバーは、2台ずつのマシンが支給され、25周レースの途中でクルマを乗り換える。これは、バッテリー容量の関係から決められたもので、当初は1時間レースだったものが、レース直前のテスト途中で45分に短縮されるドタバタもあった。
しかし、結果からすると、ピットガレージの中に、全チーム4台のマシンを並べた様子はそれはそれで壮観で、ピットウォークのファンを喜ばせる効果も出せていた。
タイヤはミシュランがパイロット・スポーツを一社供給している。構造的にはレーシング・タイヤとはいえ、溝付きの外見は、街乗り用と同じに見える。
サイズは、フロントが245/40/R18、リヤが305/40/R18。サイズ的にも、F1が13インチという状況から、サイドウォールのハイトが低く、琢磨は、「ステアリングの応答性も独特でトリッキー」と表現した。
また、リヤ重量が嵩むために、摩耗も激しく、F1やインディカーとは同じ走りがしにくい状況もあるという。
また、熱に敏感で、暖まらないと効かないカーボンブレーキを使っていることと、タイヤがプアーなことが相まって、ブレーキングが難しく、「思い切ったブレーキングはできない」というのが琢磨の感想だった。